新幹線で「座席」倒されスマホ壊れた…実は賠償請求できないケースも? 必要な証拠を弁護士解説
新幹線に乗っている際、前の人が急に座席を倒してきたことがきっかけでテーブルに置いていた飲み物がこぼれたり、スマホが落下して故障したりした場合、相手に賠償を請求できるのでしょうか。弁護士に聞きました。

帰省先や旅行先から帰る際に新幹線を利用する人は多いのではないでしょうか。その際、前の人が断りもなく座席を倒してしまった結果、座席のテーブルに置いてあった飲み物がこぼれたり、置いていたスマホやパソコンが落下したりしてしまった経験がある人もいるようです。
こうしたケースでもし服が汚れたり、機器が破損したりするなどした場合、相手に賠償を請求できるのでしょうか。芝綜合法律事務所の牧野和夫弁護士に聞きました。
賠償請求するには「相手の過失」の証明が必須
Q.そもそも、新幹線で座席を倒す際、法律上、後ろの人へ声を掛ける義務はあるのでしょうか。
牧野さん「後ろの人へ声を掛けなければいけない法的な義務は規定されていませんが、後ろの人へ損害を与えて損害を賠償する責任を負わないように『一言声を掛ける』『ゆっくり倒す』などの配慮は必要です」
Q.もし新幹線に乗っている際、前の人が事前に一声掛けずに座席を倒してきた結果、テーブルに置いてあった飲み物や弁当、スマホなどが落下したとします。服が汚れたり、物が破損したりするなどした場合、相手に賠償を請求できるのでしょうか。
牧野さん「新幹線で座席を勢いよく倒されたことで後ろの人の飲み物や弁当がこぼれたり、スマホが落下して壊れたりした場合、座席を勢いよく倒した人に『過失(不注意)』が認められれば、クリーニング代や修理代などの損害を被った人は、その損害の賠償を、座席を勢いよく倒した人に請求することができる可能性があります。
民法の不法行為による損害賠償責任が認められるためには、相手の『故意または過失』とそれによって損害が発生したこと、つまり相当因果関係の証明が必要です。例えば、後ろを確認せず、シートを勢いよくガタンと急激、乱暴に倒して後席に損害を与えた場合には、後ろの状況を配慮しないで損害を与えたとして過失が認められる可能性が高くなります。
特にテーブルに飲み物やスマホが置いてあることが容易に想像できた(予見できた)場合には過失が認められる可能性があるでしょう」
賠償請求するために必要な証拠とは?
Q.もし相手が賠償に応じない場合、どのように対処すればよいのでしょうか。
牧野さん「話し合いが重要ですが、相手が賠償に応じない場合には、加害者に後日法的措置を取るために、相手が誰であるか運転免許証などを提示してもらい、相手の身元を確認しておくべきです。
さらに後日、法的措置を取ったときに勝訴の可能性を高めるために、その場で駅員や車掌に声を掛けて状況の記録、目撃者の証言や被害に遭った際の現場の写真、修理やクリーニングの領収書など、できるだけ証拠を取っておくべきです」
賠償金が減額される“過失相殺”のケースとは
Q.後ろの人がテーブルいっぱいに荷物を置いていた場合など、双方に責任があると判断されるケースもありますか。
牧野さん「後ろの被害者がテーブルの許容範囲を超える危険な置き方をしていたり、テーブルいっぱいに荷物を置いていたりした場合、あるいは常識的な範囲でゆっくり丁寧に倒したにもかかわらず、後ろの人が不安定な状態で飲み物を置いていた場合など、損害を被った側にも損害発生に寄与した責任があると認められるケースがあります。その際は被害者の過失が考慮されて損害賠償額が『過失相殺』で被害者の過失の程度・割合に応じて一定割合の金額が減額される場合があります」
Q.新幹線だけでなく飛行機や高速バスでも同様のトラブルは起こり得ますが、利用者がトラブルを防ぐために意識したいポイントを教えてください。
牧野さん「他人とのトラブルを望んでいる人はいないでしょう。先述のように同様の法的トラブルを防ぐためには、周りの人へのちょっとした気配りが重要となります。お互いに『一言声を掛ける』『ゆっくり倒す』といった思いやりの気持ちを持つことが大切です」
(オトナンサー編集部)







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