水分補給のつもりが昏睡!? 「スポーツドリンク」飲んではいけない人の“特徴”とは【糖尿病専門医が解説】
スポーツドリンクの摂取を控えた方がよい人の特徴について、糖尿病専門医に聞きました。

夏は脱水症状に陥りやすく、小まめな水分補給が不可欠です。水やお茶を飲む人もいれば、スポーツドリンクを摂取する人もいます。
ところで、糖分が含まれているスポーツドリンクを毎日飲み続けた場合、体にどのような影響を及ぼすのでしょうか。スポーツドリンクの摂取を控えた方がよい人の特徴のほか、水分補給の際にスポーツドリンクが不要な場面、必要な場面などについて、「三鷹駅前たなか糖尿病・内科クリニック」(東京都三鷹市)院長で、糖尿病専門医の田中祐希さんに聞きました。
スポーツドリンクは2種類
Q.室内で過ごす一般の人が、熱中症対策として毎日スポーツドリンクを飲み続けると、体にどのようなリスクがありますか。
田中さん「スポーツドリンクは、運動などでの発汗時に、水分やミネラル、エネルギーを効率的に体に取り込むために作られたもので、体液とほぼ同じ浸透圧になるように調整された『アイソトニック飲料』と、体液より薄い浸透圧になるように調整された『ハイポトニック飲料』があります。
体への速やかな吸収を促すために、糖と塩分などのミネラルが含まれていますが、アイソトニック飲料の方が糖分を多く含みます。あるアイソトニックタイプのスポーツドリンクは500ミリリットルのペットボトルで、糖質を31グラム含む一方、あるハイポトニックタイプのスポーツドリンクは糖質12.5グラムでした。体への水分吸収はアイソトニック飲料の方が速いとされており、より速やかな水分補給につながります。
これらのスポーツドリンクを高血圧や糖尿病について全く問題ない人が毎日飲み続けた場合、糖質や多くの塩分を取ることになります。消費エネルギーや失った塩分量より摂取量が少なければ良いのですが、失った分より多く取り続けると肥満や身体のむくみにつながる可能性があります。
高血圧の診断を受けている人は、スポーツドリンクの飲み過ぎから塩分の過剰摂取になり、血圧が急激に上昇する可能性があります。血圧が上がっていないか測定しておいた方が良いでしょう。
糖尿病の人に関しては最も注意が必要で、液体で糖質を取ると血糖値の急上昇を引き起こします。そして、血糖値が上昇すると多尿となり、体から水分が失われてより喉が渇くことになります。そこでまた、スポーツドリンクを飲むと喉の渇きが癒されないままどんどんとスポーツドリンクを飲み、血糖値もどんどん上がっていきます。
この負のスパイラルによって短期間で急激に血糖値が悪化することを『ペットボトル症候群』と言います。ペットボトル症候群は、血糖値の急激な悪化の代表的な原因であり、重症化すると意識が低下し昏睡状態に陥ることもあります。糖尿病の人は極度の脱水などの場合を除き、原則スポーツドリンクは避けた方が良いでしょう。
また、『境界型糖尿病(糖尿病予備軍)』と呼ばれる、正常血糖ではない人もペットボトル症候群で一気に糖尿病に進んでしまう恐れがあり、スポーツドリンクは飲み過ぎない方が良いでしょう」
スポーツドリンクが必要な場面とは?
Q.「水やお茶で十分な場面」と「スポーツドリンクを絶対に飲むべき場面」の境界線を教えてください。
田中さん「スポーツドリンクは、水分やエネルギー、ミネラルを速やかに取りたい際に用いられますが、塩分や糖分が気になる人は麦茶と塩気のある食べ物で水分と塩分を取ると良いでしょう。
それでは間に合わず、スポーツドリンクで水分や糖質を取らざるを得ないのは、発汗過多や嘔吐(おうと)、下痢などによる急激で極度な脱水の場合です。脱水の重症度は、3~5%の体液が失われた状態で軽度、6~9%で中等度、10%以上の喪失で重度とされます。
中等度以上の脱水では『意識がもうろうとする』『立ちくらみ』『汗や尿が出ない』といった症状が出てくるため、この場合はスポーツドリンクを飲むことを検討しても良いでしょう。ただし、脱水が改善した後も飲み続けると塩分や糖分の取り過ぎにつながります」
Q.市販のスポーツドリンクの糖分が気になる場合、自宅で簡単に作れる「理想的な水分補給ドリンク」の黄金比率はありますか。
田中さん「糖尿病の人や、血糖値が気になる人には糖質を含まないハイポトニックタイプのスポーツドリンクも市販されています。自宅で作成する場合は、500ミリリットルの水に塩を小さじ4分の1(1.5グラム程度)、フレーバーとしてレモン果汁を小さじ1杯ほど入れるとスッキリ飲みやすい水分補給ドリンクが作れます」



















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