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自閉症の息子の写真、あまり撮らなかった時期も…障害児育児に「立派な心構え」「きれいな感情」がいらない理由

自閉症の25歳の息子を育てる筆者が、息子の育児について振り返ります。

障害児育児にどう向き合う?(画像はイメージ)
障害児育児にどう向き合う?(画像はイメージ)

 保育園にお迎えに行ったとき、わが子が誰とも遊ばず、床にあるゴミを並べているのを見たら落ち込むでしょう。

 周りの子が通常級に行けるのに自分の子は支援学校判定を受けたら、周りをうらやんだりねたんだりします。これは人として当たり前の感情だと思います。

 さて、私は先輩ママとして「親はどんな心構えで子どもの成長や発達と向き合えばいいのですか?」と聞かれることがあります。

「心構え」や「感情」というのは、自分の意思でどうにかできるものではありません。

 例えば、心臓や胃腸を自分の意志で止めたり動かしたりできないように、脳も一つの「器官」なのです。その脳で感じる「不安」や「落胆」といった感情を、気合いや頑張りでコントロールしようとするのは、そもそも無理な話です。

 目の前のお子さんに対して「全然成長していない」と感じて落ち込んでしまうとき、「そんな風に思っちゃダメだ」と自分を責めていませんか。

 心は脳にあります。頑張って向き合おうと思えば思うほど、それができない自分を責めてしまいます。私は「立派な心構えや向き合い方なんて、なくていい」と思っています。
 かつて私は子育て本の中で「他の子と比べず、その子の過去と現在を比べましょう。本人の物差しで成長を見ましょう」と書いたことがあります。

 それは一つの「正論」です。でも、現実の保育園の送り迎えなどで、他の子が楽しそうに手紙交換をしたり、ごっこ遊びをしたりしている姿を見れば、自分の子ができないことに落ち込むのは当然なのではないでしょうか。

 もし私が今、もう一度子育て本を書くとしたら、「他の子と比べてはいけません」なんて書きません。

 心構えなんて必要ありません。ただ、毎日食事を作って、寝かせて、お風呂に入れるだけで十分です。それだけで、子どもはちゃんと成長していきます。

「発達障害の子の親」としての経験を積んでいけば、少しずつ愛情も湧き、25年経った今の私のように思える日が必ず来ると思います。

 振り返ると、私自身の母も、私や妹の病気(私は強迫性障害で1年間入院、妹は統合失調症で入退院を繰り返す)を周囲に隠し、当時は私たちの存在すら周りに話していなかった時期もありました。家族の話を他人に話せるのは、関係がうまくいっているからこそなのでしょう。

 私も今は息子の写真をたくさん撮りますが、幼い頃は自閉症という障害を受け入れたくなかったので、子どもの話をしたくないと思っていましたし、写真も少ないです。それだけ隠したい存在でつらかったのだと思います。

 答えになっていないかもしれませんが、鼻息を荒くして「心構えを!」と意気込む必要はありません。最低限のことを一日一日積み重ねていく。それだけで、あなたはもう十分頑張っています。

「比べてしまう」「落ち込んでしまう」など、そうした人間らしい自然な感情を「ダメだ」と否定してしまうと、理想の母親像とのギャップにますます自分を責め、心を病んでしまいかねません。

 自分の感情をしっかり受け止めてあげることが、過酷な育児の中で自分自身を守る方法なのです。

(子育て本著者・講演家 立石美津子)

【画像】「えっ…?そうだったの……?」 これが「発達障害児」にみられることのある行動です(5つ)

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立石美津子(たていし・みつこ)

子育て本著者・講演家

20年間学習塾を経営。現在は著者・講演家として活動。自閉症スペクトラム支援士。著書は「1人でできる子が育つ『テキトー母さん』のすすめ」(日本実業出版社)、「はずれ先生にあたったとき読む本」(青春出版社)、「子どもも親も幸せになる 発達障害の子の育て方」(すばる舎)、「動画でおぼえちゃうドリル 笑えるひらがな」(小学館)など多数。日本医学ジャーナリスト協会賞(2019年度)で大賞を受賞したノンフィクション作品「発達障害に生まれて 自閉症児と母の17年」(中央公論新社、小児外科医・松永正訓著)のモデルにもなっている。オフィシャルブログ(http://www.tateishi-mitsuko.com/blog/)、Voicy(https://voicy.jp/channel/4272)。

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