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【肺がん】「タバコ吸わないから大丈夫」は誤解? 早期は“ほぼ無症状”…見逃してはいけない“異変”とは

肺がんが進行すると、どのような症状が生じるのでしょうか。医師に聞きました。

肺がんについて、見逃してはいけない異変とは?(画像はイメージ)
肺がんについて、見逃してはいけない異変とは?(画像はイメージ)

 「肺がん」と聞くと、タバコを吸う人がかかる病気だと考える人は多いのではないでしょうか。ただ、喫煙の習慣がないのに肺がんにかかる人もいるとされています。喫煙していない人が肺がんにかかるのはなぜなのでしょうか。また、肺がんが進行すると、どのような症状が生じるのでしょうか。草ヶ谷医院(静岡市清水区)・院長で、呼吸器専門医・指導医の草ヶ谷英樹さんに聞きました。

初期症状はないが…

Q.そもそも、肺がんになる原因について、教えてください。

草ヶ谷さん「肺がんは肺の細胞内にある遺伝子に対し、長い年月をかけて『傷』が蓄積し続けた結果、起こる病気です。通常の細胞には異常な増殖を抑えるブレーキ機能が備わっていますが、傷が積み重なることでその制御がきかなくなります。その結果、ブレーキが壊れた異常細胞が無秩序に増え続けてしまうのです。

最大の要因はやはり喫煙です。タバコの煙には、数十種類の発がん性物質が含まれています。それらを繰り返し吸い込むことで、肺の細胞は慢性的なダメージを受け続け、遺伝子に傷がつき続けてしまいます。

喫煙で重要なのは『吸った本数』だけでなく『吸い続けた期間』がリスクに大きく寄与するという点です。肺は1日に約2万回もの空気の出し入れを繰り返す非常にデリケートな臓器です。有害物質にさらされる期間が長ければ長いほど、細胞の修復が追いつきにくくなり、肺がんの発症リスクは高まっていきます」

Q.肺がんは喫煙以外が原因でかかることはあるのでしょうか。

草ヶ谷さん「喫煙以外にも肺がんの原因になるものは、実は多く分かっています。この点は皆さんにも正しく認識していただきたい点です。肺がんの一番の原因がタバコであることは揺るぎませんが、『非喫煙者だから自分には無関係』と考えるのは誤りです。まず自身の喫煙だけでなく、周囲の煙を吸い込む『受動喫煙』も確実にリスクを押し上げることが分かっています。そのほかにも、職業的・生活環境的な要因も無視できません。主な要因は次の3つです」

■環境有害物質
ラドン(自然放射線)、アスベスト、ヒ素、クロム、ニッケル、ディーゼル排気ガスなどの吸入。

■肺の慢性的な持病
慢性閉塞性肺疾患(COPD)や間質性肺炎、肺結核の既往など、肺に慢性的な炎症がある場合は、そこからがんが発生しやすいことが知られています。

■家族歴
近親者に肺がん患者がいる場合も、リスク要因の一つとなり得ます。

さらに、肺がんにはいくつかの「型」があります。なかでも「肺腺がん」は、タバコとの関連が非常に強い「小細胞がん」や「扁平(へんぺい)上皮がん」とは異なり、非喫煙者や女性にも多く見られるタイプです。近年は検査技術の進歩により、肺腺がんの一部でEGFR(上皮成長因子受容体)などの特定の遺伝子異常が確認されるようになっています。

「タバコを吸わない=肺がんにならない」という単純な図式は通用しなくなっています。

Q.肺がんに初期症状はあるのでしょうか。見逃してはいけないサインについて教えてください。

草ヶ谷さん「肺がんの診断を難しくしている最大の特徴は、『早期はほぼ無症状である』という点です。肺そのものは痛みを感じにくいため、初期の小さながん細胞が肺の内部で増殖していても、痛みや違和感を出すことはまれです。『症状がないから安心』とは決して言えないことは強調すべき点と言えます。ある程度進行してから現れる症状としては、次のようなものがあります」

【肺がんがある程度進行した際に生じる主な症状】
・2~3週間以上の長引くせき
・血たん(たんに血が混じる)
・息切れ
・胸の痛み
・声のかすれ(嗄声、させい)
・体重減少
・全身のだるさ
・肺炎や気管支炎を何度も繰り返す

特にせきが3週間以上治まらない場合や、「たんに微量の血が混じる」あるいは「同じ場所に何度も肺炎を起こす」といったケースは、がんが気道をふさいでいる可能性を疑うきっかけになります。

しかしこれらの症状はいずれもぜんそくや感染症、COPDとも共通する症状であり、「症状だけで病気を見分ける」のは専門医でも容易ではありません。だからこそわずかな変化を放置せず、必要に応じて検査を受ける姿勢が求められます。

Q.肺がんを防ぐには、日頃からどのような取り組みが求められるのでしょうか。

草ヶ谷さん「最も効果的かつ優先すべき対策は、言うまでもなく『禁煙』です。 これは肺がん予防において、他のどんな取り組みよりも圧倒的なエビデンスがあります。『今さら遅い』ということはありません。国立がん研究センターの報告では、禁煙を始めて10年が経過すれば、吸い続けた場合に比べて肺がんリスクを約半分まで下げることが可能です。また、次の取り組みも重要です」

■環境・職業対策
粉じんや化学物質を扱う環境では、適切な防護具の使用と安全管理を徹底してください。

■生活習慣の改善
バランスの取れた食事や適度な運動は、全身の免疫機能を維持し、がん全般のリスク低減に寄与します。

■定期的な検診
肺がんは症状が出る前に見つけることができれば、治療の選択肢が劇的に広がります。

特に喫煙歴がある人や、肺の持病があるハイリスク群の人は、無症状のうちから医療機関を受診し、低線量CTなど精度の高い検査を受けることを検討してください。「予防」でリスクを下げ、「検診」で早期に見つけるというこの二段構えこそが、肺がんに立ち向かうための最善の策と言えるでしょう。

(オトナンサー編集部)

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草ヶ谷英樹(くさがや・ひでき)

医師(草ヶ谷医院 院長)

呼吸器・アレルギー科専門医として大学病院勤務中に、精巣腫瘍や原因不明の顎関節症などで長期入院を経験。自分が患者という立場になり、「医療はもっと患者に寄りそうべきだ」という思いが生じ、2021年に祖父・父から続く「草ヶ谷医院」(静岡市清水区)を継承し独立。医学博士、日本内科学会 内科認定医/総合内科専門医、日本呼吸器学会 呼吸器専門医・指導医、日本アレルギー学会 アレルギー専門医。日本医師会 認定産業医。草ヶ谷医院(https://kusagaya-clinic.com/)。

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