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下痢が続く…単なる食べ過ぎ? それとも「がん」? 医師が教える受診すべき目安とは

下痢の症状が長引く場合、どのような原因が考えられるのでしょうか。医師に聞きました。

下痢が続く原因は?(画像はイメージ)
下痢が続く原因は?(画像はイメージ)

 5月から6月にかけて、寒暖差が大きい日もあり体調を崩しがちです。そのようなときに下痢の症状が出る人もいますが、中には長引く人もいるようです。この場合、どのような原因が考えられるのでしょうか。天王寺やすえ消化器内科・内視鏡クリニック(大阪市天王寺区)院長で総合内科専門医、消化器病専門医、内視鏡専門医の安江千尋さんに聞きました。

ストレスや自律神経が原因で発症することも

Q.そもそも、下痢になる原因について、教えてください。

安江さん「下痢は、便の中の水分量が増え、軟便や水様便になる状態を指します。誰でも一度は経験する非常に身近な症状ですが、その原因は多岐にわたります。単なる食べ過ぎや冷えによる一時的なものから、感染症、慢性的な腸の病気、さらにはがんなど重大な病気が隠れているケースまでさまざまです。

最も多い原因の一つは、食事内容の影響です。暴飲暴食や脂っこい食事、アルコールの取り過ぎ、香辛料など刺激の強い食べ物は腸を刺激し、下痢を引き起こすことがあります。また、冷たい飲み物や冷房による体の冷えも腸の動きを過剰にし、腹痛や下痢につながることがあります。

次に多いのが、ウイルスや細菌による感染性胃腸炎です。ノロウイルスやロタウイルス、カンピロバクター、サルモネラなどが代表的で、下痢に加えて腹痛、吐き気、発熱を伴うことがあります。特に梅雨時期から夏場にかけては食中毒も増えるため注意が必要です。

近年非常に多いのが、ストレスや自律神経の乱れによる下痢です。腸は『第二の脳』とも呼ばれるほど自律神経の影響を受けやすい臓器です。そのため、仕事や学校でのストレス、不安、睡眠不足などが続くと腸の動きが過敏になり、慢性的な下痢を起こすことがあります。代表的なのが『過敏性腸症候群(IBS)』で、通勤前や緊張する場面で腹痛や下痢を繰り返す人も少なくありません」

Q.寒暖差が激しい時期になることもありますが、これは珍しい現象ではないのでしょうか。

安江さん「『寒暖差による下痢』も、実は珍しいことではありません。特に5〜6月、あるいは季節の変わり目は、朝晩と日中の気温差が大きく、自律神経が乱れやすい時期です。自律神経は腸のぜん動運動をコントロールしているため、寒暖差によって腸が過敏に反応し、腹痛や下痢を起こす人が増えます。

さらに、この時期は冷房の使用も始まりやすく、体の冷えが胃腸機能に影響するケースもあります。特に普段から胃腸が弱い人や、ストレスを感じやすい人は症状が出やすい傾向にあります。

ただし、『季節的なものだろう』と自己判断してしまうのは危険です。下痢の背景には、潰瘍性大腸炎やクローン病などの炎症性腸疾患、大腸がんなどの病気が隠れていることもあります。特に長引く下痢や血便、体重減少を伴う場合は注意が必要です。

先述のように下痢は非常にありふれた症状ですが、『一時的な体調不良』なのか、『病気のサイン』なのかを見極めることが大切です。症状が続く場合は、早めに消化器内科で相談することをお勧めします」

下痢が続く場合に潜む病気と受診目安は?

