エスカレーターで「立ち止まったら舌打ちされた」どうする? 元警視庁公安部の専門家が教える“トラブル回避術”
エスカレーターでは「片側空け」が主流となっていますが、中には片側を空けずに乗る人もいてトラブルになることがあります。エスカレーターの利用時にトラブルを防ぐ方法について、危機管理の専門家に聞きました。

エスカレーターに乗っているとき、片側を空ける人は多いのではないでしょうか。ただ、中には片側を空けない人もいてトラブルになるケースもあるようです。安全にエスカレーターを利用するには、どのような心掛けが必要なのでしょうか。
警視庁公安部外事課などで勤務し、現在は危機管理・セキュリティーの専門家として企業などで活動し、「VIVANT」第2シーズン(TBS)の公安監修や、NHKクローズアップ現代などのテレビ番組でのコメンテーターなどでも活動中の松丸俊彦さんに「安全」と「マナー」の両面から聞きました。
エスカレーター歩行は「転倒事故」につながる危険
Q.エスカレーターを歩く人について、松丸さんは危機管理の専門家としてどう考えますか。
松丸さん「公共空間の安全という観点から考えれば、最優先すべきなのは『事故を起こさないこと』です。
エスカレーターは常に動いている設備です。そこで人が歩いたり、無理に追い越したり、体が接触したりすれば、本人だけでなく周囲の利用者を巻き込む転倒事故につながる可能性があります。
特に混雑している場所では、一人の転倒が複数の人を巻き込むことも考えなければなりません。『私は急いでいる』という事情と、公共の場所にいる他の人の安全は分けて考える必要があります。利便性よりまず安全第一です。危機管理の基本から考えても、そこは非常に重要だと思います」
舌打ちや暴言… トラブルに巻き込まれた際の対処法
Q.実際に「立ち止まっていたら後ろから舌打ちされた」「『どけ』と言われた」というケースではどうすればよいでしょうか。
松丸さん「最も避けてほしいのは、エスカレーター上で言い争いになることです。相手に腹が立ったとしても、振り返って言い返したり、そこで口論したりすると、バランスを崩す危険があります。
まずは安全にエスカレーターを降りることを優先してください。そして、相手がその後もついてくる、進路をふさぐ、体を押す、つかむ、脅すなど、危険を感じる行為が続く場合は、自分一人で解決しようとせず、駅員や施設の係員に助けを求めることです。
危機管理という意味では、『自分の正しさを証明すること』より、『危険な状況から離れること』が重要です」
Q.「片側を空けろ」と強く要求したり、力ずくで通ろうとしたりする行為についてはいかがでしょうか。
松丸さん「『自分は正しい』と思っていても、相手を威圧したり、身体的な力を使ったりしてよいということにはなりません。特にエスカレーター上では、押す、強く接触する、無理にすり抜けようとするといった行為そのものが事故につながる危険があります。
また、怒鳴る、執拗(しつよう)に相手を追う、体に触れるなどについては、その内容や程度によっては、単なる『マナー上のトラブル』という範囲を超えることもあり得ます。
もちろん、具体的な法的評価は個々の状況によって異なります。大切なのは『自分の常識に従わせるために、相手を威圧しない』ということです。公共空間では、お互いが少し距離を取り、施設側が示している安全な利用方法に従うことが、トラブル防止につながります」
ルール明確化で「利用者同士の摩擦」を減らす
Q.条例化して「立ち止まること」を求める自治体もあります。この動きをどう評価しますか。
松丸さん「事故防止やトラブル防止という面からも、行政や交通事業者が利用方法を明確に示すことには意味があると思います。利用者それぞれが異なる『常識』を持っている状態では、認識の違いがトラブルにつながる可能性があります。共通した安全ルールが浸透すれば、事故の防止だけでなく、利用者同士の摩擦を減らすことにもつながるでしょう」
Q.最後に、読者が明日からできることを教えてください。
松丸さん「公共空間で大切なのは、自分の都合や自分の正しさよりも、まず事故やトラブルを起こさないことです。危険な状況になった場合も、相手と争うのではなく、自分と周囲の安全を確保することを優先してください。
『安全を守る』という共通認識が広がれば、利用者同士の不要なトラブルも減っていくはずです」
(オトナンサー編集部)






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