台風で運休・欠航…「返金の案内」は偽物? AIで進化する“プロ級”フィッシング詐欺とは 自衛策を専門家が解説
9月は台風のピークシーズンであり、新幹線や飛行機の欠航が相次ぐ季節です。一方、そのタイミングを狙ったサイバー犯罪も増えています。対策について、専門家が解説します。

9月はシルバーウイークのような大型連休も控えていることから、旅行を計画している人も多いのではないでしょうか。一方、台風のピークシーズンでもあるため、悪天候により鉄道や飛行機などの交通機関が乱れることも少なくありません。
悪天候時は、交通機関の乱れにより「払い戻しはできるのか」「代替便はどうなるのか」と不安になりますよね。サイバー犯罪者は、この「焦り」と「不確実性」という心理的状況を巧みに悪用します。欠航や遅延が相次いでいる状況では、「返金の期限が切れる」「このリンクから手続きしないと代替便の予約が取れない」などの緊急性をあおる文章も、冷静な判断を下す前にクリックしてしまいがちです。
サイバーセキュリティーの専門家であり、NordVPN(オランダ)の最高技術責任者を務めるマリユス・ブリエディスさんは、こうした状況についてこう警鐘を鳴らします。
「サイバー犯罪者は文脈を突くことに長けています。台風の際、欠航や運休、緊急の返金に関するメッセージが届いても違和感がないため、確認を怠って行動に移してしまう可能性が格段に高まるのです」
AIで「不自然な日本語」が消える?進化する詐欺の手口
これまでのフィッシング詐欺といえば、明らかに不自然な日本語や誤字脱字が「偽物」を見分ける大きな目印でした。しかし、生成AIの普及により、その常識は通用しなくなりつつあります。
AIを使えば、ネイティブが書いたような自然な日本語のメッセージを瞬時に作成できます。現在のニュースや台風情報を反映させた、リアルタイムで説得力のある内容を作ることも簡単です。具体的な手口としては、以下のようなものが挙げられます。
・偽の返金通知や、支払い情報の再確認を求めるメッセージ
・予約変更のための「追加手数料」を要求する通知
・代替チケットを予約できるとうたうリンク
これらのリンクをクリックすると、航空会社や鉄道会社の公式サイトそっくりの偽サイトに誘導され、クレジットカード情報やログインID、パスワードなどが盗み取られます。
ブリエディスさんは「AIによって、従来のチェックリストはもはや時代遅れです。メッセージが完璧なタイミングで届き、自然な文章で書かれている今日、問うべきは『本物に見えるか』ではなく『独立した手段で確認できるか』です」と指摘します。
正しい情報の確認と「接続先」への注意
怪しいメッセージを受け取った際、いちばん重要なのは「メッセージ内のリンクを絶対に踏まないこと」です。そうしたメッセージを受け取ったら、以下の手順で情報を確認しましょう。
(1)公式サイトやアプリから直接確認する
メールのリンクではなく、あらかじめ保存したブックマークや公式アプリ、あるいは検索エンジンで公式サイトを検索し、そこから予約管理画面へログインしてステータスを確認してください。
(2)公式窓口に問い合わせる
不安な場合は、公式サイトに記載されている正規の問い合わせ先へ連絡しましょう。
また、移動中の空港や駅、ホテルなどで公共Wi-Fiに接続する場合は注意が必要です。公共Wi-Fiでは通信が暗号化されていないことが多く、入力した支払い情報やログイン情報が第三者に覗かれてしまうリスクがあります。
旅先で急ぎの対応が必要な場合でも、公共Wi-Fiでの個人情報の入力は避け、どうしても接続する必要がある場合は、VPN(仮想プライベートネットワーク)機能などを活用して通信を暗号化し、個人情報をしっかりと保護しましょう。
もし偽リンクに個人情報を入力してしまったら
もし、うっかり偽サイトで情報を入力してしまった場合は、すぐに対応することが鍵です。
・ログイン情報を入力した場合
すぐにパスワードを変更し、他の端末からのセッションをログアウトさせてください。また、二要素認証(MFA)が設定されていない場合は、すぐに有効化しましょう。
・カード情報を入力した場合
直ちにカード会社や金融機関に連絡し、カードの利用停止手続きを行ってください。
・不審なファイルをダウンロードした場合
ウイルス感染の可能性があるため、セキュリティーソフトでスキャンを行い、OSを最新の状態にアップデートしましょう。
「台風の混乱の中、人は次々と素早い判断を迫られ、詐欺師はまさにそこにつけ込みます。返金や振替の通知は急いで対応したくなるものですが、公式チャネルで1分確認するだけで、移動のトラブルが金銭被害やサイバーセキュリティーの問題に発展するのを防げます」と、ブリエディスさんはアドバイスします。
返金や振替に関するメッセージが届いた場合は、まず信憑性を確認し、その上で次の対応を取るようにしましょう。
(オトナンサー編集部)






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