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スイカとビールで「急性脱水」に? 絶対やってはいけない“NGな飲み方”とは【医師解説】

ネット上では「ビールとスイカの食べ合わせは最悪の組み合わせ。激しい脱水症状になる恐れがある」という内容の情報がありますが、本当なのでしょうか。医師に聞きました。

スイカとビールは食べ合わせが悪い?(画像はイメージ)
スイカとビールは食べ合わせが悪い?(画像はイメージ)

 夏によく食べられる野菜の一つが「スイカ」です。おやつとして食べたり、バーベキューの際に食べたりしている人は多いのではないでしょうか。ところでネット上では「ビールとスイカの食べ合わせは最悪の組み合わせ。激しい脱水症状になる恐れがある」という内容の情報がありますが、本当なのでしょうか。金沢駅前内科・糖尿病クリニック(金沢市)院長で、糖尿病専門医の小倉慶雄さんに聞きました。

「スイカ×ビールで急性脱水」は本当?医学的根拠を解説

Q.スイカとビールは組み合わせてはいけないのでしょうか。ネット上では「急性脱水を引き起こす」という情報もありますが、本当ですか。

小倉さん「スイカとビールを一緒に口にしたこと自体が、特殊な化学反応を起こして急性脱水を招く、という医学的根拠はありません。従って、『スイカとビールは食べ合わせが悪く、組み合わせるだけで危険』という表現は正確ではありません。

ただし、ビールを水分補給の代わりにすることはできません。特に暑い屋外で汗をかいているときにビールを多く飲めば、脱水や熱中症のリスクを高める可能性があります。スイカを一緒に食べたからといって、そのリスクを十分に打ち消せるわけではありません。ビールには水分が含まれていますが、同時にアルコールも含まれています。アルコールには尿量を増やす作用があり、暑さによる発汗と重なると、体内の水分が失われやすくなります。

米国国立アルコール乱用・依存症研究所は、暑い環境では発汗によって水分を失う上、アルコールによって尿量が増えるため、両者が重なると脱水や熱中症につながり得ると注意喚起しています。環境省が公表する熱中症予防に関する資料でも、アルコール飲料で汗による水分を補おうとする考え方は誤りであるとされています。

もっとも、アルコールの利尿作用は、飲酒量、アルコール濃度、飲む人の水分状態などによって異なります。低濃度のアルコール飲料を少量飲んだだけで、健康な人が必ず重度の脱水になるわけではありません。研究では、アルコール濃度が約2%までの飲料では運動後の水分回復への影響が小さい一方、約4%の飲料では回復が遅れる可能性が示されています。

従って、適切な表現は次の通りです。スイカとビールの『食べ合わせ』が急性脱水を起こすのではなく、暑い環境、発汗、飲酒量、水や塩分の不足などが重なることで脱水や熱中症のリスクが高まるということです」

スイカを食べれば脱水を防げる?

Q.スイカを食べると脱水症状を予防できますか。

小倉さん「スイカは水分を多く含むため、食事からの水分摂取には役立ちます。しかし、スイカだけでは、汗で失った水分と電解質を確実に補えるとは限りません。特に夏の屋外や運動後など、大量に汗をかいた場面では、スイカを食べたことを理由に水を飲まなくてよいとは考えないでください。水や、必要に応じて塩分を含む飲料を別に摂取する必要があります。

飲酒すると判断力や体調変化への気付きが低下することがあります。喉の渇きを感じにくくなったり、『ビールを飲んでいるから水分は足りている』と誤認したりすることも、実際には重要なリスクです」

救急要請が必要なサインは?

Q.すでにスイカとビールを一緒に取ってしまった場合、どうすればよいですか。体に異変が生じたときの対処法も含めて教えてください。

小倉さん「一緒に取っただけで、症状がないのであれば、特別な治療や『解毒』は必要ありません。ただし、暑い屋外で飲酒している場合には、以下の対応が重要です」

(1)それ以上の飲酒を控える
喉が渇いているときに、追加のビールで水分を補おうとしてはいけません。飲酒をいったんやめ、水やノンアルコール飲料に切り替えます。

(2)涼しい場所に移動する
冷房の効いた室内や、風通しのよい日陰に移動して休みましょう。衣服を緩め、首、脇の下、足の付け根などを冷やしてください。

(3)水分を少しずつ摂取する
症状がなく、通常の食事をしている場合には、水や麦茶などを少しずつ飲みます。大量に汗をかき、めまい、立ちくらみ、頭痛、強いだるさ、筋肉のけいれんなどがある場合には、意識がはっきりしていて自力で飲めることを確認した上で、経口補水液などを利用します。

厚生労働省も、熱中症が疑われる場合は涼しい場所への移動、身体の冷却、水分・経口補水液の補給を推奨しています。心不全や腎臓病などで水分量や塩分量を医師から制限されている人は、自己判断で経口補水液を大量に飲まず、普段の指示に従ってください。

次のような場合は、食べ合わせの問題と自己判断せず、119番通報を検討してください。
・呼び掛けへの反応がおかしい、意識がない
・自力で水を飲めない
・けいれんがある
・まっすぐ歩けない
・体が非常に熱い
・繰り返し嘔吐(おうと)する
・涼しい場所で休み、水分を取っても症状が改善しない

意識がない人や自力で飲めない人に、無理に飲み物を与えてはいけません。厚生労働省は、自力で水が飲めない場合や意識がない場合には、直ちに救急車を呼ぶよう示しています。

(オトナンサー編集部)

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小倉慶雄(おぐら・よしお)

医師(Gran Clinic院長)

金沢医科大学医学部医学科卒業。同大学病院の糖尿病・内分泌内科の臨床医を経験し、医学研究科博士課程修了。「リサーチマインドを持った診療」をモットーにし、酸化ストレス・サーチュイン遺伝子を中心とするアンチエイジングに関与する研究に従事。「すべての男性たちに、人生後半戦の演出家を。」をコンセプトに、2023年6月、JR金沢駅前にメンズヘルスクリニック「Gran Clinic」(https://www.gran-clinic.jp/)を開院。

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