トイレの「温水洗浄」で念入りに洗うのはNG? “お尻洗いすぎ”が招く病気とは【医師に聞く】
温水洗浄便座を使う際の意外な落とし穴やNG習慣について、医師に聞きました。

トイレの利用時、温水洗浄便座でお尻を入念に洗う人がいます。温水洗浄便座による洗いすぎ・強すぎる水圧が、実は必要な皮脂まで奪い、激しいかゆみが生じる肛門掻痒症(こうもんそうようしょう)や痔の悪化を招いているということはご存じでしょうか。
温水洗浄便座を使う際の意外な落とし穴やNG習慣について、広島DS内視鏡・日帰り手術クリニック(広島市中区)院長で外科医の藤解邦生さんに聞きました。
洗いすぎは肛門のかゆみの原因に
Q.温水洗浄便座を使う際の注意点について、教えてください。
藤解さん「温水洗浄便座は、排便後に肛門周囲の汚れを落とすのに便利ですが、必要以上に念入りに洗うことはおすすめできません。強い水圧で長時間洗ったり、汚れが気になるたびに何度も繰り返し洗浄したりすると、肛門周囲の皮膚に負担をかける可能性があります。
当院では、肛門周囲の皮膚への刺激をできるだけ減らすため『洗浄時間は5秒以内、水圧は弱い設定で使用すること』をおすすめしています。排便後に必要な範囲を短時間洗浄すれば十分であり、汚れを完全に落とそうとして何度も洗う必要はありません。
ただし、洗浄回数や水圧について、すべての人に共通する医学的な上限が定められているわけではありません。5秒以内という時間も、当院が皮膚への負担を減らすために推奨している目安であり、5秒を超えると必ず病気になるという意味ではありません。
大切なのは、強く長く洗えば清潔になるという考え方を見直すことです。温水洗浄便座は、弱い水圧で短時間使用することを基本とし、洗浄後に痛みやかゆみ、ヒリヒリ感などがある場合は使用を控えましょう」
洗いすぎが「激しいかゆみ」や痔の悪化を招く
Q.なぜ、洗いすぎると激しいかゆみや痔の悪化を招くのでしょうか。
藤解さん「肛門周囲の皮膚には、外部からの刺激や乾燥を防ぐバリアー機能があります。皮膚表面の皮脂膜や角質層は、皮膚を保護する上で重要な役割を担っています。
しかし、温水洗浄便座で何度も洗ったり、強い水圧で長時間洗浄したりすると、皮膚への刺激が繰り返され、バリアー機能が損なわれることがあります。その結果、皮膚が乾燥しやすくなり、便や汗などの刺激に敏感になって、赤みやヒリヒリ感、かゆみなどが生じやすくなります。
こうした症状は、激しいかゆみを伴う『肛門掻痒症』の一因となります。かゆみが生じると、汚れが残っていると思ってさらに洗ったり、無意識に患部をかいたりしてしまいがちです。しかし、洗浄や摩擦によって皮膚への刺激が増すと、炎症やかゆみがさらに悪化する可能性があります。『かゆいから洗う、洗うことでさらにかゆくなる』という悪循環に陥ってしまうのです。
また、痔がある場合にも注意が必要です。切れ痔などで肛門周囲に傷があると、強い水流や拭き取り時の摩擦によって痛みや刺激が増すことがあります。いぼ痔などで肛門周囲が腫れていたり、粘液や便が付着しやすくなっていたりする場合にも、繰り返し洗浄したり拭いたりすることで、周囲の皮膚に炎症が生じることがあります。
ただし、温水洗浄便座そのものが直接、痔を引き起こすというわけではありません。問題となるのは、過度な洗浄や摩擦によって肛門周囲の皮膚に炎症が起きたり、すでにある症状が悪化したりすることです。 お尻を清潔に保つことは大切ですが、必要な皮脂や皮膚のバリアー機能を守ることも同じくらい重要です。汚れを完全に取り除こうとするのではなく、皮膚に負担をかけない洗浄を心掛けましょう」
(オトナンサー編集部)









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