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子どもがBGM、画像を無断使用…親に「高額請求」も!? 夏休みのSNSトラブル予防策【弁理士が解説】

もし子どものネット投稿が著作権侵害に該当する場合、親が責任を負うことはあるのでしょうか。特許や著作権といった知的財産権に関する業務を行う弁理士の筆者が解説します。

子どもが起こしたSNSトラブルで親が責任を負う可能性は?(画像はイメージ)
子どもが起こしたSNSトラブルで親が責任を負う可能性は?(画像はイメージ)

 小学生や中学生の子どもがYouTubeやTikTokに動画を投稿する、そんな光景を日常的に目にしているご家庭も多いのではないでしょうか。ダンス動画を撮影したり、ゲーム実況を配信したり、自由研究や工作の成果を動画で紹介したりと、子どもたちがインターネット上で発信する機会は年々増えています。

 一方で、「子どもが好きな音楽をBGMに使ってしまった」「アニメのキャラクターが映った作品を投稿した」「自由研究やコンクール作品にインターネット画像を無断で使ってしまった」など、著作権に関するトラブルも増えています。もし子どもの投稿が著作権侵害に該当する場合、親が責任を負うことはあるのでしょうか。特許や著作権といった知的財産権に関する業務を行う弁理士の筆者が解説します。

子どもでも著作権侵害になる

 まず前提として、「子どもだから著作権侵害にならない」ということはありません。「商業利用じゃないし…子どもの利用だから大丈夫だと思っていた」という話を聞くこともあるのですが、著作権法に年齢による例外はありません。他人の音楽や画像、動画などを無断で利用した場合、子どもの行為であっても著作権侵害と判断される可能性があります。

 例えば、人気アニメの画像を無断で動画に使用したり、インターネットで見つけた写真を勝手に利用したり、市販の楽曲を無断でBGMにしたり、他人が作成したイラストを転載したりといった行為は、著作権侵害と判断される可能性があります。いずれも、日常的にやってしまいそうな行為ではないでしょうか。

「悪気はなかった」「子どもだから法律を知らなかった」といった事情があったとしても、それだけで著作権侵害を免れるわけではありません。

すぐに高額賠償になるわけではない?

 ただ、実際には子どもの投稿が問題になったからといって、いきなり高額な損害賠償請求を受けるケースは多くありません。YouTubeやTikTokなどの動画投稿サイトには著作権侵害への対応制度があり、まずは動画の削除や公開停止、権利者からの申し立てなどによる対応が取られることが多いでしょう。

 また、TikTokやYouTubeでは、利用可能な音源が公式に提供されている場合もあります。そのため、「動画に音楽が入っていたら即違法」と一概には言えません。

 ですが、著作権法上は原則として、権利者に無断で画像や音楽を利用した場合、削除要請だけでなく、損害賠償などの問題に発展する可能性があります。

子どもの投稿で親が責任を負うことも民事と刑事で考え方が違う

 では、子どもが著作権侵害をした場合、親は責任を負うのでしょうか。結論から言うと、民事上の責任については、親が責任を負うケースがあります。民法では、責任能力のない未成年者が他人に損害を与えた場合、その保護者(監督義務者)が責任を負うと定められているからです。

 例えば、子どもが人気楽曲を無断で動画に使用したり、他人の写真を転載したりした場合、状況によっては権利者から削除要請や損害賠償請求を受けることも考えられます。民事上は「子どもが勝手にやったことだから関係ない」とは言い切れない場合があるため注意が必要です。

 一方で、親自身が投稿に関与していない限り、通常は親自身が「刑事責任」を問われることはありません。

 近年は、スマホさえあれば簡単に動画を投稿できるため、保護者が知らないうちに子どもが著作物を利用していたというケースも少なくありません。

実は学校の先生も悩んでいる

 著作権の問題は、家庭だけでなく学校現場でも悩みの種になっています。実際、私のもとには「子どもたちが提出した夏休みの課題作品が著作権侵害かどうか判断するのが難しい」「校外のコンクールに応募した作品について、後から問題が発覚しないか心配」といった相談が寄せられることがあります。

 世の中には、受賞後に著作権上の問題が判明し、賞が取り消しになったケースもありますが、こうしたケースではたくさんの関係者が傷を負います。受賞した子ども本人だけでなく、保護者や学校、審査に携わった関係者にも大きな影響が及ぶことがあります。

 インターネット上では膨大な画像やイラストが存在しますし、生成AIも普及した現在では、作品が本当に本人の創作なのか、どこまで参考にしたのかを見た目だけで判断することは簡単ではありません。

 先生方も、子どもたちも、そして保護者も、著作権について迷いながら対応しているのが現状と言えるでしょう。

家庭でできる予防策とは

 著作権トラブルを防ぐためには、難しい法律知識を教える必要はありません。まずは、「他人が作ったインターネット上にある画像や音楽にも権利がある」ということをお子さんに伝えるだけでも大きな意味があります。

 また、動画投稿をする際には、「この画像はどこから持ってきたの?」「この音楽は勝手に使っていいものなの?」といった確認を親子で行う習慣をつけることも有効です。一時的にコンテンツを投稿するスピードは落ちるかもしれませんが、その後の長い人生において身を守るための重要な学びの時間でもあります。

 子どもにとってSNSや動画投稿は身近な遊びの一つでもありますが、その投稿は世界中の人が見ることのできる公開行為でもあります。投稿頻度の上がる夏休み、投稿ボタンを押す前に一度立ち止まり、「他人の作品を勝手に使っていないかな」と考える習慣を身に付けることも大切ではないでしょうか。

 夏休みは、動画投稿や自由研究などで著作物に触れる機会が増える時期でもあります。

 著作権侵害は、悪意がなくても起こり得ます。特に子どもは「みんなやっているから大丈夫」と考えがちです。

 動画投稿や自由研究が身近になった今だからこそ、家庭や学校で著作権について話し合う機会を持つことが、将来のトラブル防止につながるでしょう。

永沼よう子

【画像】無意識のうちにやってない? これが「著作権侵害」に該当する“行為”です!

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永沼よう子(ながぬま・ようこ)

弁理士

2012年、AIPE認定知的財産アナリストを取得。2015年、弁理士に登録。2019年から国際特許事務所で代表弁理士を務める。「国際女性デー HAPPY WOMEN」知的財産担当・実行委員弁理士、「渋谷芸術祭」知的財産担当、「経済産業省」地域団体商標活用プロジェクト・講師なども経験。専門分野は商標・著作権・デザイン・特許・肖像権・不正競争防止法・キャラクター、オリンピック関連問題・知財教育。

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