Q.では下痢が続く場合、どのような原因が考えられますか。受診すべき目安も含めて教えてください。

安江さん「下痢は数日程度で自然に改善することも多い症状ですが、2〜3週間以上続く場合は注意が必要です。慢性的な下痢の背景には、さまざまな病気が隠れている可能性があります。

比較的よく見られるのは過敏性腸症候群です。ストレスや自律神経の乱れによって腸が過敏になり、腹痛や下痢を繰り返します。検査をしても明らかな異常が見つからないことが多い一方、日常生活に大きな支障を来すこともあります。

一方で、注意が必要なのが『炎症性腸疾患』です。代表的なのは潰瘍性大腸炎やクローン病で、慢性的な腸の炎症によって下痢や腹痛、血便を繰り返します。若い世代にも多く、放置すると重症化することがあります。

また、慢性的な下痢の原因として見逃してはいけないのが、大腸がんなどの消化器がんです。例えば大腸がんでは、次のような症状が見られることがあります」

【大腸がんの主な症状】
・下痢と便秘を繰り返す
・便が細くなる
・血便が出る
・おなかが張る
・体重が減る

特に、「これまで便通に問題がなかった人」が急に慢性的な下痢を起こすようになった場合は注意が必要です。また、大腸がんだけでなく、胃がんや膵臓(すいぞう)がんなどでも、消化機能の低下によって慢性的な下痢が起こることがあります。膵臓の機能が低下すると脂肪を消化しにくくなり、脂っぽい下痢便が続くケースもあります。受診の目安は次の通りです。

【下痢に関する受診の目安】
・下痢が2~3週間以上続く
・血便や黒色便がある
・発熱を伴う
・夜中にも下痢で起きる
・強い腹痛がある
・体重が減少した
・脱水症状がある

こうした症状が出た場合は早めの受診が必要です。特に「体重減少を伴う下痢」は重要なサインです。単なる胃腸炎や食あたりではなく、慢性的な炎症や悪性疾患が背景にある可能性があります。

下痢を放置すると病気以外のリスクも

Q.下痢が続く状況を放置した場合、病気を見逃してしまうこと以外にはどのようなリスクが生じる可能性があるのでしょうか。

安江さん「下痢が長引いているにもかかわらず放置すると、さまざまなリスクが生じます。最も身近なのは『脱水』です。

下痢では便と一緒に大量の水分や電解質が失われるため、体内バランスが崩れやすくなります。軽度では口の渇きやだるさ程度ですが、進行すると、めまいや血圧低下、動悸(どうき)、頻脈、意識障害などを引き起こすことがあります。特に高齢者や小児は重症化しやすく、高齢者の場合、下痢をきっかけに腎機能障害や全身状態悪化につながることもあります。

慢性的な下痢は栄養吸収障害にもつながります。本来、腸は食事から水分や栄養を吸収する役割を担っています。しかし、下痢が続くと十分に吸収できず、体重減少や貧血、低栄養、筋力低下、免疫力低下などを起こすことがあります。

下痢のすべてが重大な病気というわけではありませんが、『長引く』『繰り返す』『以前と便通が変わった』という変化は、体からの重要なサインです。

特に40歳以降で便通異常が続く場合は、大腸カメラによる精査を検討することをおすすめします。大腸がんは早期発見、早期治療が非常に重要な病気です。『下痢くらいで受診するのは大げさ』『そのうち治るだろう』と我慢せず、症状が続く場合は早めに消化器内科を受診することが大切です」

(オトナンサー編集部)

【要注意】「えっ…!」 これが「がん」を発症しやすい人の“特徴”です

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安江千尋(やすえ・ちひろ)

天王寺やすえ消化器内科・内視鏡クリニック院長、総合内科専門医、消化器病専門医、内視鏡専門医

がん専門病院で長年にわたり消化器がんの診療・内視鏡治療に従事した後、2024年に「天王寺やすえ消化器内科・内視鏡クリニック」(大阪市天王寺区)を開院。苦痛の少ない内視鏡検査と患者に寄り添う丁寧な診療で、地域医療に貢献している。特に胃・大腸の早期がん発見と内視鏡切除を専門とするほか、脂肪肝や肝機能障害をはじめとした肝臓疾患の診療にも力を入れている。天王寺やすえ消化器内科・内視鏡クリニック(https://tennoji-naishikyo.com/)。

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