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給与所得控除の上限引き下げ検討…過去の“手口”から予想される上限額は?

収入から一定額が控除され、税金が安くなる「給与所得控除」について、その「上限」の引き下げが検討されています。上限は導入以降、段階的に引き下げられており、そこからある“ルール”が浮かび上がる、と筆者は指摘します。

給与所得控除の上限引き下げが検討されている

「上限」ができたのはごく最近のこと

 政府が給与所得控除に上限を設ける案を検討し、その範囲が年収800万円~900万円の層に及ぶと報道されています。現在でも、年収1000万円以上にはこの「上限」が設けられており、その額は220万円です。しかし、この「上限」という考え方が導入されたのは、平成25年からとごく最近のこと。まずは現行のルールを見てみましょう。

給与等の収入      給与所得控除額
180万円以下       収入金額×40%(65万円に満たない場合には65万円)
180万円超360万円以下  収入金額×30%+18万円
360万円超660万円以下  収入金額×20%+54万円
660万円超1000万円以下  収入金額×10%+120万円
1000万円超       220万円(上限)

 本来、給与所得控除は「その収入を得るために要した経費」とされています。会社員の方であれば、スーツや靴、もしくはその仕事を行うにあたって必要な知識を得るための本などが経費と考えられます。もちろん、その経費は人それぞれのはずですが、全ての給与所得者が個人事業主のように、毎年、経費を集計して「申告」するのは、個人にとっても税金を徴収する国にとっても膨大な手間であるため、上記のように「概算の経費」として控除を認めているわけです。この控除が大きくなればなるほど「課税される範囲」が減って税金は安くなり、逆に控除が小さくなると税金は高くなりますが、現在「1000万円超=220万円」という上限があります。

 この上限が導入される以前は以下のようになっていました。

給与等の収入      給与所得控除額
180万円以下       収入金額×40%(65万円に満たない場合には65万円)
180万円超360万円以下  収入金額×30%+18万円
360万円超660万円以下  収入金額×20%+54万円
660万円超1000万円以下  収入金額×10%+120万円
1000万円超       収入金額×5%+170万円

 たとえば、以前のルールで年収3000万円の場合「3000万円×5%+170万円=320万円」が控除されていたのに、現在では220万円で打ち切られてしまいます。課税対象の金額が100万円増えたことになり、このくらいの年収になれば必然的に税率も高いため、約半分の50万円が「増税」されたことになります。

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加藤圭祐(かとう・けいすけ)

あおばコンサルティング代表取締役、1級FP技能士、宅建士

大手外資系生命保険会社にて11年間、個人・法人のコンサルティング業務に従事。2015年に株式会社あおばコンサルティングを設立。日本初の、チャットでのお金のサービス「みかづきナビ」を開始。現在ではzoomも活用し、FP相談や保険相談で顧客の課題解決に取り組んでいる。みかづきナビ(http://www.mikazuki-navi.jp/)。

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