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テレビでサッカーW杯観戦中、急な尿意が…実は病気が隠れている? 我慢してはいけない人の特徴とは

尿意を我慢し続けると、体にはどのような影響があるのでしょうか。尿意を催す場合のリスクについて、泌尿器科専門医に聞きました。

急な尿意を催す場合、病気が関係している?(画像はイメージ)
急な尿意を催す場合、病気が関係している?(画像はイメージ)

 サッカー・ワールドカップ(W杯)北中米大会が6月11日(日本時間6月12日)に開幕しました。日本代表の初戦は、日本時間の同月15日に生中継されます。

 ところで、スポーツ観戦時や映画鑑賞時、急に尿意を催した経験がある人は多いのではないでしょうか。その際、「今トイレに行くと大事な場面を見逃してしまう」と思い、我慢した人もいると思います。では、尿意を我慢し続けると、体にはどのような影響があるのでしょうか。尿意を催す場合のリスクについて、なかざわ腎泌尿器科クリニック(石川県野々市)院長で泌尿器科専門医の中澤佑介さんが解説します。

尿意を我慢し続けると、膀胱に負担がかかる

 結論からいうと、健康な人が短時間尿意を我慢しただけで、すぐに重大な病気になることは通常多くありません。しかし、強い尿意を長時間我慢したり、我慢することが習慣化したりするのは望ましくありません。膀胱(ぼうこう)に負担がかかり、排尿トラブルや尿路感染症のリスクにつながる可能性があります。

 尿は腎臓で作られ、膀胱にたまります。膀胱はある程度伸び縮みできる臓器ですが、尿意があるにもかかわらず長時間我慢し続けると、膀胱が過度に引き伸ばされます。その結果、下腹部の張りや痛み、不快感が出ることがあります。

 さらに、極端に我慢した場合や、もともと排尿しにくい人の場合、膀胱に尿がたまっているにもかかわらず、尿を十分に出せない「尿閉」に近い状態になることがあります。急性尿閉では、強い下腹部痛や膀胱の張りを伴うことがあります。米国国立糖尿病・消化器・腎疾患研究所(NIDDK)は、尿閉を「膀胱から尿を完全に排出できない状態」と説明しています。

 尿が膀胱内に長く残ると、細菌が増えやすくなります。尿閉では尿が完全に排出されないため、尿路感染症のリスクが高まるとされています。尿路感染症では、排尿時の痛みや頻尿、残尿感、血尿、発熱などが起こることがあります。

「我慢する癖」は病気の原因になる?

 たまに短時間我慢する程度であれば、大きな問題にならないことがほとんどです。一方で、「尿意を感じても毎回長時間我慢する」という習慣は避けた方がよいでしょう。

 尿をため過ぎる状態を繰り返すと、膀胱が過度に伸び、排尿時にうまく収縮しにくくなる可能性があります。その結果、排尿後も尿が残る「残尿」や、慢性的な尿閉につながることがあります。尿閉が続くと、尿路感染症や尿路結石、腎臓への負担が問題になる場合もあります。医学事典の「MSDマニュアル」でも、尿閉では尿路感染症、尿路結石、腎臓への影響が起こり得ると説明されています。

 ただし、「尿意を我慢すると必ず膀胱炎になる」「膀胱が破裂する」といった表現は医学的には言い過ぎです。健康な人が一時的に尿を我慢しただけで、膀胱破裂のような重大な事態が起こることは非常にまれです。

 注意が必要なのは、前立腺肥大症がある男性、高齢者、糖尿病で神経障害がある人、脳梗塞後などで神経因性膀胱が疑われる人、普段から尿の勢いが弱い人、残尿感がある人です。こうしたケースに該当する場合、もともと尿が出にくかったり、膀胱の収縮力が弱かったりするため、尿意を我慢したことをきっかけに排尿困難や尿閉が目立つことがあります。そのため、無理な我慢は禁物です。

「急に我慢できない尿意」がある場合は別の病気の可能性も

 スポーツの試合の観戦中や映画の鑑賞中に強い尿意が頻繁に起きる場合、単に「トイレが近い体質」とは限りません。突然起こる我慢できないような強い尿意、頻尿、夜間頻尿、尿漏れなどが続く場合は、「過活動膀胱」などの病気が隠れていることがあります。

 日本の過活動膀胱診療ガイドラインでは、過活動膀胱は、突然起こる我慢できないような強い尿意である「尿意切迫感」がある場合と定義されており、通常は頻尿や夜間頻尿を伴う「症状の集まり(症候群)」に分類されています。

