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寒暖差で便秘&下痢が増えるのはなぜ? 腸内環境を整える“正しい対策”とは【消化器病専門医が解説】

寒暖差が激しい時期は、便秘や下痢の症状に悩まされるケースが増えます。腸内環境の乱れを放置するリスクや、腸内環境を改善する方法などについて、消化器専門医に聞きました。

寒暖差で便秘や下痢が生じた場合の対処法は?(画像はイメージ)
寒暖差で便秘や下痢が生じた場合の対処法は?(画像はイメージ)

 9月になってから涼しい日が続いていますが、日によっては気温が高いケースもあります。このような寒暖差が激しい時期は、便秘や下痢の症状に悩まされる人が増えますが、なぜなのでしょうか。

 腸内環境の乱れを放置するリスクや、腸内環境を改善する方法などについて、天王寺やすえ消化器内科・内視鏡クリニック(大阪市天王寺区)院長で総合内科専門医、消化器病専門医、内視鏡専門医の安江千尋さんが解説します。

寒暖差による「自律神経の乱れ」がおなかの不調を引き起こす

 寒暖差が大きい季節には「おなかの調子が悪い」「便秘や下痢を繰り返す」といった訴えが増えます。これは迷信ではなく、医学的にも説明がつく現象です。

 気温差が大きくなると、体は体温を維持しようとして自律神経(交感神経と副交感神経)のバランスを崩しやすくなります。腸の動きや血流は自律神経に大きく影響を受けるため、その乱れが腸内環境にも波及するのです。

 交感神経が優位になると腸の動きが抑えられ、便秘のほか、ガスがたまることによるおなかの張りを引き起こします。一方、副交感神経が過剰に働くと腸が活発になり、下痢や腹鳴が起こることもあります。

 つまり、寒暖差による自律神経の乱れは、腸の運動リズムの乱れとして現れます。また、腸の状態は自律神経だけでなく、食事や睡眠、運動、ストレスなどさまざまな要因の影響を受けています。寒暖差の大きい時期には生活リズムも変化しやすく、こうした複数の要因が重なって腸内環境やおなかの調子に影響することがあります。

 腸の環境が乱れると、便通の異常だけでなく、肌荒れや免疫力の低下、疲れやすさ、メンタルの不調など全身に影響します。腸は「第二の脳」とも呼ばれ、脳と自律神経で密接に連携しています。

 特に女性やストレスを感じやすい人、冷えやすい体質の人は寒暖差の影響を受けやすく、過敏性腸症候群(IBS)のように症状が長引くこともあります。気温の変化が大きい季節に「何となくおなかの調子が悪い」と感じるのは、体の自然な反応と言えます。

温かい飲み物や発酵食品…今日からできる「腸の整え方」

 寒暖差による腸の不調を整えるには、「体を冷やさない」「自律神経を安定させる」「腸内環境を育てる」の3つが基本です。

 まず、体を温めることです。冷たい飲み物で腹痛や下痢などの症状が出やすい人は、無理に冷たいものを摂取せず、温かいスープやお茶、温野菜などを取り入れるとよいでしょう。また、適切な水分補給は便通を維持する上でも大切です。おなかを冷やさないために腹巻きや温かい服装を心掛けることも効果的です。

 次に、生活リズムを安定させましょう。睡眠不足や食事時間の不規則さは自律神経を乱し、腸の働きを不安定にします。就寝・起床時間を一定に保ち、朝食をしっかり取ることで腸の1日のリズムが整います。ウオーキングやストレッチなど軽い運動を1日20~30分取り入れると、腸の動きが自然に活発になります。

 食生活では、発酵食品と食物繊維の組み合わせが鍵です。ヨーグルトや納豆、みそなどの発酵食品は善玉菌を増やし、野菜や海藻、キノコ類に含まれている食物繊維はそのエサとなります。寒暖差によるストレスで腸内細菌のバランスが乱れやすい時期こそ、これらをバランスよく取ることが重要です。

 逆に、急な断食や過度な糖質制限は腸内細菌のエサが不足して環境を悪化させる恐れがあります。また、冷たい飲み物やカフェインの過剰摂取は交感神経を刺激し、腸のリズムを乱すことがあります。腸の調子を取り戻すには、極端な方法ではなく、日々の小さな習慣の積み重ねが最も効果的です。

長期放置はNG 免疫低下や肌荒れ&メンタル不調のリスクも

 寒暖差による腸内環境の乱れを長期間放置すると、さまざまな悪影響が出てきます。まず、慢性的な便秘や下痢の原因となります。腹痛や便秘、下痢などが長期間続いたり繰り返したりする場合には、過敏性腸症候群(IBS)などが背景にある可能性もあります。便通異常や腹部の張りが繰り返されると、日常生活にも支障を来すことがあります。

 次に、免疫力が低下します。腸は免疫細胞の約7割が集まる臓器です。腸内環境が乱れると免疫の調整機能がうまく働かず、風邪をひきやすくなったり、アレルギー症状が悪化したりすることがあります。

 また、腸内環境と皮膚の状態や精神面との関連についても研究が進められています。

 腸と脳は神経系やホルモン、免疫系などを介して相互に影響し合っており、この関係は「脳腸相関」と呼ばれています。腸内細菌とストレスや精神状態との関連についても研究されていますが、その仕組みについてはまだ十分に解明されていない部分もあります。

 腸と脳は神経でつながっており、腸内細菌の変化はセロトニンなどの神経伝達物質のバランスを乱します。その結果、イライラや不安感、集中力の低下を招くこともあります。

 つまり、寒暖差による腸の乱れを軽視せず、早めに生活習慣を整えることが大切です。温かい食事、十分な睡眠、適度な運動を意識することで、腸は本来のリズムを取り戻します。腸をいたわることは、心と体を守ることにもつながります。

(オトナンサー編集部)

【画像】「えっ…!」 これが「腸内環境」改善に役立つ食べ物です!

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安江千尋(やすえ・ちひろ)

天王寺やすえ消化器内科・内視鏡クリニック院長、総合内科専門医、消化器病専門医、内視鏡専門医

がん専門病院で長年にわたり消化器がんの診療・内視鏡治療に従事した後、2024年に「天王寺やすえ消化器内科・内視鏡クリニック」(大阪市天王寺区)を開院。苦痛の少ない内視鏡検査と患者に寄り添う丁寧な診療で、地域医療に貢献している。特に胃・大腸の早期がん発見と内視鏡切除を専門とするほか、脂肪肝や肝機能障害をはじめとした肝臓疾患の診療にも力を入れている。天王寺やすえ消化器内科・内視鏡クリニック(https://tennoji-naishikyo.com/)。

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