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夏休み明けの「学校に行きたくない」は怠けじゃない…子どもの訴えに耳を傾けるべき“科学的理由”【精神科医が解説】

夏休み明けに子どもが学校に行きたくないと主張するのはなぜなのでしょうか。心理的な背景について、精神科医に聞きました。

夏休み明けに子どもが学校に行きたくないと主張するのはなぜ?(画像はイメージ)
夏休み明けに子どもが学校に行きたくないと主張するのはなぜ?(画像はイメージ)

 9月になりました。ただ、この時期は子どもの不登校が増えるといわれており、子どもが「学校に行きたくない」と主張するケースは珍しくなく、悩む人は多いのではないでしょうか。

 そもそも、夏休み明けに子どもが学校に行きたくないと主張するのはなぜなのでしょうか。心理的な背景について、「出雲いいじまクリニック」(島根県出雲市)院長で、精神科医、心療内科医、臨床心理士の飯島慶郎さんが解説します。

9月は心身の不調が増える時期

 夏休み明けのこの時期は、子どもの行き渋りや不登校が大きな社会的関心を集めるとともに、多くのご家庭が頭を悩ませるタイミングでもあります。新学期の朝、お子さんから「学校に行きたくない」と告げられ、どう受け止めるべきか戸惑う親御さんも少なくありません。

 その際、大人はつい「急に怠け心が出たのではないか」「休み癖がついてしまったのではないか」と考えてしまいがちです。しかし、不登校や行き渋りを見せる子どもたちは、決して休み明けに突然登校を放棄したわけでも単に甘えているわけでもありません。

 これを考える上で参考になる公的なデータがあります。千葉県教育委員会が2023年度に行った不登校の実態調査(本人回答1753人)によると、最初に「行きたくない」と感じ始めた時期は1学期が30.7%で最多でした(2学期は28.6%)。

 また、思い始めた時期と実際に休み始めた時期が違うと答えた子ども(全体の27.9%・489人)をみると、休み始めた時期は2学期が36.6%で最も多くなっています。

 つまり、夏休み明けに休み始めるお子さんの中には、休み中に突然行けなくなったというよりも1学期からつらさを抱えながら必死に持ちこたえ、2学期の再開をきっかけにいよいよ限界を迎えてしまったというお子さんが確かにいると考えられます。

 表面上は1学期を普通に過ごしていたように見えても、子どもの「行きたくない」という訴えは、夏休みの気の緩みというより、それまで張り詰めていた緊張の糸が切れたサインと捉える方が実態に近いのではないかと感じています。

 また、教室へ入ることが難しくなる「保健室登校」の開始時期も、全国調査で9月が最も多い月の一つになっています。日本学校保健会の2022年度の全国調査では、保健室登校を始めた子のうち小学校・高校では約2割が9月で最多、中学校も4月(19.6%)に次いで9月(16.6%)が多く、4月と9月に2つの山があります。

 4月が新しい環境の始まりであるのに対し、9月は長い休みを挟んで久しぶりの集団生活へ戻る節目にあたります。

 さらにこの時期の子どもたちの心理的な危機を示すものとして、日本の41年分・約11万件の自殺統計を分析した研究では、2学期が始まる時期の中学生の自殺が7月の週と比べて2倍以上に増加することが報告されています。

 この研究で印象的なのは、同じ時期でも18〜26歳の年齢層では、こうした動きが見られないという点です。つまり、暑さや日照といった季節そのものではなく、学校という場が関わっていることをうかがわせます。行き渋りが、そのままこうした事態に直結するという意味ではありません。

 ただ、これが命に関わる最も深刻な表れであることに変わりはありません。この時期に子どもたちの抱える苦しさが全体として高まっていることを示す数字として、私は重く受け止めています。

 米国の疾病予防管理センター(CDC)が約1900施設の救急受診を追った大規模な調査でも、新学期が始まると10歳から17歳の子どもの救急受診のうち、うつ状態や、自殺を考えたり自分を傷つけたりしたことによる受診の割合が夏休み中よりおおむね1割から6割ほど高くなっていました。

 これは秋だけでなく春の学期始めにも見られます。もちろん、新学期は学校や医療機関で不調が見つかりやすくなる面もありますが、裏返せば、夏休みの間は同じ苦しさがあっても気付かれにくかったと言えるのかもしれません。

 これらのデータから見えてくるのは、目に見える欠席という形になる前から、子どもたちの心理的な苦痛やSOSがこの時期に大きく高まっているという現実です。

【画像】「えっ…!?」 これが子どもが「学校に行きたくない」と訴えたときに親が絶対にやってはいけない“NG行為”です!

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飯島慶郎(いいじま・よしろう)

不登校/こどもと大人の漢方・心療内科 出雲いいじまクリニック 院長

精神科医、臨床心理士、公認心理師。全国初の不登校専門クリニックとして、不登校の背景に潜む精神疾患の積極的な診断と治療介入を行っている。著書に『不登校は病気? ~医師の診断が子供と家族を救う~』(みらいパブリッシング)。

不登校/こどもと大人の漢方・心療内科 出雲いいじまクリニック(https://sites.google.com/view/izumo-iijima-clinic)。

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