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カルビー「ポテトチップス」異例のモノクロに パッケージから「明るい色」消えると売れない? 実は意外なメリットも

もし包装資材の調達難がさらに進み、さまざまな商品のパッケージがモノクロ化したり、デザインがシンプルになったりした場合、商品や店舗の売り上げにどのような影響を及ぼす可能性があるのでしょうか。経営コンサルタントに聞きました。

パッケージが白黒化される「ポテトチップス」(AFP=時事)
パッケージが白黒化される「ポテトチップス」(AFP=時事)

 カルビーが5月12日、ポテトチップスやかっぱえびせんなど計14商品の包装について、カラー刷りから白黒に変えることを発表しました。「中東情勢の緊迫化に伴う一部原材料の調達不安定化」が理由だと説明しています。

 日清製粉ウェルナも「マ・マー スパゲティ」を1食分ずつ束ねるテープについて、ゆで時間を記していたものから無地のものに切り替えるほか、カゴメも「カゴメトマトケチャップ」の外装に記載されているトマトのイラストを減らし、一部を透明化します。

 もし包装資材の調達難がさらに進み、さまざまな商品のパッケージがモノクロ化したり、デザインがシンプルになったりした場合、商品や店舗の売り上げにどのような影響を及ぼす可能性があるのでしょうか。経営コンサルタントの大庭真一郎さんに聞きました。

ついで買いが減る可能性も…

Q.食品のパッケージを見ると、赤のような目立つ色が採用されているケースは珍しくありません。パッケージに目立ちやすい色を採用することでどのようなメリットがあるのでしょうか。

大庭さん「人は、色彩によって視覚的な刺激を受け、そのことが興味や関心を引き出します。そのため、商品のパッケージに目立つ色彩を用いることで、商品の販売に関して次のようなメリットが期待できます」

(1)商品を見つけてもらいやすくなる
目立つ、目につきやすい色彩を用いることで、その商品がたくさんの商品の中で埋もれてしまうリスクを防止します。

(2)好印象を持たれやすくなる
色によって、消費者に「おいしそう」「高級感あふれる」「健康的に映る」などの好印象を与える効果があり、購買意欲を向上させます。

(3)記憶に残りやすくなる
「この商品と言えばこの色のパッケージ」というような形で記憶に残ることで、客が次回来店した際に、該当商品のことを思い出す可能性が高まります。

菓子類や飲料などの手軽に買える商品に関しては、目についたものや興味を持ったものを手に取り衝動的に買ってしまう「ついで買い」を促す効果があります。

Q.中東情勢の緊迫化による包装の原材料不足に伴い、食品のパッケージから色が消えると、消費者の「ついで買い」は減るのでしょうか。

大庭さん「先述したように、食品のパッケージに目立つ色彩を用いることで『商品を見つけてもらいやすくなる』『好印象を持たれやすくなる』という効果が得られます。

例えば、パッケージの色を白黒にした場合、これらの効果が得られなくなる、すなわち、消費者が該当商品を見つけにくくなり、見つけたときに良い印象を持ちにくくなります。

また、商品の衝動買い(ついで買い)は、該当商品が消費者の目に止まり、手に取ったときに『おいしそう』などの好印象を抱くことで生じる行動であるため、パッケージから色が消えてしまうと『ついで買い』も減ってしまうのではないかと考えられます」

Q.かえって「白黒の包装の方がおしゃれ」と売れる可能性はありますか。

大庭さん「パッケージを白黒にすることで、消費者が、該当商品に対して『素材へのこだわり』『無駄が省かれている』『プレミアム感がある』などの好印象を持つこともあります。そのため、高級志向や健康志向などを訴求したい商品の場合は、パッケージを白黒にすることで売り上げが伸びる可能性があります。

一般的な菓子類のような単価が安く薄利多売を目的とした商品の場合は、パッケージを白黒にすることで『ついで買い』の効果が失われ、売り上げが減少するリスクがありますが、白黒のパッケージが他社商品との差別化につながれば、そのことが売り上げ向上の要因となることもあり得ます」

Q.類似商品が多い中、パッケージをモノクロ化したり、シンプルなデザインにしたりすると「ブランドの指名買い」は難しくなるのでしょうか。

大庭さん「商品のパッケージから色が失われると、消費者の購買にかける時間が長くなり、『商品名やブランド名』『パッケージの形状』『ロゴ』『価格』などを基準に購買する商品を選ぶようになることが想定されます。

そのため、もともとのブランド力の強い商品はパッケージから色が失われても選んでもらえ、ブランド力の弱い商品は、商品そのものが見つけられにくくなるのではないかと考えます」

Q.印刷のインクや食品の包装などに使われる石油由来のナフサの不足が指摘されています。もしナフサ不足が深刻化した場合、モノクロ化が「業界の標準」になる日は来るのでしょうか。

大庭さん「ナフサは、商品パッケージの素材やパッケージの印刷に使用するインク(インキ)、包装するときの接着剤などの原料となっているため、今後ナフサ不足が深刻化した場合、商品を販売する企業にとって『安定的に従来のパッケージを製造できなくなる』『パッケージの製造コストが上昇する』という経営面でのデメリットが顕在化します。

このことに対して、商品によっては、パッケージを白黒にすることで消費者に好印象を与えることがあり、無駄なコストを削減して値上げをせずに済む状況を実現させることも消費者に好印象を与えるため、経営の合理化という観点から商品パッケージのモノクロ化を考える企業が増えても不思議ではありません。

さらに、『レジ袋の有料化』のように、当たり前だったことをなくしたことが消費者から受け入れられた事案も少なくないため、今後商品パッケージのモノクロ化の波が拡大してもおかしくはないのではないかと考えます」

(オトナンサー編集部)

【豆知識】「えっ…ポテチだけじゃない!?」 これが原材料不足で「パッケージ」デザインが変更される商品です!

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大庭真一郎(おおば・しんいちろう)

中小企業診断士、社会保険労務士

東京都出身。東京理科大学卒業後、企業勤務を経て、1995年4月に大庭経営労務相談所を設立。「支援企業のペースで共に行動を」をモットーに、関西地区を中心に企業に対する経営支援業務を展開。支援実績多数。以下のポリシーを持って、中堅・中小企業に対する支援を行っている。(1)相談企業の実情、特性に配慮した上で、相談企業のペースで改革を進めること(2)相談企業が主体的に実践できる環境をつくりながら、改革を進めること(3)従業員の理解や協力を得られるように改革を進めること(4)相談企業に対して、理論より行動重視という考えに基づき、レスポンスを早めること。大庭経営労務相談所(https://ooba-keieiroumu.jimdo.com/)。

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