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【帯状疱疹】「72時間以内」に受診せず…“刺すような激痛”が数年残る? 重症化防ぐ初期対応とは 皮膚科医に聞く

帯状疱疹は、発症後72時間以内に受診しないと重症化する可能性があるといわれていますが、本当なのでしょうか。医師に聞きました。

「帯状疱疹(ほうしん)」にかかったら72時間以内に受診しないとダメ?(画像はイメージ)
「帯状疱疹(ほうしん)」にかかったら72時間以内に受診しないとダメ?(画像はイメージ)

 中高年が比較的かかりやすい病気の一つが「帯状疱疹(ほうしん)」です。SNS上では「痛い」「帯状疱疹きつかった」などの声が上がっています。

 そもそも、なぜ帯状疱疹にかかるのでしょうか。発症後72時間以内に受診しないと重症化する可能性があるといわれていますが、本当なのでしょうか。錦糸町皮膚科内科クリニック(東京都墨田区)院長で、皮膚科医・内科医の田尻友恵さんに聞きました。

免疫力の低下で発症

Q.そもそも、「帯状疱疹」とはどのような病気なのでしょうか。発症の原因も含めて、教えてください。

田尻さん「帯状疱疹の根本的な原因は、過去に感染した『水痘(すいとう)・帯状疱疹ウイルス』の再活性化にあります。多くの人は子どもの頃などにみずぼうそう(水痘)に感染しますが、みずぼうそうが治癒した後も、ウイルスは体内から完全に排除されるわけではありません。ウイルスは背骨近くの感覚神経節と呼ばれる場所に身を潜め、長期間にわたり潜伏し続けます。

普段は人間の免疫力がウイルスの活動を抑え込んでいるため症状は出ませんが、加齢や疲れ、ストレス、持病や薬の影響、物理的なダメージ、紫外線、手術やけがなどで体内の免疫機能が低下した際に、ウイルスが再び目覚めて増殖を開始します。再活性化したウイルスは神経に沿って移動し、その神経が支配する領域の皮膚に到達して炎症を引き起こします。これが帯状疱疹の発症メカニズムです」

Q.なぜ中高年の人ほど発症しやすいのでしょうか。ストレスで発症するといわれていますが、本当なのでしょうか。

田尻さん「特に中高年で発症率が高くなる理由は、加齢に伴う免疫機能の自然な低下が大きく影響しているためです。日本人成人の約9割以上が体内にこのウイルスを保有しているとされていますが、50代を境に発症率が急増し、80歳までに約3人に1人が帯状疱疹を経験するといわれています。

また、ストレスで発症するというのは、医学的にも事実です。精神的、身体的なストレスを受けると体内でストレスホルモンが分泌され、ウイルスを抑え込む免疫細胞の働きを直接弱めてしまうためです。そのため、過剰な物理的・精神的ストレス、連日の疲労蓄積、睡眠不足、あるいは他の疾患による体力の低下などは、免疫系を弱める大きな要因となります」

Q.「帯状疱疹」にかかった場合、72時間以内に受診しないと重症化する可能性があるという情報がありますが、本当なのでしょうか。

田尻さん「本当です。帯状疱疹が疑われる場合、発症から72時間以内に治療を開始することが重要です。帯状疱疹の治療に使われる抗ウイルス薬は、新しくウイルスが複製・増殖するのを防ぐ薬剤であり、すでに体内で増えてしまったウイルスを直接死滅させる効果はありません。ウイルスは皮膚症状が現れてからおよそ72時間以内に増殖のピークを迎えるため、この時間内に投与を開始しなければ薬の効果を最大限に発揮できなくなります。

ただし、72時間を過ぎてしまっても治療が無効になるわけではありませんので、気づいた時点ですぐに受診してください。

初期対応が遅れ、ウイルスが一気に増えてしまうと、神経の炎症が激しくなり、神経繊維そのものが著しく損傷してしまいます。その結果、皮膚の水疱(すいほう)や赤みがきれいに治った後も、焼けるような痛みや電気・刺すような強い痛みが長期間にわたって残り続ける『帯状疱疹後神経痛(PHN)』というつらい後遺症に移行するリスクが跳ね上がります。

PHNは数カ月から場合によっては数年にわたり生活の質(QOL)を著しく低下させるため、これを防ぐ意味でも発症初期の72時間以内の抗ウイルス薬投与が決定的な意味を持ちます」

Q.「帯状疱疹」の発症を防ぐにはどうしたらよいのでしょうか。

田尻さん「帯状疱疹を防ぐには、ワクチンによる予防接種と、日々の規則正しい生活で免疫力を保つことが基本となります。その中でもワクチン接種は、現在最も有効な予防アプローチです。日本で認可されている帯状疱疹ワクチンには生ワクチン(乾燥弱毒生水痘ワクチン)と不活化ワクチン(商品名:シングリックス)の2種類があります。

生ワクチンは1回の接種で済み、費用も比較的抑えられますが、予防効果の持続期間は数年程度とされています。一方の不活化ワクチン(シングリックス)は2回の接種が必要で費用も高額になりますが、50歳以上で90%以上という極めて高い予防効果を示し、その効果も10年近く長期間維持されることが確認されています。50歳以上の人や、リスクの高い持病をお持ちの人には非常に推奨される予防手立てです。

同時に、日々の生活習慣を整えて免疫力を高めておくことも大切です。バランスの良い食事と十分な睡眠、無理のない運動を心掛け、そして自分なりのリラックス方法でストレスや疲れを上手にリセットしていくことが、ウイルスをしっかり抑え込む丈夫な体づくりにつながります」

(オトナンサー編集部)

【閲覧注意】「えっ…!?」 これが「帯状疱疹」の痛々しい病例画像です

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田尻友恵(たじり・ともえ)

医師(内科・皮膚科・麻酔科専門医)

1988年3月生まれ。2012年3月北里大学医学部医学科卒業。同年4月、東京医科歯科大学初期研修医として入職。その後、総合内科病院やクリニックで皮膚科・内科・美容皮膚科の診療経験を経て、2022年7月に錦糸町皮膚科内科クリニック、2026年6月には王子皮膚科美容皮膚科を開業する。内科的な視点を取り入れた総合的な診療を行うほか、大手企業の産業医として働く人々のメンタルヘルスケアにも携わっている。医療法人社団萌來会理事長、錦糸町皮膚科内科クリニック院長。

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