 特に、日常生活や外出、仕事、睡眠に支障が出ている場合は、自己判断で我慢を続けるのではなく、泌尿器科に相談することが大切です。

我慢してしまった後は、早めにトイレへ

 尿意を我慢してしまった場合は、できるだけ早めにトイレに行きましょう。その際、焦って強くいきむ必要はありません。強く腹圧をかけると、骨盤底や膀胱周囲に余計な負担がかかることがあります。落ち着いて排尿し、「まだ残っている感じ」がある場合は、少し時間を置いてもう一度排尿するのも一つの方法です。

 また、「排尿後も強い残尿感がある」「尿が出にくい」「下腹部の張りや痛みが続く」といった場合は注意が必要です。尿意があるのに尿がまったく出ない場合は、急性尿閉の可能性があり、早急な医療機関の受診が必要です。

スポーツ観戦や映画鑑賞の前にできる対策

 スポーツ観戦や映画鑑賞を楽しむためには、あらかじめトイレ対策をしておくことも大切です。例えば、「開始直前に一度トイレを済ませておく」「ハーフタイムや休憩時間を利用する」「カフェインやアルコールを取り過ぎないようにする」といった工夫が有効です。コーヒー、緑茶、エナジードリンクなどに含まれるカフェインや、アルコールは尿量を増やしたり膀胱を刺激したりして、尿意を強めることがあります。

 一方で、トイレに行きたくないからといって水分を極端に控えるのはおすすめできません。脱水になると尿が濃くなり、膀胱刺激や体調不良につながることがあります。米国のトップクラスの総合病院であるメイヨークリニックも、尿路感染症のリスクを下げる方法として、十分な水分摂取を挙げています。尿路感染症の予防という観点でも、適切な水分摂取は重要とされています。

受診した方がよい症状は?

 次のような症状がある場合は、早めに泌尿器科を受診しましょう。

・尿意があるのに尿が出ない
・下腹部が強く痛む
・排尿後も強い残尿感がある
・尿の勢いが明らかに弱い
・排尿時痛がある
・血尿が出る
・発熱や腰背部痛を伴う
・頻尿や尿漏れで生活に支障が出ている

 特に発熱や腰の痛みを伴う場合、尿路感染症が腎臓まで及んでいる可能性もあります。尿を我慢したことだけが原因とは限りませんが、症状が続く場合は放置しないことが大切です。

 スポーツ観戦や映画鑑賞中に、短時間だけ尿意を我慢したからといって、すぐに大きな病気になることは通常ありません。しかし、強い尿意を長時間我慢したり、我慢することが習慣化したりすると、膀胱に負担がかかり、尿閉や尿路感染症などのリスクにつながる可能性があります。

 大事な場面を見逃したくない気持ちは分かりますが、強い尿意があるときは無理をせず、できるだけ早めにトイレに行きましょう。特に「排尿しにくい」「残尿感がある」「頻尿や尿漏れが続く」といった症状がある人は、早めに泌尿器科に相談することをおすすめします。

【参考文献】
(1)National Institute of Diabetes and Digestive and Kidney Diseases(NIDDK)
Definition & Facts of Urinary Retention
(2)National Institute of Diabetes and Digestive and Kidney Diseases(NIDDK)
Symptoms & Causes of Urinary Retention
(3)MSDマニュアル家庭版
(4)MSD Manual Professional Version Urinary Retention
(5)日本排尿機能学会 過活動膀胱診療ガイドライン[第3版]
(6)Mindsガイドラインライブラリ 過活動膀胱診療ガイドライン 第3版
(7)Mayo Clinic Health System 5 tips to prevent a urinary tract infection
(8)Mayo Clinic News Network Women’s Wellness: Drink water to fight those UTIs

(オトナンサー編集部)

【要注意】病気が隠れている? これが「尿意」を催したときに受診すべき目安です(8つ)

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中澤佑介(なかざわ・ゆうすけ)

なかざわ腎泌尿器科クリニック院長

金沢医科大学医学部医学科卒業。金沢医科大学大学院医学研究科博士課程修了。「患者さんに近い立場で専門的医療を提供したい」という思いで2021年、なかざわ腎泌尿器科クリニックを開院。男性だけではなく、女性にも身近な泌尿器科クリニックを目指している。2024年9月、JR金沢駅前に金沢駅前内科・糖尿病クリニックを開院。金沢医科大学 医学博士、日本泌尿器科学会 泌尿器科専門医。なかざわ腎泌尿器科クリニック(https://www.nakazawa-cl.jp/index.php)。

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