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手作りアクスタ「学校提出」「SNS投稿」は著作権NG!? 夏休みの宿題&推し活に潜むワナ【弁理士が解説】

手作りアクスタを夏休みの宿題として学校に提出したり、フリマアプリで販売したりした場合、問題となる可能性はあるのでしょうか。特許や著作権といった知的財産権に関する業務を行う弁理士の筆者が解説します。

手作りのアクリルスタンドを学校に提出するのはNG?(画像はイメージ)
手作りのアクリルスタンドを学校に提出するのはNG?(画像はイメージ)

 近年、アニメやゲームのキャラクターを使って「アクリルスタンド(通称アクスタ)」を手作りする人が増えています。自宅のプリンターやコンビニの印刷サービスなどを使って、手軽にキャラクターを印刷し、アクリル板と組み合わせて作れるようになったためです。

 最近では、夏休みの自由研究や工作として、子どもが好きなキャラクターのアクスタを作るケースも珍しくありません。

 しかし、「自分で作るだけなら問題ない」と思っていても、使い方によっては著作権など法律上の問題が生じることがあります。手作りアクスタはどこまで許されるのでしょうか。特許や著作権といった知的財産権に関する業務を行う弁理士の筆者が解説します。

自宅で飾るだけなら問題ない可能性が高い

 まず結論をいいます。自分だけが楽しむ目的でキャラクターなどの著作物を使ったアクスタを作り、自宅の部屋に飾る行為は、著作権法上の「私的使用」の範囲として認められる可能性が高いです。つまり、問題になりにくいと考えられます。

 著作権法では、個人的または家庭内など限られた範囲で利用するための複製が認められています。自宅で楽しむ目的で作る分には、通常はこの範囲に収まると考えられます。

学校に提出すると話が変わることも

 一方、学校の自由研究や作品展に提出する場合は少し事情が異なります。作品が教室や校内で展示されたり、多くの人の目に触れたりする可能性があるためです。

 学校は、先ほど触れた「個人的または家庭内」とは異なり、多数の人の目に触れる環境です。

 実は、学校教育の場面では著作物利用の特例もあるため、学校で利用したからといって直ちに違法になるとは限りません。ただし、授業の一環なのか、どのような形で利用されるのかなどによっても結論は変わります。

 いずれにしても、「家庭内だけで楽しむ」という私的使用の範囲は超えているため、法的な考え方は自宅利用より複雑になります。

 また、学校側の方針によっては、既存キャラクターをそのまま使った作品について注意を受けるケースもあるでしょう。

友達へのプレゼントは「自分だけの利用」ではない

 問題を見落としがちなのは、完成したアクスタを友達へプレゼントするケースです。

 著作権法の私的使用は、あくまで自分や家庭内など限られた範囲で利用するためのものです。第三者に渡すことを前提としてキャラクターグッズを作る行為は、「自分だけで楽しむための複製」とは言いにくくなります。「個人的または家庭内」という範囲からどんどん遠ざかっていますよね。

 たとえお金を受け取っていなくても、権利者の許諾なくキャラクターを利用したグッズを作って配布すると、「自分だけで楽しむための利用」とは言いにくくなりますから、注意が必要なのです。

メルカリで販売はリスクが高い

 最もリスクが高いのは、手作りのアクスタをフリマアプリやネットショップで販売するケースです。

 キャラクターを利用したグッズを製造・販売する権利は、通常、著作権者やライセンスを受けた事業者が持っています。そのため、無断で作ったアクスタを販売すると、権利者の目にも止まりやすく、著作権侵害として権利者から削除請求や警告を受ける可能性が高くなります。

 実際にフリマアプリなどでは、権利者からの申し立てによって商品が削除されているケースもあります。

危険度で見ると?

 大まかな整理ですが、危険度を表すと以下のようになります。

(1)自分の部屋に飾る 比較的安全(SNSへの投稿に注意)
(2)学校に提出する 注意が必要
(3)友達にプレゼントする リスク上昇
(4)フリマアプリで販売する リスクが高い

 お金を取ったかどうかだけではなく、「誰のために作ったのか」「どこで利用するのか」が重要なポイントです。

 夏休みの工作として作る場合でも、好きなキャラクターを使う際は、著作権との関係や学校のルールを少し意識しておくとよいでしょう。

見落とされがちな「SNS投稿」

 そして実は、学校への提出や友達へのプレゼント以上に見落とされがちなのがSNS投稿です。アクスタを作った後に、その写真をSNSに投稿することで別の問題を生んでしまう場合があります。

 完成したアクスタを机に飾って撮影し、SNSに投稿する人も少なくありません。

 自宅で飾るだけであれば私的使用の範囲内と考えられていたものが、SNSに投稿すると、不特定多数の人が閲覧できる状態になります。これは著作権法上の公衆送信権などとの関係が問題になる可能性があります。

 このように、家庭内で楽しむ利用と、インターネット上で発信する行為とでは、法律上の考え方が異なります。

 また、投稿内容や状況によっては、著作権者の目に留まるきっかけになることもあります。「売っていないから大丈夫」と思われがちですが、著作権侵害は営利目的かどうかを問いません。

 売っていなくても、こうした投稿がきっかけで著作権トラブルに発展することも十分あり得ます。

推しの写真で作ったアクスタは大丈夫?

 ここまでキャラクターについて説明してきましたが、実は同じような相談として多いのが「推しの写真を使ったアクスタ」です。

 アニメや漫画のキャラクターだけでなく、アイドルや俳優、スポーツ選手などの「推し」の写真を使ってアクリルスタンドを作りたいと考える人もいるでしょう。

 ただし、他人が撮影した写真には撮影者の著作権があります。

 また、自分で撮影した写真であっても注意が必要です。誰にでも肖像権と呼ばれる権利があります。加えて、芸能人などの場合は、その容姿や氏名自体が顧客を引き付ける力(経済的価値)を持つ場合があります。その価値を無断で利用した場合には、「パブリシティ権」の侵害となることがあります。

 そのため、こちらも自分だけが楽しむ目的で部屋に飾る程度であれば大きな問題になりにくい一方、他人に配ったり販売したりすると思わぬトラブルになる可能性があります。

 特に、推しの写真を使ったアクスタをフリマアプリなどで販売する行為は、キャラクターのアクスタ同様、権利侵害と判断されるリスクが高いでしょう。

 最近はアクスタ作成サービスも増えていますが、サービスが存在するからといってどんな画像でも自由に利用できるという意味ではありません。利用規約で権利侵害画像の利用を禁止しているケースもあるため、注意が必要です。

永沼よう子

【画像】「えっ…!?」 これが手作りアクリルスタンドを学校に提出した場合の“リスク”です

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永沼よう子(ながぬま・ようこ)

弁理士

2012年、AIPE認定知的財産アナリストを取得。2015年、弁理士に登録。2019年から国際特許事務所で代表弁理士を務める。「国際女性デー HAPPY WOMEN」知的財産担当・実行委員弁理士、「渋谷芸術祭」知的財産担当、「経済産業省」地域団体商標活用プロジェクト・講師なども経験。専門分野は商標・著作権・デザイン・特許・肖像権・不正競争防止法・キャラクター、オリンピック関連問題・知財教育。

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