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友人を車で送迎…ガソリン代、謝礼金もらったら“白タク”に? 善意と違法行為の境界線とは【弁護士解説】

友人や知人を車で送迎した際にガソリン代や謝礼金をもらうのは違法行為に該当するのでしょうか。弁護士に聞きました。

友人や知人を車で送迎した際にガソリン代や謝礼金をもらうのは違法?(画像はイメージ)
友人や知人を車で送迎した際にガソリン代や謝礼金をもらうのは違法?(画像はイメージ)

 「車を持っていないので目的地まで連れていてほしい」「荷物が多いので駅や空港まで迎えに来てほしい」などと、友人や知人から自家用車での送迎を頼まれた経験はありませんか。その際、友人からガソリン代や謝礼金をもらったりする人、後日食事をおごってもらったりする人もいるようですが、この場合、白タク行為に該当する可能性はあるのでしょうか。知人同士の「善意の送迎」に潜む法的リスクについて、佐藤みのり法律事務所の佐藤みのり弁護士が解説します。

有償で人を送迎すると3年以下の拘禁刑

 佐藤弁護士によると、いわゆる「白タク行為」とは、国土交通大臣の許可を受けずに、自家用自動車を使い、有償で人を運ぶ行為を指すということです。自家用自動車とは、事業用の「緑ナンバー」がついた自動車以外の自動車のことで、自家用自動車には「白ナンバー」がついているため、それをタクシーとして使う場合、「白タク」などと呼ばれているといいます。

 佐藤弁護士は「白タク行為は道路運送法で禁じられており、白タク事業を経営すれば、『3年以下の拘禁刑もしくは300万円以下の罰金またはこれらの併科』の罰則が科される可能性があります(道路運送法96条)」と話します。

 また、「白タク事業を経営したとまでは言えないケースであっても、自家用車を使い有償で人を運べば、『1年以下の拘禁刑もしくは150万円以下の罰金またはこれらの併科』の罰則が科される可能性があります(道路運送法97条)」と注意を促しています。

 例えば車で飲食店に行った友人、知人が現地でお酒を飲んでしまい、運転代行や自家用車での送迎を頼まれることがあります。その際、ガソリン代や謝礼金をもらうと白タク行為に該当してしまう可能性があるのでしょうか。

 佐藤さんは「先述のように、自家用車を使い、有償で人を運ぶ行為は禁じられているため、友人や知人の送迎であっても、道路運送法違反に当たる可能性はあります」と指摘する一方で「ただし、『有償性』が認められるかどうかは、事案によって異なります」と強調します。

 続けて、国土交通省が2024年3月1日付けで示した「道路運送法における許可または登録を要しない運送に関するガイドライン」に触れ、「このガイドラインで『有償とは、運送サービスの提供に対する反対給付として財物を収受すること』とあり、ガソリン代、道路通行料などの実費を請求したり、受け取ったりしても有償性は認められず、道路運送法違反にはならないと考えられます」との見解を示しました。

 こうしたことから「このガイドラインによると、社会通念上常識的な範囲での謝礼は有償の運送には当たらないとされており、乗せてもらった友人や知人から、お礼の気持ちを示す常識的な金額の謝礼を受け取っても、道路運送法違反にはならない一方、運転者の方から強く謝礼を促すなど、実質的には運賃を求めるような場合には有償性が認められ、道路運送法違反になると考えられます」と述べました。

 また、「友人から食事をおごってもらう」「物をもらう」という行為が白タク行為に該当するかどうかについては、有償性は金銭に限らず、運送サービスの対価と評価できる財物であれば認められるといいます。

 佐藤さんは「食事やプレゼントが、運送へのお礼の気持ちを示すものとして常識的な範囲にとどまっていれば、道路運送法違反には当たりません」と述べつつ「食事やプレゼントの金額や、食事をおごってもらったりプレゼントを受け取ったりすることになった経緯、当事者の関係性などによっては、運送サービスの対価と評価され、道路運送法違反になるケースもあり得るでしょう」と注意喚起しています。

 なお、食事やプレゼントについて、運転直後にその場で受け取るか、後日、別件のついでに受け取るかといった、受け取る形式的なタイミングだけで、有償性に関して結論が大きく変わることはないということです。

 重要なのは、実質的に見て、その食事やプレゼントが運送サービスの対価と評価できるかどうかであり、例えば、運送へのお礼ではなく、別件でのお礼と評価できる事案であれば、有償性は否定されやすくなるといいます。

 白タク行為の際に人身事故や物損事故を起こした場合、刑罰がより重くなる可能性や、保険金が支払われないリスクについて聞くと「白タク行為については、先述の道路運送法違反の罪に問われ、人身事故については、別途、過失運転致死傷罪に問われることになります。なお、物損事故については、原則として刑事責任を問われません」と解説。

 その上で「白タク行為をしていたために、過失運転致死傷罪の刑事責任が直ちに重くなるわけではないですが、道路運送法違反と過失運転致死傷罪の2つの犯罪が成立するため、併合罪として有期拘禁刑が加重されることになるものと考えられます」と白タク行為のリスクを語りました。

 なお、白タクを利用し、乗客が事故に遭って負傷した場合、任意保険の対象外として適切な補償を受けられない危険性があるとのことです。自家用車の任意保険は、私的利用を前提としており、有償運送では適用外とされるケースがあるからだといいます。

 善意の送迎であっても、対価が発生すれば「白タク」行為に該当する恐れがあります。自身や相手の身を守るためにも、やりとりが「常識的な範囲」を超えていないか、冷静に判断することが大切です。

(オトナンサー編集部)

【要注意】これが、車の運転時に「道交法」違反に問われる可能性のある“服装”です(画像6枚)

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佐藤みのり(さとう・みのり)

弁護士

神奈川県出身。中学時代、友人の非行がきっかけで、少年事件に携わりたいとの思いから弁護士を志す。2012年3月、慶応義塾大学大学院法務研究科修了後、同年9月に司法試験に合格。2015年5月、佐藤みのり法律事務所開設。少年非行、いじめ、児童虐待に関する活動に参加し、いじめに関する第三者委員やいじめ防止授業の講師、日本弁護士連合会(日弁連)主催の小中高校生向け社会科見学講師を務めるなど、現代の子どもと触れ合いながら、子どもの問題に積極的に取り組む。弁護士活動の傍ら、ニュース番組の取材協力、執筆活動など幅広く活動。女子中高生の性の問題、学校現場で起こるさまざまな問題などにコメントしている。

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