配偶者控除“改正”に込めた国のホンネは「女性の活躍」ではない
130万と106万…「壁」を越える人は増えるか
扶養を外れることには現在「130万円の壁」「106万円の壁」という2つの壁があります。前者は収入が130万円を超えた場合、勤務先の厚生年金か、自身で国民年金に加入する必要があり、後者は勤務先が「従業員501人以上」で、勤務時間が週に20時間以上などの条件に適合した場合、勤務先の厚生年金に加入するというもの。つまり、どちらかの壁を超えれば、第3号被保険者ではなくなるということです。
今回の改正の目玉である「150万円まで38万円満額控除」は2つの壁を越えていますが、だからと言って、実際に「壁を越える」人が増えるのでしょうか。そもそも、社会保険には将来の厚生年金受給などのメリットはあるものの、保険料として給与の約15%が天引きされるため目先の手取り収入は減少します。
また、別の問題として、家族手当を支給する企業の多くが「103万円以下」を基準にしていることや、雇用主側も社会保険の労使折半の負担を嫌い、加入を希望しないパートタイマーを好む傾向があります。良し悪しは別として、パートを社会保険に入れてしまえば立ち行かないという企業も多いのです。これら諸々の事情を考えれば、配偶者控除だけを改正しても「ほとんど変わらない」のが実情ではないかと思われます。
配偶者控除が導入されたのは昭和15年のこと。それ以前も税における扶養という考え方はありましたが、主に子どもを対象としたもので、妻は含まれていませんでした。それを正式に扶養と認めた背景には、当時の人口増加政策があったと考えられています。つまり「妻の分も税金を安くするから子どもを増やせ」ということで、翌年昭和16年には太平洋戦争が開戦するのです。
いつの時代も、税の施策には国からのメッセージが含まれています。今回の「改正」は、社会保険という国民全体の問題を真剣に議論せず、915万人の奥様の顔色を見て、就労を支援している「フリ」。その穴埋めに高所得者を増税とし、取れるところからから取る。少々厳しいですが、それが私の解釈です。
(株式会社あおばコンサルティング代表取締役 加藤圭祐)

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