暑い時期の「危険な下痢」見分けるポイントは? “すぐ病院に行くべき症状”を消化器病専門医が解説
下痢を発症後、すぐに受診すべき目安について、医師に聞きました。

暑い日に冷たい食べ物を食べ過ぎたり、冷房の効いた部屋に長時間滞在したりすることで下痢が起こりやすい人も多いのではないでしょうか。その際、一時的な症状だからと放置していませんか。暑い時期の下痢で医療機関を受診すべき目安や、下痢を防ぐ方法などについて、天王寺やすえ消化器内科・内視鏡クリニック(大阪市天王寺区)院長で総合内科専門医、消化器病専門医、内視鏡専門医の安江千尋さんに聞きました。
受診すべき目安は?
Q.下痢で医療機関を受診すべき目安について、教えてください。
安江さん「軽い水様便が数回程度で、水分が十分に取れており、発熱や強い腹痛がなく、全身状態も良好であれば、まずは水分と電解質を補いながら、短期間様子を見ることもできます。一方、次のような場合は早めに医療機関を受診してください」
【医療機関を受診すべき症状】
・血便や黒い便が出る
・発熱が続く、または高熱を伴う
・強い、または持続する腹痛がある
・嘔吐(おうと)を繰り返し、水分を取れない
・下痢が非常に頻回で、水分補給が追いつかない
・尿量が明らかに減る、口が強く渇く、立つとふらつくなど、脱水が疑われる
・数日たっても改善しない、あるいは悪化している
・抗菌薬を使用した後に下痢が始まった
・海外旅行後に下痢が続いている
大切なのは、下痢の回数や続いている日数だけで判断しないことです。血便、強い腹痛、高熱、水分が取れないといった症状があれば、発症した当日でも受診が必要です。
夏に特に注意したいのが、下痢と発汗による「二重の脱水」です。下痢では水分だけでなく、ナトリウムなどの電解質も失われます。そこに猛暑による発汗が重なるため、他の季節以上に脱水が進みやすくなります。
下痢が頻回な場合には、水だけを一度に大量に飲むのではなく、経口補水液などを少量ずつ、小まめに摂取することが有効です。ただし、腎臓病などで水分や塩分、カリウムの制限を受けている人は、自己判断で大量に摂取せず、主治医に相談してください。
また、意識がぼんやりする、立っていられないほどふらつく、ほとんど尿が出ない、水分を飲んでも吐いてしまうといった場合には、脱水が進んでいる可能性があります。家庭で様子を見ず、速やかに医療機関を受診してください。
乳幼児や高齢者、免疫機能が低下している人、重い基礎疾患がある人は、脱水や感染症が重症化するリスクが高いため、同じ程度の下痢でも受診のタイミングを早めに考えることが大切です。
下痢を防ぐには?
Q.暑い時期に下痢を防ぐにはどうしたらよいのでしょうか。
安江さん「暑い時期の下痢対策で最も重要なのは、『おなかを冷やさないこと』よりも、まず食中毒を防ぐことです。細菌性食中毒予防の基本は、厚生労働省が示している『つけない・増やさない・やっつける』の3原則です。
具体的には、調理前や食事前、トイレ後には手を洗う、生肉を扱った包丁・まな板・トングなどをそのまま他の食品に使用しない、肉は中心部まで十分に加熱する、調理した食品を室温に長時間放置しない、要冷蔵食品は速やかに冷蔵庫へ入れる、といった基本を徹底しましょう。バーベキューや焼き肉では、『生肉を扱う箸・トング』と『焼けた肉を取る箸・トング』を分けることも重要です。
また、『新鮮だから生でも大丈夫』と考えてはいけません。肉類は鮮度とは別に、病原性細菌などに汚染されている可能性があります。加熱の目安は中心部75度で1分以上です。
飲み物については、冷たいものを一律に禁止する必要はありません。冷たい飲み物で腹痛や下痢が起こりやすい人は量や温度を調整すればよいでしょう。それ以上に、甘い飲料や果汁飲料などを一度に大量に飲み過ぎないこと、脱水にならないよう小まめに水分を取ることが重要です。
そして、下痢になったからといって、無理に長時間絶食する必要もありません。嘔吐がなく食べられる状態であれば、体調に合わせて無理のない範囲で食事を摂って構いません。暑い時期に下痢をしたときに覚えておいていただきたいのは『冷房に当たったか』よりも、次の4点を確認することです」
・発症前に何を食べたか
・発熱や血便、強い腹痛はないか
・水分を十分に取れているか
・症状が何日続いているか
厚生労働省も、家庭で起きた食中毒は症状が軽かったり患者が少なかったりするため、風邪や「寝冷え」と思われ、食中毒と気付かれないことがあると注意喚起しています。
「冷房でおなかが冷えただけ」と決めつけず、症状の強さ、持続期間、発熱・血便などの随伴症状、そして発症前の食事歴を見ることが、危険な下痢を見逃さないためのポイントです。
(オトナンサー編集部)










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