6月から“近視管理眼鏡”が登場…選択肢広がる「子どもの近視治療」の最前線とは 眼科医が解説
近視管理眼鏡のメリットや他の治療法との違いなどについて、医師に聞きました。

スマホの普及や学校でのタブレットの使用などにより、子どもが近視になるリスクが高まっています。子どもにデジタル機器を使用させる際は「長時間使用しない」「顔を画面に近づけた状態で使用しない」などの対策が必要です。
ところで、子どもの近視の治療法として「低濃度アトロピン点眼」「オルソケラトロジー」「多焦点ソフトコンタクトレンズ」が知られていますが、6月からは新たに近視の進行抑制を目的とした「近視管理眼鏡」(近視管理用眼鏡)が加わる予定です。
これにより、小児近視治療は「限られた治療を選ぶ時代」から、「子どもに合った治療を選び、組み合わせて考える時代」に入ったと言えます。近視管理眼鏡のメリットや他の治療法との違いなどについて、いわみ眼科(兵庫県芦屋市)理事長で眼科医の岩見久司さんに聞きました。
治療の選択肢が増え「近視治療」は新時代へ
Q.そもそも、「近視管理眼鏡」とはどのような製品なのでしょうか。
岩見さん「近視管理眼鏡とは、通常の眼鏡のように見え方を矯正しながら、特殊なレンズ設計によって近視の進行抑制も狙う眼鏡です。代表的なレンズとしては、『MiYOSMART(ミヨスマート)』や『Stellest(ステレスト)』などがあります。
これまで日本で実際に使われている小児近視治療には『低濃度アトロピン点眼』や『オルソケラトロジー』『多焦点ソフトコンタクトレンズ』などがありましたが、そこに近視管理眼鏡が加わることで、近視治療の選択肢が増え、利便性が高まりました。
つまり、子どもの近視治療は、いよいよ『近視治療新時代』に入り、この話題は現在、一番大きなニュースと言えます」
Q.従来の子どもの近視治療には、低濃度アトロピン点眼、オルソケラトロジー、多焦点ソフトコンタクトレンズがあり、6月から新たに近視管理眼鏡が加わるとのことですが、これら4つの治療法について、詳しく教えてください。
岩見さん「各治療法を大まかに説明すると、次の通りです」
■低濃度アトロピン点眼
日本ではリジュセアミニ点眼液0.025%が承認されています。これは、近視の進行抑制を効能・効果とする日本初の治療薬です。点眼だけで始めやすく、低年齢の子どもでも導入しやすい治療です。ただし、裸眼視力を良くする効果はないため、見えにくければ眼鏡やコンタクトレンズが必要になります。
■オルソケラトロジー
寝ている間に専用のハードコンタクトレンズを装用し、朝外すことで日中を裸眼で過ごしやすくする治療です。屈折矯正と近視進行抑制を同時に狙うことができる点が特徴です。夜の装用やレンズ管理に保護者が関わりやすいため、低年齢でも検討しやすい場合があります。
■多焦点ソフトコンタクトレンズ
代表的なものにマイサイト ワンデーがあります。日中に装用する1日使い捨てタイプで、屈折矯正と近視進行抑制を同時に狙います。強度近視や、アレルギーなどでオルソケラトロジーが難しい場合にも検討しやすい選択肢です。
■近視管理眼鏡
眼鏡なので、コンタクトレンズが怖い子でも導入しやすく、レンズケアも不要です。ガイドラインでは、MiYOSMARTは5〜18歳、Stellestは7〜18歳が臨床試験の対象で、5歳未満には推奨しないとされています。
近視管理眼鏡は作った後も定期的なメンテナンスが必要
Q.近視管理眼鏡は、普通の眼鏡店で買えるのでしょうか。
岩見さん「近視管理眼鏡は、単なる『近視用の眼鏡』ではありません。特殊なレンズ設計によって、見え方の矯正と近視進行抑制の両方を狙う眼鏡です。そのため、どこの眼鏡店でも扱えるわけではありません。
近視管理用眼鏡のガイドラインでは、小児の近視管理は眼科専門領域で取り扱うべき治療とされ、処方者は小児の視機能や眼光学に精通していることが条件とされています。また、眼鏡作製にはレンズ構造や作用機序に関する知識、高精度な加工技術、適切なフィッティングが重要で、国家検定資格である『眼鏡作製技能士』による作製が望ましいとされています。
つまり、近視管理眼鏡を希望する場合は、まず眼科で適応を判断し、その上で対応可能な眼鏡店を探す必要があります。
また、眼鏡は『作って終わり』ではありません。フィッティングがずれると、想定した効果が得られにくくなる可能性があります。作製後も、こまめなフォローアップ受診で、見え方やフィッティング、近視の進行状況を確認していくことが大切です」
(オトナンサー編集部)









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