9月に急増する「砂漠肌」…理由は夏の紫外線? “おすすめ市販薬”と正しいスキンケア【薬剤師に聞く】
秋に砂漠肌になるメカニズムや、市販で買えるおすすめの製品、正しいスキンケアの順番などについて、薬剤師に聞きました。

夏に日焼けをした人は多いと思います。その場合、紫外線のダメージにより、9月以降に水分や皮脂が極端に失われる「砂漠肌」になる可能性があります。なぜ夏のダメージが秋以降に影響を及ぼすのでしょうか。
秋に砂漠肌になるメカニズムや、市販で買えるおすすめの製品、正しいスキンケアの順番などについて、薬剤師の真部眞澄さんに聞きました。
夏のダメージが「9月」に表面化するメカニズム
Q.夏の紫外線ダメージが、なぜ9月以降に砂漠肌として表面化するのでしょうか。
真部さん「9月になると、急に肌がゴワゴワしたり、化粧水がヒリヒリしみたりする人が急増します。高価な美容液を手当たり次第に試す前に、まずは薬局で買える実力派の保湿剤で肌の土台を立て直すとよいでしょう。
そもそも9月にダメージが表面化するのは、肌の生まれ変わりのサイクルであるターンオーバーによる時間差があるからです。ターンオーバーのサイクルは20代で約28日、30~40代で約40~55日、50代は約55~75日、60代以降はさらに長くなるという特徴があります。
肌は奥から表面へと押し出されるようにして生まれ変わりますが、7月から8月にかけての強い紫外線やエアコンの乾燥で、肌の奥のバリアー機能に大きなダメージを受けて傷ついた細胞が、ちょうど9月ごろに表面に押し上げられてくるのです。
さらに、9月に入ると過ごしやすくなる反面、空気の乾燥と湿度の低下が一気に進みます。夏にバリア機能がボロボロになった肌は水分を蓄える力がないため、その状態で乾燥した秋風が吹くと一気に水分が蒸発し、ベリベリの乾燥肌になったり、肌荒れを引き起こしたりするのです」
薬局で選ぶべき「4つの有効成分」
Q.砂漠肌になった際におすすめの市販薬について、教えてください。
真部さん「一番おすすめなのは、乾燥肌の治療薬として有名で、医療用医薬品として使用されているヘパリン類似物質を含む製品です。単に肌の表面を潤すだけでなく、肌の奥、角質層の深部まで浸透して、水分を蓄える力を根本から高めてくれます。
さらに血行促進や抗炎症作用もあるため、まずは『ヘパリン類似物質』で肌の土台を立て直すとよいでしょう。成分が同じものでも、軟膏やクリーム、ローションタイプなどさまざまな商品が出ており、形状を変えるだけでかなり使い勝手が変わるため、その時の肌の状態で選んでください。9月のベリベリした肌であれば、まずは伸びが良くて摩擦の少ないローションタイプから始めるとよいと思います。
9月ごろはまだ暑いので、ベタベタするのは嫌だという人もいるかもしれません。その場合はさっぱりしたローションタイプから始めて、少し寒くなってきたらクリームタイプ、冬場にはもっちりした油性クリームタイプに変えるとよいでしょう。
ただし、ヘパリン類似物質は血行促進効果があるため、かきむしるなどして血が出ている傷口には絶対に使用しないでください。赤みが強かったり、出血していたり、ジュクジュクした浸出液が出ているときは、自己判断で保湿せずに皮膚科を受診して、症状を治してから使用していただければと思います。
次に『セラミド』もおすすめです。レンガのセメントのような役割を果たす成分で、不足すると細胞と細胞の間から水分が漏れ続けてしまうため、保湿には欠かせません。セラミドにはいくつか種類がありますが、パッケージにヒト型セラミド、セラミドAPやセラミドNPなどと書いてあるものを選ぶと、人の肌になじみやすくてバリアー機能も急速にサポートしてくれるので良いと思います。
さらに『甘草』という植物の根から抽出した植物由来の成分である、グリチルリチン酸ジカリウムもおすすめです。肌が赤くなっていつもの化粧水がしみるという場合、肌の奥で微細な炎症が起きてしまっています。グリチルリチン酸ジカリウムは、優れた抗炎症作用で赤みやヒリヒリを鎮めてくれるため、この成分が配合された薬用のバームや乳液を選ぶとよいでしょう。
このほか『トコフェロール酢酸』というビタミンEの誘導体は、血行促進と抗酸化作用を持っている成分なので、肌を若く健康に保つことができます。
しかし、これらの成分も肌の状態や、アレルギーのある人によっては皮膚の赤みや発疹、ピリピリとした刺激感などが出る場合もあるので注意しましょう」
保湿剤を生かした正しいスキンケアとは?
Q.高級化粧品を使う前に知っておきたい、薬局の保湿剤を使った正しいスキンケアの順番について教えてください。
真部さん「どんなに良い保湿剤でも、塗る順番を間違えてしまうと効果がガクンと落ちてしまいます。水分の多いものから順につけて、油分でふたをするというのが鉄則です。
まず、洗顔をした後に水分補給として化粧水をつけ、肌に水分を行き渡らせてから手で優しく包み込むようになじませます。この際、パッティングをすると肌を傷つけてしまうので避けましょう。
その後、ヘパリン類似物質ローションなどの水分を抱え込む製品を塗り、肌の奥まで潤いをキープする土台を作ります。最後にバリアーとして乳液をつけて潤いを整えてください。セラミドなどが配合された乳液で水分と油分のバランスを整えて、肌のバリアー機能をサポートすると良いでしょう。
肌がボロボロになると化粧品を手当たり次第に試す人もいるようですが、そのうちターンオーバーで次のきれいな肌が上がってきますから、乾燥がひどいときにはむしろ、最小限の成分で肌の土台を回復させる方がいいと思います。
また、症状がひどい場合は自己流でいろいろな化粧品を試すのではなく、皮膚科に行って相談するのがベストです。
なお、肌の調子が悪くて皮膚科の薬を使っていたり、傷の治療をしていたりする場合は、この順番が適していないケースもあるため、医師の指示に従っていただければと思います」
* * *
夏の紫外線ダメージが秋の肌に現れるのは、ターンオーバーの時間差によるものだと分かりました。焦って高い化粧品をいろいろ試す前に、一旦ターンオーバーを待ちながら、医療用医薬品で土台から肌を立て直すのが効果的かもしれません。
(オトナンサー編集部)







コメント