10月16日開幕へ…「中国共産党の党大会」はなぜ注目される? 専門家に聞く
中国共産党の党大会が10月16日から開催されます。そもそもどのような行事で、何が決まるのでしょうか。
中国共産党の党大会が10月16日から開催される旨を、中国国営の新華社通信が伝えました。5年に1度の党大会ということで、大きな行事らしいということは分かるのですが、そもそもどのような行事で、何が決まるのでしょうか。ノンフィクション作家で中国社会情勢専門家の青樹明子さんに聞きました。
国の重要方針決める最高意思決定の場
Q.そもそも、中国共産党の党大会とは、どのような行事なのでしょうか。
青樹さん「正式名称は『中国共産党全国代表大会』で、5年に1度、首都北京の人民大会堂で開かれます。今年は20回目の党大会で、『二十大』と呼ばれます。日程は10月16日に始まるということのみ分かっており、終わりがいつかは発表されていませんが、これまでの例を見ると、開催期間は大体1週間です。
国家の重要方針を決める最高意思決定の場で、中国の今後5年間の指導体制や基本方針が決まります。中国の国会にあたるのは全国人民代表大会(全人代)ですが、全人代は党大会よりも権限が小さく、位置付けも下で、共産党が決めたことを全人代が否決することはまずありません。中国は共産党がトップなので、10月16日に始まる党大会が、今後5年間の中国の行方を決めるのです。
党大会で行われることは、200人の『中央委員』の選出と、党則(党規約)の改正、国内外の重要な政策課題の討議などです。主な議題を箇条書きにすると、次のようになります。
(1)中央委員会の報告を聴取し、検討する
(2)中央懲戒委員会の報告を審査する
(3)党の重要事項を討議し、決定する
(4)党則を改正する
(5)中央委員会を選出
(6)中央規律検査委員会を選出
基本的に内容は非公開ですが、冒頭の総書記の演説は注目を集めます。今回は習近平党総書記(国家主席)が、前回の党大会から今回までの5年間の中国を振り返り、将来の活動を展望する報告をします。かなり長時間に及ぶもので、前回は3時間半費やしました。中国の過去と将来を展望する非常に大切な演説で、これを基に、記者・研究者・外交官など中国政治の専門家たちが中国のこれからを分析していきます」
Q.どのような人たちが参加するのでしょうか。
青樹さん「習近平氏ら党幹部はもちろんですが、参加は膨大な人数に上り、中国全土の38の選挙区から選出された約2300人がメンバーです。党大会なので当然全員共産党員なのですが、今回の場合、『中国の特色ある社会主義(実質的には“習近平思想”)を支柱としているかどうか、それに忠実か、党の憲法を基本の指針として、党の性質や目的を堅持しているかどうか』を基準にして、厳しい条件で参加者を選ぶといわれています。中国では共産党員というだけでエリートなのですが、その中でも特に優秀な党員が選ばれるのです。
職業は多彩で、工場労働者も農民も専門職もいますし、経済、科学技術、スポーツ、文化など、あらゆる分野の人がいます。それらの職種の中で、政治思想や道徳性において模範的な人物が選ばれます。彼らが中国全土から集まってくるのですが、党大会初日、選ばれた人たちが民族衣装で華やかに人民大会堂の前に集まる姿をニュースで見たことのある人も多いのではないでしょうか。なお、参加者については、女性が一定の割合を占めるようになっています」
Q.習近平総書記の3期目続投も決まる見込みと聞いています。
青樹さん「正式には、党大会終了の翌日に決まる見込みです。
まず、党大会の最終日に、新たな中央委員会が選出されます。そして、党大会が閉幕した直後、通常は翌日に、中央委員会が早速全体会議を開き、200人の中から、政治局委員25人 、その中から最高指導部である政治局常務委員7人を選びます。さらに7人の中から総書記を選ぶという流れです。もちろん、事実上その時点で誰が総書記になるかは決まっているのですが、中央委員会が選ぶという形を取るのです。その後、新指導部が国内外の記者と会見します」
Q.党大会が5年に1回だと、その間の党の意思決定はどのように行われるのでしょうか。
青樹さん「党大会で選出された中央委員会が、党大会で決まったことを代行して、共産党を指導していくと党則にあります。中央委員会の全体会議はほぼ年1回開催が基本で、党の路線、方針、国家の細かいことを討論します。5年間で7回というパターンが恒例です。
中央委員会の全体会議も年1回ですから、その間は、政治局委員25人、特に常務委員7人が、日常的に重要政策を審議、決定していきます」
コメント