オトナンサー|オトナの教養エンタメバラエティー

花粉症がツライ…実は「腸内環境」が原因? 免疫バランスを整える食事とは【専門医解説】

腸内環境を整えるに効果的な食べ物や、花粉症の際にできるだけ摂取を控えた方がよい飲食物について、消化器病専門医に聞きました。

花粉症のときに免疫バランスを整える食事とは(画像はイメージ)
花粉症のときに免疫バランスを整える食事とは(画像はイメージ)

 2月中旬以降、スギ花粉が本格的に飛散するようになりました。そんな中、ネット上では「花粉症の症状がひどくなる人は腸内環境が悪化している」という情報があります。こうした情報は本当なのでしょうか。腸内環境を整えるのに効果的な食べ物や、花粉症の際にできるだけ摂取を控えた方がよい飲食物について、天王寺やすえ消化器内科・内視鏡クリニック(大阪市天王寺区)院長で総合内科専門医、消化器病専門医、内視鏡専門医の安江千尋さんに聞きました。

症状が重度の場合は受診を

Q.そもそも、ネット上では「花粉症の症状がひどくなる人は腸内環境が悪化している」という情報がありますが、本当なのでしょうか。

安江さん「結論から言うと、『一定の関連は示唆されているが、腸内環境だけで症状の重さが決まるわけではない』というのが医学的に正確な答えです。花粉症は、スギなどの花粉に対して免疫が過剰に反応し、鼻や目の粘膜で炎症が起こるアレルギー疾患です。この“免疫の過剰反応”に腸内環境が関与している可能性があることが、近年の研究で分かってきました。

腸には全身の免疫細胞の約7割が存在しているといわれ、腸内細菌は免疫のバランスを整える役割を担っています。特に、腸内細菌が食物繊維を分解して作る酪酸などの『短鎖脂肪酸』には、炎症を抑える働きや、免疫の過剰反応を抑制する作用があることが知られています。

腸内環境が乱れると、こうした調整機能が十分に働かなくなり、アレルギー反応が強く出やすくなる可能性があります。そのため、『腸内細菌のバランスが乱れている人の方が、花粉症の症状が重くなりやすいのではないか』という考え方があるのです。

ただし、花粉症の症状の重さは、腸内環境だけで決まるものではありません。花粉の飛散量、遺伝的体質、ストレスや睡眠不足、喫煙、肥満、他のアレルギー疾患の有無など、多くの要因が関与します。

『花粉症が重い=腸が荒れている』と単純に言い切ることはできませんが、『腸内環境を整えることが、免疫の過剰反応を抑える一助になる可能性がある』という理解が適切です」

Q.腸内環境や粘膜を強化するには発酵食品やビタミンAを含む食べ物を摂取するとよいといわれていますが、本当なのでしょうか。

安江さん「発酵食品やビタミンAには、理論的に花粉症対策に役立つ要素があります。まず発酵食品についてです。ヨーグルトや納豆、みそ、キムチなどには乳酸菌や納豆菌などが含まれています。これらの菌は腸の中に生息する細菌の集団である腸内細菌叢(さいきんそう)に影響を与え、腸内環境を整える可能性があります。腸内環境が整うことで、免疫の過剰反応を抑える方向に働くことが期待されます。

ただし、発酵食品を食べれば必ず同じ菌が腸に定着するわけではなく、効果には個人差があります。また、単一の食品だけで大きな変化が起きるわけではありません。重要なのは、発酵食品に加えて、善玉菌のエサとなる水溶性食物繊維を中心に十分に摂取することです。水溶性食物繊維は海藻類や大麦、タマネギ、ゴボウ、果物などに含まれています。

次にビタミンAです。ビタミンAは粘膜上皮細胞の分化や成熟に関わり、腸管や鼻、喉などの粘膜を健やかに保つ働きがあります。また、腸管で分泌される抗体の一種である『免疫グロブリンA(IgA)』の産生にも関与しており、粘膜の防御機能を支えています。粘膜は花粉などの外敵から体を守る“バリアー”の役割を果たしているため、不足すると防御機能が低下する可能性があります。

ビタミンAには、動物性食品に含まれる『レチノール』、植物性食品に含まれる『ベータカロテン』の2種類があります。ベータカロテンは、ニンジンやカボチャ、ホウレンソウなどの緑黄色野菜に多く含まれており、体内で必要量だけビタミンAに変換されます。食品から取る分には過剰症の心配は通常ありません。

ただし、これらはあくまで体の土台づくりです。重度の花粉症では、抗ヒスタミン薬や点鼻ステロイドなどの標準治療を併用することが重要です」

【画像で見る】「えっ…こんなに!?」 これが「花粉症」の症状を悪化させる飲食物です

画像ギャラリー

1 2

安江千尋(やすえ・ちひろ)

天王寺やすえ消化器内科・内視鏡クリニック院長、総合内科専門医、消化器病専門医、内視鏡専門医

がん専門病院で長年にわたり消化器がんの診療・内視鏡治療に従事した後、2024年に「天王寺やすえ消化器内科・内視鏡クリニック」(大阪市天王寺区)を開院。苦痛の少ない内視鏡検査と患者に寄り添う丁寧な診療で、地域医療に貢献している。特に胃・大腸の早期がん発見と内視鏡切除を専門とするほか、脂肪肝や肝機能障害をはじめとした肝臓疾患の診療にも力を入れている。天王寺やすえ消化器内科・内視鏡クリニック(https://tennoji-naishikyo.com/)。

安江千尋(やすえ・ちひろ) 関連記事

もっと見る

編集部おすすめ記事

健康・ライフ 最新記事

健康の記事もっと見る

ライフの記事もっと見る

コメント

CAPTCHA