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GW中に激しい下痢、嘔吐…もしかしてノロウイルス? 病院休診でも「救急車」呼ぶべき5つの目安とは

GW中にノロウイルスとみられる症状が出たときの対処法について、医師に聞きました。

GW中にノロウイルスとみられる症状が出たときの対処法は?(画像はイメージ)
GW中にノロウイルスとみられる症状が出たときの対処法は?(画像はイメージ)

 GW(ゴールデンウイーク)中に家族や友人とバーベキューや会食などを予定している人は多いのではないでしょうか。その際、注意が必要なのが「ノロウイルス」による食中毒です。激しい下痢や嘔吐(おうと)などの症状が出るのが特徴です。

 ノロウイルスと聞くと、冬に起きる食中毒という印象がありますが、なぜ春でもかかるのでしょうか。また、GW中は多くの医療機関が休診していますが、その際はどのように対処すればよいのでしょうか。救急要請の目安について、天王寺やすえ消化器内科・内視鏡クリニック(大阪市天王寺区)院長で総合内科専門医、消化器病専門医、内視鏡専門医の安江千尋さんに聞きました。

冬に比べて感染対策を怠りがち

Q.そもそも、春はバーベキューや会食などが原因でノロウイルスになりやすいと聞きますが、なぜなのでしょうか。

安江さん「ノロウイルスは『冬に流行する感染症』というイメージが強いですが、実際には1年を通して発生する感染症であり、春だから安全ということは全くありません。特にGW前後の時期は、バーベキューや会食、旅行など人の移動や集団での飲食が増えるため、結果として感染リスクが高まる傾向があります。

まず前提として、ノロウイルスは非常に感染力が強く、わずか10〜100個程度のウイルス粒子でも感染が成立するとされています。これは他の多くのウイルスと比較しても極めて少ない量であり、少しの不衛生な取り扱いでも感染につながる理由の一つです。

春に感染が増えやすいといわれる理由はいくつかあります。1つ目は、屋外での調理機会の増加です。バーベキューでは、水道設備が十分でない環境で食材を扱うことが多く、手洗いが不十分になりがちです。

また、生肉や魚介類を触った手でそのまま他の食品を扱う『交差汚染』が起こりやすくなります。ノロウイルスは主に人の手を介して広がるため、このような状況は感染リスクを大きく高めます。

2つ目は、加熱不十分な食品の摂取です。ノロウイルスは加熱によって不活化されますが、中心部まで十分に火が通っていない食品ではウイルスが残存する可能性があります。特に注意が必要なのはカキ、アサリなどの二枚貝ですが、実際には調理過程で汚染された他の食品でも感染は成立します。

3つ目は、人と人との接触機会の増加です。会食やパーティーでは、同じ料理を取り分けたり、箸やトングを共有したりする場面が多くなります。また、感染者が無症状の段階でもウイルスを排出していることがあり、知らないうちに周囲へ感染を広げる可能性があります。

さらに重要なのは、ノロウイルスがアルコール消毒に対して比較的抵抗性を持つ点です。手指消毒用アルコールでは十分に不活化できない場合があり、『消毒しているから大丈夫』という油断が感染拡大の一因になることもあります。

春は『流行のピークが過ぎた』という認識から、冬に比べて感染対策が緩みやすい時期でもあります。手洗いや加熱といった基本的な予防策が徹底されにくくなることで、結果的に感染が発生しやすくなります。

以上のように、『春だからノロウイルスが増える』というよりは、屋外調理や会食、移動増加など、春特有の生活行動が感染機会を増やしていると考えるのが適切です。従って季節に関わらず、特に人が集まる機会では、手洗いや加熱、衛生管理といった基本対策を徹底することが重要です」

救急要請の5つの目安

Q.GW中、多くの医療機関が休診しています。もしGW中に激しい下痢や嘔吐など、ノロウイルスとみられる症状が出た場合、どのように対処すればよいのでしょうか。救急車を呼ぶ目安も含めて、教えてください。

安江さん「GW中は多くの医療機関が休診となるため、体調不良時の対応に不安を感じる人は多いと思います。嘔吐や下痢、腹痛など、ノロウイルスが疑われる症状が出た場合、まず重要なのは重症度を見極めた上で、適切に自宅対応を行うことです。

ノロウイルス感染症の多くは、2〜3日程度で自然に症状が軽くなる疾患です。従って軽症であれば、基本的には自宅での安静と水分補給が中心になります。

最も注意すべきなのは『脱水』です。嘔吐や下痢によって体内の水分と電解質が失われるため、少量ずつ頻回に水分を補給することが重要です。理想的には経口補水液が推奨されますが、難しければ水やお茶でも構いません。ただし一度に大量に飲むと嘔吐を誘発するため、スプーン1杯ずつなど少量での摂取が有効です。

食事については、無理に取る必要はありません。症状が落ち着いてきた段階で、おかゆやうどんなど消化の良いものから摂取してください。一方、次のような場合には医療機関の受診が推奨されます。GW中でも、休日診療所や救急外来で対応可能な場合があります」

【休日診療所や救急外来を受診する目安】
・水分がほとんど取れない
・嘔吐が頻回で止まらない
・下痢が著しく続く
・高齢者、乳幼児、基礎疾患のある人
・発熱が続く、血便がある

さらに重要なのが、「救急車を呼ぶべきかどうか」の判断です。以下のような症状がある場合は、ためらわず119番通報を検討してください。

【119番通報の目安】
・意識がもうろうとしている、反応が鈍い
・ぐったりして動けない
・半日以上ほとんど水分が摂取できない
・尿量が極端に少ない(脱水の進行)
・呼吸が荒い、脈が速い

特に高齢者や小児では脱水が急速に進行することがあるため、早めの判断が重要です。

また、家庭内での感染拡大防止も非常に重要です。嘔吐物や便には大量のウイルスが含まれており、適切に処理しないと周囲へ感染が広がります。処理の際は手袋やマスクを着用し、塩素系消毒剤(次亜塩素酸ナトリウム)を用いることが推奨されます。

まとめると、GW中にノロウイルスのような症状が出た場合は、まず脱水予防を中心とした自宅対応を行い、重症化のサインがあれば速やかに医療機関受診または救急要請を行うことが重要です。

【画像】「えっ…!」 これが「ノロウイルス」食中毒になりやすい“要注意食材”です

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安江千尋(やすえ・ちひろ)

天王寺やすえ消化器内科・内視鏡クリニック院長、総合内科専門医、消化器病専門医、内視鏡専門医

がん専門病院で長年にわたり消化器がんの診療・内視鏡治療に従事した後、2024年に「天王寺やすえ消化器内科・内視鏡クリニック」(大阪市天王寺区)を開院。苦痛の少ない内視鏡検査と患者に寄り添う丁寧な診療で、地域医療に貢献している。特に胃・大腸の早期がん発見と内視鏡切除を専門とするほか、脂肪肝や肝機能障害をはじめとした肝臓疾患の診療にも力を入れている。天王寺やすえ消化器内科・内視鏡クリニック(https://tennoji-naishikyo.com/)。

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