【秋の人事異動】介護、育児があるのに突然の転勤…拒否できる? 命令が違法になる“3つのケース”とは 弁護士解説
転勤や異動が「違法」となるケースや、そうした命令を正当に拒否できるケースなどについて、弁護士に聞きました。

春だけでなく、秋も多くの企業で人事異動があります。予想外の異動に不安や不満を覚えるケースもあるでしょう。
SNS上では「『次はどこに飛ばされるんだろう』という不安が地味にキツい」「人事異動で転勤となりました。東京サヨナラ」「転勤して1年でまた異動になるとは思いませんでした」「転勤を伴う人事異動は事前の相談がほしい」などの声が上がっています。
一方的な遠方への転勤や、心当たりのない降格処分などが命じられた場合、一個人として拒否することはできるのでしょうか。転勤や異動が「違法」となるケースや、そうした命令を正当に拒否できるケース、安易に労働契約書にサインすべきでない理由について、弁護士の永島徹さんに聞きました。
「権利の乱用」に該当する場合は拒否が可能
Q.会社からの転勤や異動命令が「権利の乱用(違法)」とみなされるのは、どのようなケースですか。
永島さん「多くの会社では労働契約書に『配転命令権』という権利を明記しており、従業員は転勤や異動を拒むことが難しくなっています。過去の裁判例からは、以下3つの理由が権利の乱用の事由として挙げられています。
1つ目は業務上の必要性が全くない場合、2つ目は嫌がらせや退職に追い込むためなどの不当な動機や目的がある場合、3つ目が労働者に対して『通常甘受すべき受忍限度の範囲を超えた不利益を課される』場合です。いずれかに該当する場合には、違法となる可能性があります。ここでいう不利益は以下の3つに分けることができます」
・労働条件それ自体の不利益性
賃金の減少や労働時間の延長、勤務場所の変更など
・労働条件に密接に関連する事項についての不利益性
通勤時間の増加や、配転後の職場で未習熟の業務分野への適応を要求されることなど
・社会生活上の不利益
労働者自身や同居の家族の健康の保持、未成熟の子弟の養育など
Q.では、「介護や育児などの家庭の事情」がある場合、異動命令を正当に拒否することは可能ですか。
永島さん「全てのケースではありませんが、拒否できる可能性はあると思います。『育児介護休業法』という法律があり、会社に対して労働者の育児や介護の状況に配慮する義務が定められています。
例えば、自分が転勤したら親を介護する者が誰もいなくなるケースや、重い病気の子どもの看病が必要といったような切実なケースであれば、先述の『通常甘受すべき程度の範囲を超える、社会通念上の不利益』が発生すると判断され、命令が無効になる可能性があると思います」
Q.納得いかない異動届や辞令に対して、安易にサイン(承諾)してはいけない理由と対策について、教えてください。
永島さん「やはり一度サインしてしまうと、法的には『同意した』と解釈されるため、後から覆すのが難しいという問題があります。納得いかない場合の対策としては、異動や辞令の理由について、会社へ文書による説明を求めた上で、労働組合や弁護士などの専門家に相談するのがよいでしょう」
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雇用主の「配転命令権」の乱用に該当する場合、異動や転勤が「違法」と認められる可能性はあるものの、一度締結した労働契約書は強い拘束力を持つため、安易にサインするのは避けましょう。会社に文書による説明を求めた上で、専門家へ相談するのが有効です。
相談にあたり、育児や介護といった自身の抱える「配転命令を拒否したい事情」を明確に整理しておくことで、解決につなげやすくなるでしょう。
(オトナンサー編集部)




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