オトナンサー|オトナの教養エンタメバラエティー

助手席で寝る同乗者が「シート全倒し」…運転手は道交法違反に問われる?【弁護士解説】

同乗者が助手席を全倒しにした状態で車を運転した場合、道路交通法違反に該当する可能性があるのでしょうか。弁護士に聞きました。

助手席のシートを倒して仮眠…実は道交法上の思わぬリスクも?(写真はイメージ)
助手席のシートを倒して仮眠…実は道交法上の思わぬリスクも?(写真はイメージ)

 休日に旅行やレジャーで車を運転する際、助手席の背もたれを限界まで倒し、同乗者が横になった状態で走行している車を見かけることがあります。

 このように同乗者が寝ている状態で車を運転した場合、道路交通法違反に該当する可能性があるのでしょうか。アトム法律事務所の松井浩一郎弁護士に聞きました。

シートベルトが外れていると道交法違反の可能性も

Q.走行中の車内で、助手席の同乗者が背もたれを限界まで倒して完全に寝そべっている状態は、道路交通法違反に問われる可能性がありますか。

松井さん「道路交通法には、背もたれの角度を定めた規定はなく、倒すこと自体は違反ではありません。ただし、道路交通法71条の3第2項では助手席の同乗者もシートベルトの装着が義務付けられており、運転者がこの義務を負います。

背もたれを倒している状態であっても、シートベルトが体に掛かっていれば、直ちに取り締まりの対象になる可能性は低いと思います。一方で、状況次第では『ベルトを装着させていない』として、運転者が法的責任に問われる可能性があります。

そのため、シートベルトがしっかりと機能している状態かどうかを確認する必要があるでしょう」

同乗者が勝手に倒した場合も「運転者の責任」に?

Q.では、同乗者が勝手にシートを倒して寝ていた場合、運転者側にも同乗者に対する注意義務違反などの責任が問われることはありますか。また、「ダッシュボードに足を乗せる」「窓から手や顔を出す」など、同乗者がやりがちで法的な責任や過失相殺の対象になり得るNG行為があれば教えてください。

松井さん「道路交通法上、同乗者にシートベルトを着用させる義務は運転者にあります。そのため、同乗者が勝手にシートを倒して寝ていた場合であっても、その結果として実質的にシートベルトが外れていたようなときは、運転者が責任に問われる可能性は否めません。

同乗者がダッシュボードに足を乗せたり、窓から手や顔を出したりして、運転者の視界を妨げる状態となれば、運転者は乗車積載方法違反(道路交通法55条2項)に問われる可能性があります。また、そのような行為が原因でけがをしたということになれば、過失相殺として賠償額が減らされる可能性はあります。同乗者自身の生命・身体の安全に関わることなので、車に乗る際は十分に気を付けてください」

事故に遭った際、損害賠償が減額される恐れも

Q.シートベルトを着用せず、背もたれを倒した状態で事故に遭った場合、被害者側の「シートベルト不適正着用」として過失相殺が適用され、相手方から支払われる損害賠償額や保険金が減額されることはあるのでしょうか。

松井さん「シートベルトを着用せずに事故で負傷した同乗者については、着用していれば被害を軽くできたという意味で、賠償額が減額される可能性はあります。実際に、過失割合に影響を与えた裁判例は過去にありました。

同じように、シートベルトが機能しない姿勢でいたことが、被害の結果を重くしたとみなされると、過失割合に一定程度影響を与える可能性はあると言えます」

(オトナンサー編集部)

【画像】「えっ…!」 これが、車の運転時に「道交法」違反に問われる可能性のある“服装”です(6枚)

画像ギャラリー

松井浩一郎(まつい・こういちろう)

弁護士

幼少期から海外で学び、スイスのル・ロゼ高校を卒業後、米国ニューヨーク大学政治学部で政治学を専攻。帰国後、東京大学法科大学院を修了し、司法試験に合格。司法修習を経てアトム法律事務所に入所し、刑事事件を中心に取り扱い、無罪判決や一部無罪判決を獲得するなど、刑事弁護において実績を重ねる。依頼者一人一人に真摯(しんし)に向き合い、専門性を生かした弁護活動を行っている。

弁護士として活動する傍ら、テレビやウェブメディアへの取材協力、法律監修、執筆活動など幅広く活躍。 難解な法律問題を分かりやすく解説し、メディアを通じた法教育にも力を入れている。日本語に加え、英語、フランス語にも対応可能。

松井浩一郎(まつい・こういちろう) 関連記事

もっと見る

編集部おすすめ記事

法律・ライフ 最新記事

法律の記事もっと見る

ライフの記事もっと見る

コメント

CAPTCHA