GWの「現地払い」は危険がいっぱい? 旅先のフリーWi-Fiで決済してはいけない“3つの理由”とは
旅先のフリーWi-Fiで決済してはいけない理由について、サイバーセキュリティーの専門家が解説します。

GW(ゴールデンウイーク)を迎えました。駅や空港、カフェ、ホテルなど外出先で過ごす時間が増えるこの時期、手軽に利用できるフリーWi-Fi(公共Wi-Fi)は非常に便利です。
しかし、旅先でのチケット購入やオンラインショッピング、宿泊費の支払いなど、金銭が絡む操作を行う際、サイバーセキュリティーのプロたちは決してフリーWi-Fiを使いません。便利さの裏側に潜む見えないわなとは何なのでしょうか。安全に旅行を楽しみ、大切な資産を守るための対策について、専門家の解説とともに紹介します。
日本人の71%が不安 移動中に潜むサイバー脅威の現実
GWの混雑時、多くの人が移動中の隙間時間にスマホを手に取ります。サイバーセキュリティー企業のNordVPN(オランダ)が2025年に実施した調査によると、日本人の57%が移動中にインターネットを利用しており、そのうち85%が最大1時間もの時間をオンラインで過ごしていることが分かりました。
さらに深刻なのは、その接続環境です。移動中にネットを利用する日本人の60%がフリーWi-Fiを頼りにしている一方で、71%もの人が移動中のサイバー脅威に対して不安を感じていると回答しています。
NordVPNの最高技術責任者(CTO)、マリユス・ブリエディスさんは、次のように指摘します。
「移動時間は今やスクリーンタイムへと変わりました。ニュースを読んだり、SNSをチェックしたり、オンラインショッピングをしたりと、人々は常にインターネットに接続しています。しかし、不特定多数が利用する環境でオンラインになることに伴うセキュリティーリスクについて、立ち止まって考える人は多くありません」
なぜフリーWi-Fiでの決済はリスクなのか
公共のWi-Fiは、その設計自体に脆弱(ぜいじゃく)性が隠れています。多くの場合、通信が適切に暗号化されておらず、同じネットワークに接続している第三者が、あなたの閲覧履歴や入力情報をのぞき見ることが技術的に可能な状態にあります。特にGWのような繁忙期、専門家が警戒する主な手口は以下の3つです。
・偽のアクセスポイント(悪魔の双子/エビルツイン)
本物のネットワーク名に酷似した名前(例:Airport_Free_WiFi_Guestなど)を犯人が設置し、ユーザーを誘い込みます。一度接続すると、通信内容はすべて犯人のサーバーを通過します。
・中間者攻撃
通信の間に割り込み、やり取りされるデータを盗み見る手法です。暗号化が不十分なネットワークでは、クレジットカード番号やパスワードが平文のまま盗まれる恐れがあります。
・フィッシングページへの誘導
接続した瞬間に、本物そっくりの偽のログイン画面を表示させます。混雑の中で急いで操作しているユーザーは、URLのわずかな違いに気付かず情報を入力してしまいがちです。
ブリエディスさんは「公共Wi-Fiは便利ですが、安全な取引を想定して設計されていません。オープンなネットワークで支払い情報を入力することは、目に見えないリスクを冒しているのと同じです。攻撃者はあなたのデバイスをハッキングする必要さえなく、あなたが間違ったネットワークに接続したり、偽ページを信用したりするのを待つだけでいいのです」と警鐘を鳴らします。
旅先で安全に決済するための鉄則
せっかくの旅行を台無しにしないために、専門家が推奨する安全なデジタル習慣を身に付けましょう。次の4つの取り組みが有効です。
・キャリア通信(4G/5G)の利用を優先する
最も確実な方法は、フリーWi-Fiをオフにし、モバイルデータ通信を利用することです。キャリアのネットワークは公共Wi-Fiよりもはるかに高度に暗号化されています。
・信頼できるVPNを使用する
どうしてもWi-Fiを使わざるを得ない場合は、VPN(仮想専用線)で通信を保護してください。VPNはデータを強力なトンネルで包み込んで暗号化するため、万が一悪意のあるネットワークであっても、中身を解読されるのを防ぎます。
・自動接続をオフにする
デバイスが過去につないだことのある名前に自動で接続する設定は危険です。知らないうちに偽のスポットに誘導されるのを防ぐため、Wi-Fi設定から自動接続を解除しておきましょう。
・セキュリティー機能の活用
例えば、NordVPNの「脅威対策Pro」のような機能は、悪意のあるウェブサイトやリダイレクトを未然にブロックするといいます。これにより、フィッシング詐欺などの二次被害を物理的に防ぐことが可能です。
「支払いや銀行のアプリを使うときは、Wi-Fiを切ってモバイル通信に切り替えるか、まずは安全な接続環境を整えてください。その、ほんの数秒の手間を惜しまないことが、大切な資産を守る一番の近道です」とブリエディスさんはアドバイスします。
もしフリーWi-Fiを使ってしまったら?
万が一、無防備な状態で個人情報を入力してしまった場合は、以下の取り組みを迅速に行ってください。
(1)口座・カード明細の確認:不審な利用履歴がないか、即座にチェック。
(2)パスワードの変更:キャリア通信など安全な環境から、利用したサービスのパスワードを変更する。
(3)多要素認証(MFA)の有効化:二段階認証などを設定し、パスワード以外の鍵をかける。
(4)金融機関に連絡:異変を感じたら、すぐにカードの利用停止を届け出す。
「サイバー被害は、気づかないうちに静かに忍び寄るものです。だからこそ、異変を感じたらすぐに行動することが、被害を最小限に抑える一番の近道です」とブリエディスさんは語ります。
せっかくの楽しいGW。思い出を台無しにしないためにも、外出先でWi-Fiにつなぐ際は、ほんの少しだけ「これ、大丈夫かな?」と立ち止まって考えてみませんか。
(オトナンサー編集部)









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