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「柔らかいソファは痔になる」はウソ? 症状悪化につながる“危険なNG習慣”とは【専門医に聞く】

痔の原因や痔と間違いやすい病気などについて、消化器病専門医に聞きました。

柔らかいソファを使い続けていると痔になる?(画像はイメージ)
柔らかいソファを使い続けていると痔になる?(画像はイメージ)

 痔は多くの人が経験する身近な肛門疾患ですが、座り方が原因で痔になるという情報もあります。また、「柔らかいソファ」に座ると痔になりやすいという情報がありますが、本当なのでしょうか。デスクワークや排便時にやってはいけない行為について、天王寺やすえ消化器内科・内視鏡クリニック(大阪市天王寺区)院長で総合内科専門医、消化器病専門医、内視鏡専門医の安江千尋さんが解説します。

「柔らかいソファ」は痔の直接的な原因になる?

 痔になりやすい座り方、なりにくい座り方に関してですが、結論から言うと、「この座り方なら痔になる」「この座り方なら痔にならない」と医学的に断定できるような座り方はありません。

「足を組む」「あぐらをかく」「柔らかいソファに座る」といった特定の姿勢だけを、痔の直接的な原因と考える必要はありません。

「柔らかいソファに座るとお尻が沈み込み、肛門の血流が悪くなるので痔になる」といった説明を見かけることがありますが、柔らかいソファそのものが痔核を発症させるという十分な医学的根拠はありません。

 ここで大切なのは、「何に座っているか」より「肛門にどのような負担が、どのくらい繰り返しかかっているか」という視点です。例えば、デスクワークなどで長時間座っていることと、トイレで長時間便座に座っていることも分けて考える必要があります。

本当に危険なのは「トイレでの長居」と「強くいきむこと」

 デスクワークなどの長時間座位は、痔との関連が指摘されることはありますが、「長く椅子に座ることが直接痔を作る」とまで明確に証明されているわけではありません。

 ただし、長時間ほとんど体を動かさない生活は便通にも影響します。また、すでに外痔核などで肛門が腫れている場合には、座ることで患部が圧迫され、痛みや違和感が強くなることがあります。

 一方で、痔核との関係でより注意したいのが、排便時に便座へ長時間座り続けることと、強くいきむことです。例えば「便がなかなか出ないのに何度も強くいきむ」「排便が終わっているのにスマートフォンを見ながらそのまま便座に座り続ける」といった習慣はおすすめできません。

「残っている便を全部出し切らなければ」と考えて、便意がなくなってからもいきみ続ける人もいますが、その必要はありません。

 従って、痔を予防するために「硬い椅子と柔らかい椅子のどちらがいいか」を過度に気にするより、トイレで必要以上に粘らない、強くいきまないという排便習慣の方を見直すことが重要です。

 すでに痔が痛む場合には、自分が楽に感じる座面やクッションを使用することは構いません。ただし、それは主に「痛みや圧迫感を和らげる工夫」であって、「そのクッションを使えば痔そのものを予防できる」という意味ではありません。

痔を予防・悪化させないために意識したい3つの習慣

 痔核の予防や再発予防を考えるときには、椅子の種類よりも、「便の状態」「いきみ」「トイレに座っている時間」「日常の活動量」を見直すことが重要です。次の対策に取り組んでみてください。

(1)便を硬くしすぎない
第一に、便を硬くしすぎないことです。硬い便を出そうとすると、どうしても強くいきむ必要があります。食物繊維を適度に取り、水分不足を避け、自分に合った排便習慣を整えることが基本です。

ただし、「痔の予防には食物繊維を大量に食べればよい」ということでもありません。急に大量の食物繊維を摂取すると、腹部膨満感やガスが増える人もいます。

目指したいのは、食物繊維を何グラム取ったかという数字そのものではなく、強くいきまなくてもスムーズに出せる便の状態を保つことです。また、便秘だけに注意すればよいわけではありません。下痢や頻回の排便が続けば、肛門周囲への刺激が繰り返されます。便秘と下痢のどちらにも偏らず、無理なく排せつできる便を保つことが大切です。

(2)排便時に強くいきみ続けない
便意があって自然に排便できるときにトイレへ行き、出なくなったら無理に「全部出し切ろう」としないことです。

(3)トイレを長時間過ごす場所にしない
スマートフォンや本を持ち込むと、排便そのものは終わっているのに便座に座り続けてしまうことがあります。スマートフォン自体が痔をつくるわけではありませんが、トイレに長居するきっかけになるので注意しましょう。

 仕事で座っている時間が長い人は、可能な範囲で仕事の区切りに立ち上がり、少し歩いたり体を動かしたりするとよいでしょう。

 ただし、「30分ごとに立てば痔を予防できる」「1時間以上座ると痔になる」といった明確な医学的基準があるわけではありません。ですから、時間を厳密に決める必要はありません。

 むしろ、座り仕事の人ほど「椅子が原因だ」と考えるのではなく、運動不足になっていないか、便秘になっていないか、トイレで強くいきんでいないか、長時間便座に座っていないか、と生活全体を振り返ってみることが大切です。

(オトナンサー編集部)

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安江千尋(やすえ・ちひろ)

天王寺やすえ消化器内科・内視鏡クリニック院長、総合内科専門医、消化器病専門医、内視鏡専門医

がん専門病院で長年にわたり消化器がんの診療・内視鏡治療に従事した後、2024年に「天王寺やすえ消化器内科・内視鏡クリニック」(大阪市天王寺区)を開院。苦痛の少ない内視鏡検査と患者に寄り添う丁寧な診療で、地域医療に貢献している。特に胃・大腸の早期がん発見と内視鏡切除を専門とするほか、脂肪肝や肝機能障害をはじめとした肝臓疾患の診療にも力を入れている。天王寺やすえ消化器内科・内視鏡クリニック(https://tennoji-naishikyo.com/)。

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