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カフェ、運動会を撮影…「他人の写り込み」はアウト? SNS投稿の注意点とは【弁理士が解説】

カフェや街中などで撮影した動画、画像をSNS上に投稿した場合、著作権や肖像権などの観点で問題となる可能性はあるのでしょうか。弁理士が解説します。

 多くの学校では、秋に運動会が行われます。自分の子どもが活躍している様子を撮影し、TikTokやInstagram、YouTubeなどに投稿する人がいますが、その際に知らない人が写っていた場合、「他人が写り込んだ動画を投稿して大丈夫なの?」「子どもの運動会動画をSNSに上げても問題ないの?」「勝手に載せるのは違法では?」などと指摘されることがあるようです。

 運動会に限らず、最近ではカフェや街中などで撮影した動画、画像がネット上に投稿されるケースは珍しくありません。実際のところ、このような問題は著作権、肖像権、プライバシーなど複数のルールが関係しており、意外と複雑です。よくある誤解や対策について、特許や著作権といった知的財産権に関する業務を行う弁理士の筆者が解説します。

TikTokに他人が写ったら違法?

 結論から言えば、街中で撮影した動画にたまたま他の被写体が写り込んだからといっても、直ちに違法になるとは限りません。例えば駅前や公園、観光地などで動画を撮影した場合、背景に通行人が写り込むことは避けられません。では、こうした避けがたい写り込みはどう考えればよいのでしょうか。実は、一定の場合に許されるケースもあります。

 また、「他人の顔」だけでなく、屋内の場合は背景にポスターやキャラクター、テレビ画面などが偶然写ることもあります。

 こうした「著作物」の写り込みについては、日本の著作権法でも一定の条件のもと認められています。いわゆる「写り込み」の規定です。

 撮影の主たる対象ではなく、撮影の過程で付随的に入り込んでしまった著作物については、著作権侵害とならない場合があるのです。

 つまり、「背景に何かが写った」というだけで直ちに違法になるとは限りません。

他人の顔はどうなる?

 ここで問題となるのが、最初に触れた「他人の顔」、つまり肖像権と呼ばれるものやプライバシーの問題です。

 例えば駅や商業施設、イベント会場など、不特定多数の人が集まる場所で撮影した動画に、通行人が全体の一部として写り込んだ程度であれば、法的な問題となる可能性は一般的には高くないと考えられています。

 一方で、特定の人物をアップで撮影したり、その人が主役のような形でSNSに掲載したりした場合には話が変わります。本人の承諾なく顔や行動を広く公開したことで、「肖像権」やプライバシーの侵害が問題となる可能性があります。

 判断する上で一つのポイントとなるのは「たまたま写り込んだ」のか、「その人を撮った(その人を主な対象として撮影し公開した)」のかという点です。

 もっとも、「たまたま写り込んだ」という場合であっても、顔が鮮明に映っていたり、SNSで拡散された結果として本人が特定できてしまったケースなどでは、個別に判断が必要となるでしょう。

飲食店は少し事情が違う

 街中での撮影よりも注意が必要なのが飲食店などの空間です。店内のお客さんは、その場にいる他のお客さんから見られることは当然想定しています。ですが、自分の姿がSNSで不特定多数に公開されることまでは想定していない場合もあります。

 例えば、料理を撮影したつもりでも、隣の席の人の顔や会話の内容が写り込んでしまうことがあります。また、「今日は会社を休んでいるはずの人が飲食店にいた」「子どもと一緒に来店していた」など、本人が知られたくない情報が意図せず公開されてしまうケースも考えられます。

 さらに、後ろの席のお客さんのパソコン画面、商談資料など、本人が公開を望んでいない情報まで写り込んでしまうといったことも。

 そしてさまざまな事情から、店舗によっては撮影やSNS投稿自体を禁止しているケースもあります。

 法律問題だけでなく、店舗ルールや利用者への配慮も重要になるため、「みんな撮影している店内だから大丈夫」と考えるのは危険です。店舗によってルールは異なるため、不安な場合は事前に「撮影していいですか」と確認すると安心です。

子どもの運動会の動画をSNS投稿してもいい?

 近年、学校から「運動会や入学式、卒業式などの写真・動画をSNSへ投稿しないでください」と案内されるケースが増えています。これを見て「著作権法違反だから禁止なの?」と思う方もいるかもしれません。

 しかし、多くの場合、学校が問題視しているのは著作権だけではありません。児童の肖像やプライバシーの保護、安全確保、トラブル防止など、さまざまな理由があります。

 運動会には自分の子ども以外にも多くの児童が参加しています。動画には他の子どもの顔や名前を呼ぶ声、保護者の姿などが写り込むこともあります。さらに、SNSは一度公開すると拡散や保存を完全にコントロールすることが困難です。

 顔の保護ももちろん大事ですが、名札やクラスが分かるゼッケン番号、学校名などの情報が組み合わさることで個人が特定されていくケースもあります。

 SNSに少しの間公開して後で消せばいいやと考えることもあると思いますが、一度公開された動画は第三者に保存されたり、スクリーンショットを撮られたりする可能性があります。

 学校としては、子どもたちのプライバシー保護や安全確保、トラブル防止の観点から慎重な対応を求めているのです。法律上すぐに違法とは言えない場合でも、学校のルールには従うべきでしょう。

「投稿できる」と「投稿してよい」は別問題

 SNSに関するトラブルでは、「法律違反かどうか」に注目が集まりがちです。しかし実際にはその判断は難しいですし、「投稿できる」ことと、「投稿してよい」ことは必ずしも同じではありません。

 対象が著作物の場合、軽微な写り込みは法律上認められる場合があるものの、写っているのが人物の場合には、肖像権やプライバシーの問題に発展することも。第三者の顔が大きく写っている場合や、人物が特定できる場合には、より慎重な判断が求められます。

 SNSは便利な情報発信ツールですが、一度公開された情報は完全には回収できません。法的なルールだけでなく、「相手がどう感じるか」という視点も忘れないようにしたいものですね。

永沼よう子

【画像】無意識のうちにやってない? これが「著作権侵害」に該当する“行為”です!

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永沼よう子(ながぬま・ようこ)

弁理士

2012年、AIPE認定知的財産アナリストを取得。2015年、弁理士に登録。2019年から国際特許事務所で代表弁理士を務める。「国際女性デー HAPPY WOMEN」知的財産担当・実行委員弁理士、「渋谷芸術祭」知的財産担当、「経済産業省」地域団体商標活用プロジェクト・講師なども経験。専門分野は商標・著作権・デザイン・特許・肖像権・不正競争防止法・キャラクター、オリンピック関連問題・知財教育。

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