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10月16日開幕へ…「中国共産党の党大会」はなぜ注目される? 専門家に聞く

注目すべきポイントは?

Q.今年の党大会で特に注目すべき点を教えてください。

青樹さん「最大のテーマは指導部の人事です。習近平総書記が異例の3期目に入ることは事実上決まっており、注目すべき点は、習氏の3期目に合わせて新指導部がどのような陣容になるかです。

ナンバー2である首相に誰がなるのかが特に注目されています。現職の李克強首相は憲法の規定によって来春で任期が終了します。次の首相候補としては、上海市のトップ、李強氏(上海市党委員会書記)が、新型コロナによるロックダウン(都市封鎖)で大きな批判を浴びたものの、いまだに最有力候補といわれています。

副首相の胡春華氏も有力で、この2人は習近平氏の側近です。2人のうちどちらかが首相になった場合、習近平氏にとっては最強布陣になるとみられます。特に李強氏が首相になれば、習近平氏の体制は盤石となるでしょう。

ほかにも、今回の党大会では、米中関係や台湾問題、ゼロコロナ政策を今後どうするのか、失速する中国経済をどう立て直すかなど、国内外の大きな問題に対して、どういう方針を出すかが注目されます。中国の一つ一つの問題がどうなるかは、日本を含む諸外国に大きな影響を与えるからです。

ただ、私は、これらとは違う問題に注目しています。外交政策や経済も確かに重要なのですが、今一番心配なのは若者の就職難です。中国では今、若者の失業率が19.9%と非常に高くなっています。大学を卒業しても職がない、つまり『卒業イコール失業』という状態の若者が多いのです。国の政策として大学生の数を増やしてきた一方で、コロナ禍もあって経済が失速しています。

『いい大学に入って、いい会社に就職する』ことを目指して過酷な受験戦争を勝ち抜いて大学生になったのに、働き口がないのです。大学生は中国では超エリートなのですが、国の政策で数が増えています。しかも彼らは『周りに自慢できる会社』でないと満足できない。競争は苛酷になるばかりです。

『内巻』という中国の流行語は非理性的な内部競争を指しますが、若者たちはつまらない競争に疲れ果て、やる気を失っています。若者のやる気が失われると、社会の活力も失われます。習近平氏は格差是正を狙って『共同富裕』を打ち出しましたが、若者の失業対策を誤ると、中国はこの先危険な状況に陥るかもしれません。

昔の中国、漢の時代には『黄巾(こうきん)の乱』という、困窮した農民たちによる反乱がありました。反乱は鎮圧されたものの、国の衰退につながりました。中国の政治体制は、庶民の不満から崩れることがあります。いくら習近平氏が強大な権力をもって国を運営していっても、若者の20%もが失業している社会に魅力は感じられません。

10月の党大会で、どんな施策を打ち出すか、注目したいと思います」

(オトナンサー編集部)

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青樹明子(あおき・あきこ)

ノンフィクション作家・中国社会情勢専門家

早稲田大学第一文学部卒、早稲田大学大学院アジア太平洋研究科修士課程修了。大学卒業後、テレビ構成作家や舞台脚本家などを経て企画編集事務所を設立し、業務の傍らノンフィクションライターとして世界数十カ国を取材する。テーマは「海外・日本企業ビジネス最前線」など。1995年から2年間、北京師範大学、北京語言文化大学に留学し、1998年から中国国際放送局で北京向け日本語放送のキャスターを務める。2016年6月から公益財団法人日中友好会館理事。著書に「中国人の頭の中」「『小皇帝』世代の中国」「日中ビジネス摩擦」「中国人の『財布の中身』」など。近著に「家計簿から見る中国 今ほんとうの姿」(日経プレミアシリーズ)がある。

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