オトナンサー|オトナの教養エンタメバラエティー

見えないよ…夜に「車」運転中、黒い服着た歩行者と接触 それでもドライバーが全責任負う?【弁護士に聞く】

もし車から降りようとドアを開けたときに通行中の自転車やバイクに当たってしまい、乗っていた人がけがを負ったり、亡くなったりしてしまった場合、どのような法的責任を問われる可能性があるのでしょうか。弁護士に聞きました。

車を運転中、黒い服を着た歩行者と接触した場合、ドライバーがすべての責任を負う?(画像はイメージ)
車を運転中、黒い服を着た歩行者と接触した場合、ドライバーがすべての責任を負う?(画像はイメージ)

 2026年9月21日から同月30日まで「秋の全国交通安全運動」が行われています。この時期は主に都道府県の警察によって交通ルールの順守と正しい交通マナーが呼び掛けられます。

 ところで夜に車を運転中、黒い服の歩行者が急に現れて驚いた経験はありませんか。もし歩行者と接触してしまった場合、ドライバー側がすべての法的責任を負うのでしょうか。アトム法律事務所の松井浩一郎弁護士に聞きました。

歩行者側に過失が認定される可能性も

Q.そもそも、車で歩行者をはねてしまった場合、ドライバーはどのような法的責任を問われる可能性があるのでしょうか。

松井さん「まず刑事責任として、不注意による事故であれば『過失運転致死傷罪』に問われ、7年以下の拘禁刑または100万円以下の罰金の対象となります。

飲酒や著しい速度超過などが絡む悪質な事案においては、より重い『危険運転致死傷罪』が適用される可能性もあります。刑事責任のみならず、治療費や慰謝料などの民事的な損害賠償義務を負う可能性もあり、さらに免許停止などの行政処分の対象にもなり得ます」

Q.もし夜に車を運転中、黒い服を着た歩行者と接触し、けがを負わせたり死なせたりしてしまったとします。この場合、過失割合はどうなるのでしょうか。暗くて黒服の人が直前までまったく見えなかった場合でも、基本的にドライバーが全責任を負うのでしょうか。

松井さん「ドライバーが全責任を負うとは限りません。裁判実務では、歩行者側に過失が認定されることも多くあります。その上で、『夜間に黒い服を着ていた』という事実は、歩行者のその他の行動と合わせて、過失割合を判断する際の考慮要素にはなると思います。

客観的な状況に照らして、『見えなかったから無罪放免』でも『ドライバーが常に全責任を負う』ということでもなく、個別的に検討する必要があります」

Q.夜間、車の運転時に歩行者との事故を防ぐためには、どのような対策が必要なのでしょうか。法律の観点で教えてください。

松井さん「道路交通法は、運転者に対して『安全運転の義務』を課しています。特に夜間は、対向車や先行車がいない場面において、前照灯を上向き(ハイビーム)にして遠くまで視界を確保することが基本とされており、この基本を徹底するだけでも歩行者の早期発見につながり、事故を防ぐ一つの対策と言えます。

加えて、制限速度を守り、いつでも停止できる速度感覚を保つことも重要です。そして、何よりも大切なことは、車は一瞬で凶器になり得るという認識を常に忘れないことでしょう」

(オトナンサー編集部)

【画像】「えっ…!」 これが、車の運転時に「道交法」違反に問われる可能性のある“服装”です(6枚)

画像ギャラリー

松井浩一郎(まつい・こういちろう)

弁護士

幼少期から海外で学び、スイスのル・ロゼ高校を卒業後、米国ニューヨーク大学政治学部で政治学を専攻。帰国後、東京大学法科大学院を修了し、司法試験に合格。司法修習を経てアトム法律事務所に入所し、刑事事件を中心に取り扱い、無罪判決や一部無罪判決を獲得するなど、刑事弁護において実績を重ねる。依頼者一人一人に真摯(しんし)に向き合い、専門性を生かした弁護活動を行っている。

弁護士として活動する傍ら、テレビやウェブメディアへの取材協力、法律監修、執筆活動など幅広く活躍。 難解な法律問題を分かりやすく解説し、メディアを通じた法教育にも力を入れている。日本語に加え、英語、フランス語にも対応可能。

松井浩一郎(まつい・こういちろう) 関連記事

もっと見る

編集部おすすめ記事

法律・ライフ 最新記事

法律の記事もっと見る

ライフの記事もっと見る

コメント

CAPTCHA