「ジェネリックは効き目弱い」は本当? 「先発品」継続で年間1万円超の差…薬剤師に聞く「選定療養」の仕組み
ネット上では「ジェネリック医薬品は効き目が弱い」という内容の情報がありますが、本当なのでしょうか。薬剤師に聞きました。

医薬品には、最初に開発、承認、発売された「先発医薬品」(新薬、以下先発品)と、先発医薬品の特許期間などが満了した後、厚生労働省の承認下で他の医薬品メーカーが製造、販売する同一の有効成分の医薬品である「ジェネリック医薬品(後発医薬品)」があります。
中にはジェネリック医薬品の効き目を疑問視する人もいるようでSNS上では「ジェネリックだと効き目が変わるものがある」「1回だけジェネリックにしたら効きが悪くて元に戻してもらった」「ずっと飲んでた薬がジェネリックに変わってから効きがあまりよくない気がする」などの声が上がっています。
そもそも、先発品とジェネリック医薬品とを比べた場合、会計にどの程度差が出るのでしょうか。また、ネット上では「ジェネリック薬は効き目が弱い」という内容の情報がありますが、本当なのでしょうか。薬剤師の真部眞澄さんに聞きました。
効き方や飲みやすさに違いはあるが…
Q.2024年から始まった「選定療養」によって、あえて先発品を選んだ場合、具体的にどの程度負担が増えるのでしょうか。
真部さん「2024年10月から、ジェネリックの薬があるのにあえて先発品を希望する場合には追加料金が発生する、いわゆる『長期収載品の選定療養』という制度が始まりました。そして2026年6月からは、自己負担率がさらに上がります。これまでは3割の保険負担に加えて差額の4分の1を払う形でしたが、今後は差額の半分を負担しなければなりません。具体例を挙げると、例えば1錠100円の先発品と1錠20円のジェネリックの薬があるとします。差額は80円なので、これまでは差額の4分の1である20円が3割負担の金額に上乗せされていました。
しかし今後は差額の半分を負担するので、40円が上乗せされることになります。この追加費用が選定療養費です。
また、保険適用で処方されるお薬は消費税がかかりませんが、選定療養費には消費税が加算されるので、最終的には40円に消費税がかかって44円の追加負担となります。30日分処方されると考えた場合、ジェネリックを使わないことで計1320円を追加負担しなければなりません。保険の3割負担に追加でこれだけ支払いが増えることを考えると、ジェネリックへの移行をきちんと検討すべき時だと思います」
Q.ネット上では「ジェネリック医薬品は効き目が弱い」という情報がありますが本当なのでしょうか。成分が同じなら効果も全く同じなのでしょうか。
真部さん「ジェネリック医薬品には、病気を治すメインの有効成分が先発品と全く同じ種類、同じ量が配合されています。有効成分の量や品質、効果が先発品と同等であることが国の厳格な審査で認められて、初めてジェネリック医薬品となるのです。
しかし、形を整える成分や味、色などのコーティング剤や、錠剤の大きさなどは各メーカーがオリジナリティーを出しながら競争しています。そのため、飲みやすさや味、大きさがメーカーによって変わるだけでなく、コーティング剤によって体の中で溶けるスピードがわずかに変わり、少し効き方に差があると感じる人もまれにいらっしゃるのです。
他にも、口の中で苦く感じたり、錠剤が大きくて飲めなかったり、副作用でおなかが緩くなったりするといった個人差はあります。しかし、コーティング剤が違っても治療に影響はないことが証明されて初めてジェネリックとしての販売が認められるため、ジェネリック医薬品だから効き目が弱いということはありません。あくまでも効き方や飲みやすさが微妙に違うということです。
『何となく安心だから』という理由だけで先発品を選ぶのは、今後金銭面でも厳しくなると思います。そのため、まずはジェネリック医薬品を少しだけ試してみるのがお勧めです。
ずっと効き目があった薬を急にジェネリック医薬品に変えるのは不安だと思うので、鼻が詰まっているなどの単発の症状の時に少し使ってみて、自分に合うかを見るとよいのではないでしょうか。もし違和感があった場合は、医師に伝えれば先発品に戻してもらえます。ジェネリック医薬品に変えたら二度と先発品に戻してもらえないというわけではないので、こだわりがない場合は試してみる価値があるでしょう」
やむを得ず先発品を使用する場合は追加料金かからず
Q.どうしても先発品を使いたい場合に「追加料金を払わなくて済むケース」はありますか。
真部さん「全ての先発品に選定療養費が適用されるわけではありません。選定療養費はあくまで最初の薬が出てからだいぶ時間がたち、ジェネリック医薬品が出てからも時間がたっており、多くの人がジェネリックに移行している長期収載品に適用されます。
そのため、先発品が新しい薬でジェネリック医薬品がまだなかったり、ジェネリック医薬品が出て間もなかったりする薬の場合は長期収載品にならないため、追加負担がありません。
さらに、過去に薬でアレルギーが出たり、副作用が出たりしていて、この患者には先発品の方が適している、医療上の必要性があると医師が判断した場合は、処方箋に変更不可の指示がつき、追加料金なしで先発品を使用することができます。
また、現在は薬の入手が困難な状況が続いており、ジェネリック医薬品の在庫がなくて先発品を利用することがあるかもしれません。患者の意思ではなく、やむを得ず先発品を処方する場合も追加料金がかからないです。
なお、薬は病名ごとに適用が認められていますが、先発品で認められているものが、ジェネリック医薬品ではまだ審査に通っていないため使用できない場合があります。その時も医師の変更不可の指示がつき先発品が使われます。このように特許などの関係で先発品が選ばれる特殊なケースもあります」
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ジェネリック医薬品があるのにあえて先発品を選ぶと、支払い金額にかなり差が出ることが分かりました。「ジェネリック薬は効き目が弱いというのは誤り」なので、特にこだわりがない場合は切り替えるのがおすすめです。
(オトナンサー編集部)







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