電車が急停車、倒れてきた人とぶつかりけが…相手に治療費を「請求」できる?【弁護士が解説】
電車が急停止した反動で近くの人がぶつかってきてけがをした場合、賠償を請求できるのでしょうか。弁護士に聞きました。

通勤時、電車に乗っていると急停車することがあります。その際、急ブレーキの反動で近くの人にぶつかられ、けがをしてしまうケースもあるようです。その場合、ぶつかってきた相手や鉄道会社に賠償請求できるのでしょうか。アトム法律事務所の松井浩一郎弁護士に聞きました。
基本的に賠償請求は困難
Q.電車が急停車した反動で近くの人がぶつかってきてけがをした場合、相手や鉄道会社に賠償を請求できるのでしょうか。
松井さん「相手の損害賠償責任が認められるには、故意または過失が必要です。急停車の反動でぶつかった場合、わざとぶつかった(故意)とは通常考えにくいため、問題は過失の有無になりますが、つり革などにつかまっていたのに急停車の反動で他人にぶつかる形になってしまった場合については、過失も否定されやすいと考えられ、請求が認められるのは困難でしょう。
一方で、鉄道会社は、運送契約上、注意を怠らなかったことを自ら証明しない限り、賠償責任を負うことになります。それでも、急停車の多くはやむを得ない事情によると思われ、鉄道会社側が適切に対応していたことを示せば、責任が否定されると思います」
Q.では、自分にぶつかってきた人が「つり革や手すりに一切つかまっていなかった」場合や「スマホに夢中だった」場合、過失が認められる可能性が高まるということでしょうか。
松井さん「法的には過失が認められやすくなる方向に働く可能性があります。もっとも、混雑の程度や急停車の強さによって評価は変わりますし、『つり革や手すりに一切つかまっていなかった』『スマホに夢中だった』といった事実を証明するのは容易ではないと思います」
Q.もし電車に乗っている際、近くにいた人にぶつかられてけがをしたときの対処法を教えてください。
松井さん「けがの程度にもよりますが、まずは互いに声をかけて安全を確かめ合うことで十分なことも多いと思います。もし痛みが強ければ、早めに受診をして、当時の状況を記録しておくとよいでしょう」
Q.急停車で近くの人にぶつかられてけがをしたものの、その人がそのまま電車を降りて立ち去ってしまった場合、後から相手を特定して請求することは可能でしょうか。
松井さん「可能ですが、容易ではありません。防犯カメラ映像などが手がかりになりますが、鉄道会社が被害者に直接提供することは通常期待しにくいです。
そして、仮に特定できたとしても、請求が認められるかは別問題であり、状況に応じて弁護士に相談するなど、一度立ち止まって検討することをおすすめします」
(オトナンサー編集部)






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