喉が渇いた時点で1L不足? 夏の脱水は「脳卒中」の引き金に…“手遅れ”防ぐ水分補給のコツ【脳神経外科医が解説】
脳卒中を予防するために必要な水分摂取の方法について、医師に聞きました。

寒い時期ではなくて暑い時期も、脳梗塞や脳出血、くも膜下出血といった「脳卒中」の発症リスクが高まるといわれています。この時期に発症を防ぐには、どのような対策が必要なのでしょうか。水分補給の方法や喉の渇きを放置するリスクなどについて、晃友相模原病院(相模原市緑区)の院長で、脳神経外科医の小澤仁さんに聞きました。
体重60キロの人は1日1.2リットル以上の水分を摂取すること
Q.暑い日に脱水による「脳卒中」を予防するために、どのように水分を摂取すればよいのでしょうか。
小澤さん「小まめな水分補給を習慣にすることを心掛け、『喉が渇く前に飲む』を意識してください。特に『起床直後(就寝中の発汗で水分が失われているため)』『入浴の前後』『就寝前』『屋外活動の前、中、後』のタイミングでコップ1杯(約200ミリリットル)の水を習慣にするだけで、体の状態は大きく変わります。
ここで一つ大切なのが、『自分に必要な水分量はどれくらいか』を知っておくことです。『意識して飲んでいるつもり』でも、実際には足りていないケースは少なくありません。特に暑い時期は発汗量が増えるため、普段と同じ感覚では不足しやすくなります。そこで目安になるのが、体重をもとにした水分量の考え方です。1日に必要な水分量は、体重をもとに以下の式で推計できます」
【自分の必要水分量を体重から計算する基本の式】
・必要水分量(ミリリットル)=体重(キログラム)×35~40ミリリットル
【計算例】
・体重50キログラムの場合→1日当たり1750~2000ミリリットル
・体重60キログラムの場合→1日当たり2100~2400ミリリットル
・体重70キログラムの場合→1日当たり2450~2800ミリリットル
夏場や運動時はさらに発汗量が増えるため、上記の目安量に加えて、汗の量に応じた水分補給が必要です。
また、高齢者や、腎臓疾患・心不全のある人、利尿薬を使用している人は、逆に水分の取り過ぎが体への負担となる場合もあるため、適切な摂取量について主治医へ相談することが大切です。
なお、必要水分量のすべてを「飲み物」で補う必要があるわけではありません。私たちは普段の食事からも水分を摂取しており、3食をしっかり食べている場合、食事だけで約1000ミリリットル前後の水分を摂取していると考えられています。そのため、飲み物として意識したい水分摂取量は、一般的には1200ミリリットル前後が一つの目安になります。
ただし、暑い時期は発汗量が増えるため、屋外活動や運動量に応じて、さらに追加の水分補給が必要になる場合があります。
Q.「喉が渇いた」と感じた時点で、どれくらい脱水しているのでしょうか。
小澤さん「実は、喉の渇き(口渇感)を感じるのは、体重の約1~2%に相当する水分が失われた時点とされています。体重60キロの人なら、すでに約600~1200ミリリットルの水分が不足している状態です。脱水の進行度と主な症状の目安は以下の通りです」
・体重の約1~2%の脱水:喉の渇きを感じ始める。集中力や作業効率が低下する
・体重の約2~3%の脱水:強い口渇感、頭痛、めまい。血液粘度が上がり、血栓リスクが高まる
・体重の約3~5%の脱水:尿量の減少・濃縮(濃い黄色)、全身の倦怠感、立ちくらみ
・体重の約5%以上の脱水:意識障害、けいれん、熱中症・脳卒中の危険が急激に高まる(要救急)
「喉が渇いた」と感じたときには、すでに体は軽い脱水状態に傾いています。そのため、渇きを感じる前に小まめに水分を取ることが大切です。とはいえ、「ちゃんと足りているのか分かりにくい」と感じる方も多いかもしれません。
そんなときの一つの目安になるのが、尿の色です。尿が薄い黄色であれば、体の水分状態はおおむね保たれていると考えられます。反対に、「色が濃い」「量が少ない」といった変化がある場合は、水分不足のサインの可能性があります。
(オトナンサー編集部)















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