よく転ぶ、腰が痛む…実は「骨粗しょう症」かも カルシウムの摂取だけじゃ足りない? 予防に役立つ3つの“生活習慣”
骨粗しょう症を予防するには、どのような取り組みが大切なのでしょうか。保健師が解説します。

「最近身長が縮んだ」「よく転ぶ」「腰や背中が痛む」など、あてはまるものはありませんか。その症状、もしかすると骨粗しょう症の初期症状かもしれません。
骨粗しょう症を予防するには、どのような取り組みが大切なのでしょうか。事業場向けの健康経営支援を行うエムステージ(東京都品川区)ウェルビーイング事業部 保健師業務マネジャーの本田和樹さんが解説します。
骨の健康に影響を与える7つの主な原因
骨粗しょう症とは、骨の量が減ってもろくなり、骨折しやすくなる状態を指します。国内の推定患者数は約1590万人に上り、その7割以上を女性が占めています。体の中では、古くなった骨を溶かす「骨吸収」と、新しい骨を作る「骨形成」が日々繰り返されていますが、このバランスが崩れて骨吸収が上回ると、骨の密度が下がって空洞が増えていくことが原因です。
骨の量が減る背景には、年齢による体質の変化に加え、生活習慣も関わっているといわれており、主に以下の7つが挙げられます。
・加齢による骨量の変化
骨の量は20歳前後でピークを迎えます。その後は新陳代謝を繰り返しながら維持されますが、50代頃から徐々に減少へ向かいます。
・女性ホルモンの減少
女性ホルモンのエストロゲンには、骨が溶け出すのを抑える働きがあります。閉経や両側卵巣の摘出、加齢に伴いエストロゲンが減ると、骨量が減りやすくなります。
・骨に必要な栄養の不足
カルシウム、ビタミンD、ビタミンKの不足は骨の強度に直結します。カルシウムが足りなくなると、血液中の濃度を保つために骨からカルシウムが溶け出します。ビタミンDが不足するとカルシウムの吸収率が下がり、ビタミンKが足りないと骨への定着が進みにくくなります。
・運動不足による刺激の減少
骨は適度な負荷がかかることで丈夫になります。体を動かす習慣が少ないと、骨を作る働きが弱まりやすくなります。
・急激な体重減少や過度なダイエット
成長期に十分な栄養を取らないと、将来の骨密度に影響が残ります。また、体重が過剰に減ることで骨にかかる適度な負荷が減り、骨が弱くなる要因になります。
・喫煙による影響
たばこはエストロゲンの分泌を低下させ骨を作る働きを妨げるほか、胃腸でのカルシウムやビタミンDの吸収を悪くします。
・持病や服用している薬の影響
腎臓病や糖尿病、甲状腺の病気、ステロイド薬の長期使用などが骨の量に影響を与える場合があります。
毎日の生活で無理なく続けられる骨粗しょう症の予防習慣
骨粗しょう症の予防には、特別なことを始めるのではなく毎日の暮らしを見直すことが大切です。無理なく習慣化できるよう、運動、日光浴、食事の3つの視点から取り入れやすい具体的なポイントは次の通りです。
■日常生活での運動習慣
骨に負担をかける運動は、骨を強く育てるのに役立ちます。散歩や筋力トレーニング、階段の利用や足のかかと上げなど、日常の動作に組み込める方法がおすすめです。膝や腰に痛みがある場合は、医師へ相談の上で始めてください。
■日光浴によるビタミン生成
体内でビタミンDを作るには、日光を浴びることが重要です。地域(住所)や季節、時刻、天候などで異なりますが、目安は、夏場は木陰で30分ほど、日差しが落ち着く冬場は日向で1時間ほど過ごすのがおすすめです。外出が難しい日は、ベランダで手の平に日を当てるだけでも効果があります。
■骨をサポートする食事の工夫
毎日の食事では、骨の材料となる以下のような栄養素をバランスよく選ぶことが大切です。
(1)カルシウム
成人では1日650~800ミリグラムを目安に摂取しましょう。魚類や海藻類、乳製品、大豆製品、青菜などに多く含まれます。青菜の中では、例えば小松菜や水菜、チンゲン菜などが取り入れやすい食材です。さらに、レモンや酢に含まれるクエン酸と一緒に取ると吸収が高まります。
(2)ビタミンD
成人では1日9.0マイクログラムを目安に摂取しましょう。魚類やキノコ類に豊富です。油と相性が良いため、炒め物などで効率よく摂取できます。
(3)ビタミンK
成人では1日150マイクログラムを目安に摂取しましょう。納豆や海藻、ブロッコリーなどの緑色が濃い野菜に多く含まれます。食事が偏りがちなときは、小魚やチーズをおやつに選ぶ方法も便利です。
このような予防に加えて、骨の健康状態を把握するには、定期的な検査が役立ちます。レントゲンや超音波を用いて骨の量や硬さを測定し骨折リスクを調べる「骨密度検査」や、血液検査や尿検査を用いて骨が作られるスピードと溶けるスピードのバランスを確認する「骨代謝マーカー検査」などがあります。
これらの検査は、会社の健康診断のオプションや自治体からの案内で受診できる場合があるので、いつまでも元気に動ける体を保つために、日頃の予防と併せて定期的なチェックを心掛けていきましょう。
【参考文献】
・公益財団法人骨粗鬆症財団、「数字でみる骨粗しょう症」
・日本人の食事摂取基準(2025年版)
(オトナンサー編集部)









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