豪雨で「地下駐車場」に止めていた車が水没…施設の運営側に賠償請求できる? 責任の境界線を弁護士に聞く
もし急な大雨で地下駐車場に止めていた車が水没してしまった際、排水ポンプや止水板などに不備があった場合、施設側に損害賠償を請求することは可能なのでしょうか。弁護士に聞きました。

各地で線状降水帯の発生による急な大雨の影響で、車が水没する被害が相次いでいます。大雨のときはアンダーパスや地下道などが水没しやすいため、車の運転時は注意が必要です。
もし急な大雨で地下駐車場に止めていた車が水没してしまった際、排水ポンプや止水板などに不備があった場合、施設側に損害賠償を請求することは可能なのでしょうか。アトム法律事務所の松井浩一郎弁護士に聞きました。
施設側に不備があると賠償請求が認められる可能性も
Q.そもそも、事故や火災などが発生し、地下駐車場に止めていた車が破損したり、焼損したりした場合、運営者が法的責任を問われるケースはありますか。
松井さん「法的責任に問われるケースはあります。運営者と利用者との間に駐車場利用契約がある場合、契約上、車両を安全に駐車・保管できる状態を維持すべき義務を怠ったとして『債務不履行責任』(民法415条)を問われる可能性があります。
また、駐車場という『土地の工作物』の設置・管理に不備があれば『工作物責任』(民法717条)が、故意または過失により被害を生じさせた場合には『不法行為責任』(民法709条)が成立し得ます」
Q.急な大雨で車が水没した場合、実際に運営者側へ賠償を請求することはできるのでしょうか。
松井さん「ケースバイケースですが、ポイントは『浸水を予見することができたか』『それに見合った対策を取っていたか』の2点です。
例えば、排水ポンプや止水板が整備されていなかったり、故障した状態を放置していたりすれば、管理体制の不備として責任が認められやすくなります。その場合は、賠償責任を負う可能性は高くなるでしょう。近年は、豪雨による甚大な被害がメディアで報じられているため、『まさかここまでの雨量になるとは予見できなかった』という主張は、以前よりも通用しにくくなっている傾向にあると言えます。
一方で、施設の設計および管理水準からして想定を大きく超える記録的な豪雨であれば、免責される可能性もあります。実際に、2025年9月に三重県四日市市の地下駐車場で発生した車の水没事案では、検証委員会が『当時の設備・体制で浸水そのものを完全に防ぐのは困難であった』とする一方で、国が所有する部分の止水板の故障が被害を拡大させた一因であることは否定できないと指摘し、これを受け、国は被害額の約3分の1を補償する方針を示しました。
しかし、これでは不十分であるとして、被害者の一人が国や管理会社などを相手に訴訟提起しており、今後の裁判所の判断が注目されます」
Q.普段から地下駐車場を利用している場合、水害による車の水没や故障に備えるにはどのような対策が有効なのでしょうか。
松井さん「車両保険が利用できるかを事前に確認しておくとよいでしょう。保険の内容によっては、水災を補償対象外としているものもあるためです。また、万一被害に遭った場合は、被害車両の写真や施設側とのやり取りを記録しておくと、その後の保険請求や交渉で役に立つと思われます」
(オトナンサー編集部)






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