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あくび、だるさはサイン? 健康診断で見落とされやすい“隠れ貧血”の正体とは

健康診断で貧血ではないと判定されても貧血の症状が出る、いわゆる「隠れ貧血」の症状や注意点などについて、医師に聞きました。

あくびがよく出るのは隠れ貧血?(画像はイメージ)
あくびがよく出るのは隠れ貧血?(画像はイメージ)

 最近「疲れやすい」「集中力が続かない」などの症状に悩まされていませんか。この場合、健康診断で貧血ではないと判定されても貧血の症状が出る、いわゆる「隠れ貧血」かもしれません。どのような症状に注意すべきなのでしょうか。隠れ貧血の際に生じる主な症状について、天王寺やすえ消化器内科・内視鏡クリニック(大阪市天王寺区)院長で総合内科専門医、消化器病専門医、内視鏡専門医の安江千尋さんに聞きました。

隠れ貧血は「貧血の前段階」

Q.そもそも、隠れ貧血とはどのような状態を指すのでしょうか。

安江さん「『隠れ貧血』とは、一般的には“ヘモグロビン値は正常範囲内であるものの、体内の鉄分が不足している状態”を指します。医学的には『潜在性鉄欠乏』や『鉄欠乏状態』と表現されることもあります。通常、健康診断で『貧血』と診断されるのは、血液中のヘモグロビン値が基準値を下回った場合です。ヘモグロビンは赤血球の中に含まれるタンパク質で、全身へ酸素を運ぶ重要な役割を担っています。

しかし、鉄不足は突然起こるわけではありません。まず、肝臓や骨髄などに蓄えられている『貯蔵鉄』が減少し、その後さらに鉄不足が進行すると、ヘモグロビン合成に影響が出て、初めて一般的な“鉄欠乏性貧血”になります。

つまり、『隠れ貧血』は、まだヘモグロビン値は正常でも、体の中ではすでに鉄不足が始まっている“貧血の前段階”とも言える状態です。そのため、一般的な健康診断だけでは見逃されることがあります。特に重要なのが『フェリチン』という検査項目です。フェリチンは、体内にどれだけ鉄が蓄えられているかを反映する指標で、隠れ貧血ではヘモグロビンが正常でもフェリチン値が低下していることがあります。

『ヘモグロビン値が正常なら安心』と思われがちですが、実際には鉄不足によるさまざまな不調がすでに出ているケースも少なくありません」

Q.隠れ貧血だと、具体的にどのような症状が出るのでしょうか。隠れ貧血を見分ける目安や注意すべき症状について教えてください。例えば、あくびが頻繁に出たり、眠気が出やすくなったりすると聞きますが、本当なのでしょうか。

安江さん「隠れ貧血では、まだヘモグロビン値が大きく低下していないため、『典型的な貧血症状』が目立たないことがあります。しかし、体内の鉄不足そのものによって、さまざまな不調が現れることがあります。代表的なのは、『疲れやすい』『だるい』『集中力が続かない』といった症状です。特に、『しっかり寝ても疲れが抜けない』『以前より仕事や家事でミスが増えた』と感じる人は少なくありません。

また、『眠気が出やすい』『あくびが増える』と感じる人もいます。これは、鉄不足によって脳や全身への酸素供給効率が低下し、脳が慢性的な酸素不足のような状態になることが関係していると考えられています。

ただし、『あくび=隠れ貧血』と断定できるわけではありません。睡眠不足、ストレス、自律神経の乱れなどでも起こるため、他の症状と合わせて考えることが重要です。

鉄は酸素運搬だけでなく、脳内神経伝達物質の働きにも関与しているため、精神面への影響もあります。『イライラしやすい』『気分が落ち込みやすい』『やる気が出ない』など、一見するとストレスやメンタル不調に見える症状が、実は鉄不足に関連しているケースもあります。

さらに、頭痛やめまい、立ちくらみ、動悸(どうき)、息切れなども比較的よく見られます。ただし、一般的な貧血ほど強い症状にならないことも多く、『病院へ行くほどではないけれど、ずっと不調』という形で現れることが特徴です。女性では『冷え性の悪化』『髪が抜けやすい』『爪が割れやすい』『肌荒れ』などから気付くこともあります。

また、鉄不足では舌や口の粘膜にも影響が出ることがあり、口角炎や舌のヒリヒリ感、味覚異常などが見られる場合もあります。隠れ貧血を見分ける目安は次の通りです。これらに心当たりがあり、もし体に異変を感じるようになったら、医療機関の受診をお勧めします」

【隠れ貧血を見分ける目安】
・慢性的な疲労感
・眠気
・集中力低下
・動悸
・月経量が多い
・食生活の偏り
・ダイエット歴

(オトナンサー編集部)

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安江千尋(やすえ・ちひろ)

天王寺やすえ消化器内科・内視鏡クリニック院長、総合内科専門医、消化器病専門医、内視鏡専門医

がん専門病院で長年にわたり消化器がんの診療・内視鏡治療に従事した後、2024年に「天王寺やすえ消化器内科・内視鏡クリニック」(大阪市天王寺区)を開院。苦痛の少ない内視鏡検査と患者に寄り添う丁寧な診療で、地域医療に貢献している。特に胃・大腸の早期がん発見と内視鏡切除を専門とするほか、脂肪肝や肝機能障害をはじめとした肝臓疾患の診療にも力を入れている。天王寺やすえ消化器内科・内視鏡クリニック(https://tennoji-naishikyo.com/)。

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