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「キャンセル料払えばOK」は間違い? 高速バスの“相席ブロック”に弁護士が警告する理由とは

もし高速バスの利用時に相席ブロックを行った場合、法的責任を問われる可能性はあるのでしょうか。弁護士に聞きました。

高速バスの利用時に相席ブロックを行った場合、法的責任を問われる?(画像はイメージ)
高速バスの利用時に相席ブロックを行った場合、法的責任を問われる?(画像はイメージ)

 今年のシルバーウイークは9月19日から同月23日です。この時期に新幹線や飛行機、高速バスなどを利用して旅行に行く人は多いのではないでしょうか。

 近年、高速バス業界では、客が1人で利用する際に隣り合う2つの席を同時に予約後、うち1席を乗車直前にキャンセルし、隣席に他人が座るのを防ぐ「相席ブロック」が横行し、問題となっています。

 そのため、バス会社の中にはキャンセル時の手数料を引き上げるケースが増えつつありますが、もし高速バスの利用時に相席ブロックを行った場合、法的責任を問われる可能性はあるのでしょうか。佐藤みのり法律事務所の佐藤みのり弁護士が解説します。

偽計業務妨害罪に該当する可能性も

 近年、主に高速バスで問題となっている「相席ブロック」は、1人で利用する際に隣接の席も予約し、うち1席を乗車直前にキャンセルする行為を指しますが、予約をキャンセルした座席については、利用者がキャンセルポリシーに従ってキャンセル料や払い戻し手数料を負担しているようです。

 そのため、キャンセルポリシーに従った負担をしているのだから自由ではないか、法的に問題となる行為ではないと思う人もいるかもしれません。しかし、相席ブロックについては、法的責任を問われる可能性も否定できません。

 そもそも最初から乗車するつもりも、その分の運賃を支払うつもりもない座席を予約する行為は、バス会社が想定しておらず、乗車する意思のある通常の予約であると相手を誤解させる行為です。

 そして、直前のキャンセルにより、他の乗車したい客が乗車する機会を奪われ、バス会社からすれば、他の乗客を乗せることによって得られる利益が得られなくなり、経済的な損害を被ります。そのため、相席ブロックにより損害が生じたと言える場合、損害賠償責任を問われる可能性があるでしょう。

 また、相席ブロックはバス会社を欺き、通常の予約であると誤解させ、その業務を妨害していると評価することもでき、偽計業務妨害罪が成立する可能性もあります(刑法233条)。偽計業務妨害罪の刑罰は3年以下の拘禁刑または50万円以下の罰金です。

 特にお盆や年末年始など、高速バスの需要が高まる時期に相席ブロックをした場合、相席ブロックのせいで乗車希望の客が乗れなくなり、バス会社に損害が生じる可能性が高まり、損害賠償請求を受けたり、賠償責任が認められたり、偽計業務妨害罪を問われたりする可能性は上がるように思います。

 もともと多くのバス会社は、性善説に基づき、乗車希望者の急な予定変更や体調不良などに対応できるよう、キャンセル料や払い戻し手数料を低く抑え、柔軟なキャンセルポリシーを定めていました。

 しかし、相席ブロックのような一部の迷惑行為を受け、バス会社の中にはキャンセル料や払い戻し手数料を上げたり、一度の予約可能数を減らしたりするなど、さまざまな対策を講じている会社もあるようです。

 高速バスには特に需要が高まる時期があり、利用者は、他の利用者のことも考え、良識的な行動が求められているように思います。

 なお、高速バスのチケットを2席分予約し、その後、キャンセルせずに2席分の金額を支払った場合、通常、2席分の使用が認められるでしょう。

 バス会社は乗客との間で運送契約を結んでいますが、その内容は約款で定められています。そして、多くのバス会社は、国土交通大臣が示した標準運送約款と同一の運送約款を定めています。

 一般乗合旅客自動車運送事業標準運送約款では、1人で2席分購入し使用することを禁じる定めはなく、これに従い、多くのバス会社も1人で2席分の使用を禁じていないものと思われます。

 2席分を1人で使える「ダブルシート」プランを用意しているバス会社もあります。このプランでは、2席分を購入するよりも割安で、2席分のスペースを確保できるようなので、どうしても隣に他人が座ることに抵抗がある場合、こうしたプランの利用を検討するとよいでしょう。

(オトナンサー編集部)

【画像】「相席ブロック」だけじゃない! これが「高速バス」でやってはいけない“NG行為”です

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佐藤みのり(さとう・みのり)

弁護士

神奈川県出身。中学時代、友人の非行がきっかけで、少年事件に携わりたいとの思いから弁護士を志す。2012年3月、慶応義塾大学大学院法務研究科修了後、同年9月に司法試験に合格。2015年5月、佐藤みのり法律事務所開設。少年非行、いじめ、児童虐待に関する活動に参加し、いじめに関する第三者委員やいじめ防止授業の講師、日本弁護士連合会(日弁連)主催の小中高校生向け社会科見学講師を務めるなど、現代の子どもと触れ合いながら、子どもの問題に積極的に取り組む。弁護士活動の傍ら、ニュース番組の取材協力、執筆活動など幅広く活動。女子中高生の性の問題、学校現場で起こるさまざまな問題などにコメントしている。

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