下痢、腹痛…「食中毒」のとき市販薬は飲んでいい? 悪化を招くまさかのNG行為&正しい薬の保管法とは
食中毒の初期症状や、常備薬の適切な保管場所、すぐに実践できる衛生管理術などについて、薬剤師に聞きました。

梅雨は湿度が高く、食中毒を引き起こしやすい時期です。もし家庭で食中毒とみられる症状が出た場合、どのように対処したらよいのでしょうか。知っておきたい食中毒の初期症状や、常備薬の適切な保管場所、すぐに実践できる衛生管理術などについて、薬剤師の真部眞澄さんに聞きました。
ただの胃腸炎だと思っていたら食中毒のケースも
Q.薬局に来る患者の相談の中で、「ただの胃腸炎だと思っていたら、実は食中毒の初期症状だった」というケースはありますか。また、食中毒とみられる症状が出た際に市販薬は飲んでもよいのでしょうか。
真部さん「症状が出ているのを少し放置していたら、急に悪化して食中毒と診断されたケースは実際にありました。一般的に、食中毒は有害な細菌やウイルスが付着した水や食べ物を摂取したことで起きる急性胃腸炎、あるいは神経障害などの中毒症を総称したもので、胃腸炎は感染した人からうつって起こるものを指します。
食中毒と胃腸炎の見分けがつきにくいのは、感染源が違うだけで両方とも胃腸に炎症が起き、下痢や嘔吐(おうと)、腹痛、発熱などのよく似た症状が出るからです。
最初は風邪やおなかの冷え、ただの胃腸炎を疑う人が多いのですが、同じものを食べた人が同時に体調不良を起こしたり、強い腹痛や急な下痢、血便、38度以上の発熱、脱水などの症状が出て、食事に思い当たる節があった場合は食中毒の可能性が高いと言えるでしょう。
付いていた菌によって潜伏期間が異なるので絶対ではありませんが、食後数時間から1日以内に症状が出る場合は食中毒を疑ってください。
もし食中毒になったら、特に気を付けていただきたいのが子どもや高齢者、持病がある人です。脱水や重症化リスクが高く、様子を見過ぎてしまうと危険なので、できるだけ早く受診していただければと思います。
なお、食中毒の可能性があっておなかの調子が悪い場合、ビオフェルミンなどの市販の整腸剤であれば服用しても問題ありません。脱水にならないように経口補水液も飲みつつ様子を見て、症状が改善しなかったり悪化した場合はぜひ受診していただきたいです。
一方で、食中毒の可能性があって下痢をしている場合は、市販の下痢止めを服用するのを避けていただきたいです。食中毒による下痢は止めずに体の外に出すのが基本であり、細菌を腸内に停滞させてしまうと治りが悪くなったり、症状を悪化させることがあります。
症状がひどい場合は自己判断で下痢止めを飲まずに病院に行き、医師の判断で処方薬をもらうのが良いでしょう」
薬を保管してはいけない場所は?
Q.おなかの調子が悪い場合、整腸剤を飲んでも問題ないとのことですが、梅雨の時期は湿度が高い日が続きます。湿気の関係で薬を保管してはいけない場所について、教えてください。
真部さん「湿気は薬を変質させるので、湿気が多い場所に保管していると効果がなくなったり、カビが生えたり、劣化したりすることがあります。特に粉薬や分包してある錠剤は影響を受けやすいので注意が必要です。
意外と置きがちなNGな保管場所としては、まずキッチンが挙げられます。食前や食後に飲む薬があるときに、飲み忘れを防ごうとしてキッチンに置く人がいますが、湿度や温度の変化が大きいので避けましょう。
次に洗面台です。寝る前に飲む薬を置いておく人がいますが、お風呂の蒸気などによって湿度が高くなりがちなので、洗面台には薬を置かないようにしてください。
また『とりあえず冷やしておけばよいだろう』と冷蔵庫に薬を入れる人が多いのですが、冷蔵庫は出し入れが多く、結露が起きてかえって湿気が発生してしまうことがあるため注意が必要です。
一方で、冷所保存と書いてある薬はもちろん、ぜひ夏場にはシロップ剤も冷気の直接当たらない冷蔵庫のドアポケットへ入れていただければと思います。
外出の際に持ち歩くつもりで、つい車の中に薬を放置してしまう人がいますが、特に夏場は高温多湿になり、薬の劣化につながるので注意していただきたいです。
薬の正しい保管場所は、直射日光が当たらず、湿気が少なく、室温が安定している場所です。具体的にはリビングの引き出しや棚が理想なのですが、小さな子どもやペットがいる人は間違えて食べてしまうことがないように十分注意してください。湿気対策としては、缶などの密閉できる容器に乾燥剤を入れて、正しい保管場所に置いておくとよいでしょう。
他の注意点としては、使いかけのものを長期保存しないことも大切です。開封後はパッケージに記載されている使用期限まで持たなくなるため、できるだけ早く使い切っていただければと思います」
食中毒を防ぐには?
Q.「梅雨の食中毒」を防ぐために、キッチンで「これだけは絶対にしていない」ことはありますか。スポンジの除菌やまな板の乾燥など、日常生活ですぐ取り入れられる衛生管理術を薬剤師の視点で教えてください。
真部さん「絶対にNGなのは、ぬれたまま放置することです。細菌は水分、温度、栄養がそろうと一気に増殖してしまいます。キッチンはこの3つの条件がそろいやすい場所なので、特に注意してください。
すぐに取り入れられるのは、まず調理の前後に必ずせっけんで手を洗うということです。調理中でも、生肉や魚を触った後やトイレの後には手洗いを徹底してください。
次に、スポンジを毎日リセットするということです。ぬれたままシンクに置きっぱなしにするのは一番だめです。使い終わったらよく洗ってしっかり絞り、風通しの良いところで乾燥させたり、しっかり洗った後に除菌効果のある洗剤をつけてもんだりするのが良いと思います。
また、梅雨の時期は特にスポンジを定期的に交換するのが望ましいです。安いスポンジで構わないのでたくさんストックを買っておき、1~2週間に1回くらいの頻度で新しいものに交換するとよいでしょう。
まな板は洗剤で洗ってから、立てて完全に乾かすまでを必ずセットで行うことが重要です。安全面で考えると、肉や魚用と野菜用のまな板を分けるのが理想だと思います。
また、スポンジと同じくふきんやタオルの使い回しをしないことも重要です。ぬれたまま繰り返し使うとどうしても細菌が増殖してしまうため、1日1回は違うものに替え、使ったものはすぐに洗うとよいでしょう。
最後に、食べ物の作り置きについてです。梅雨以降の時期は特に常温で放置するのが最も危険なので、粗熱が取れたら小分けにしてすぐ冷蔵庫に入れるのを必ず守ってください。
特に熱いからと作ったカレーやシチューを鍋のまま置きっぱなしにしてしまう人がいますが、一晩で『ウェルシュ菌』という細菌がすぐに繁殖してしまいます。ウェルシュ菌は見た目や臭いでは全く分からず、基本的に加熱しても死滅しないため、食中毒の要因になりやすいといわれています。そのため、絶対に鍋のまま常温で放置しないでください」
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梅雨の時期はキッチン用品をぬれたまま放置せず、小まめに取り替えることが重要だと分かりました。気温や湿度が高くなる時期なので、食材や薬の取り扱いにはいつも以上に気を配るとよいでしょう。







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