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「うちの子は大丈夫」が危ない? 若者がハマる「ニコパフ」で初摘発も 親が知るべき3つのリスク【元刑事が解説】

若者の間で広がっている「ニコパフ」の危険性について、元刑事が解説します。

押収されたニコチン入り電子たばこ「ニコパフ」(2026年3月9日、大阪市中央区、時事通信フォト)
押収されたニコチン入り電子たばこ「ニコパフ」(2026年3月9日、大阪市中央区、時事通信フォト)

 「ニコパフ」という言葉をご存じでしょうか。近年、若者の間で広がりを見せている製品ですが、保護者世代の中には初めて耳にする人もいるかもしれません。

 ニコパフとは、手のひらサイズの電子機器を使って香り付きの蒸気を吸引する製品です。見た目はUSBメモリーや小型ガジェットのようなものが多く、フルーツやミントなどさまざまなフレーバーが販売されています。火を使わず、煙も出にくいため、従来の紙巻きたばこよりも気軽な印象を持たれやすいのが特徴です。また、持ち運びしやすい使い捨てタイプやカートリッジ式の商品も多く、SNSではファッション感覚で紹介されることもあります。

 ニコパフは違法薬物ではありません。個人での使用に罰則はありませんが、国内での販売や譲渡は法律で禁止されています。実際に国内で「ニコパフ」として流通している製品の多くから有害なニコチンが検出されており、2026年3月には無許可で販売した大学生らが摘発される事案も発生しました。報道によると、ニコパフに関する摘発は全国初だといいます。

 若者を取り巻く依存リスクや情報環境の変化を考えると、ニコパフは保護者が知っておくべき情報の一つであると考えます。そこで、親として知っておくべき3つのリスク(ポイント)について、警視庁で長年、薬物犯罪や組織犯罪の捜査に携わってきた元刑事が解説します。

【リスク1】そもそも製品の安全性が疑問視されている

 カラフルなデザインやフルーツ系のフレーバーなどが特徴で、SNSでも話題になっているニコパフは、電子たばこやベイプ(VAPE)と呼ばれる製品の一種として扱われることがあります。

「電子たばこと何が違うの?」「違法じゃないなら問題ないのでは?」と疑問を持つ人も多いでしょう。

 まず、大前提として押さえておきたいことは、「違法ではない」ことと、「安全性が十分に確認されている」ことは、まったくの別物だという点です。厚生労働省や国民生活センターは、過去に「ニコチンを含まない」と表示された電子たばこの一部から、実際にはニコチンが検出された事例を公表しています。

 もちろん、一般的な電子たばこのすべてに問題があるわけではありません。ですが、特に「ニコパフ」と呼ばれる製品は、SNSや個人間売買などのルートを通じて未成年でも手に入りやすく、「何が含まれているのか」「どのようなルートで流通しているのか」を正確に把握しにくい製品だということは知っておく必要があります。

【リスク2】「検索」がきっかけで違法な世界への扉が開く危険性がある

 若者に広がる背景には、SNSの存在もあります。「見た目がおしゃれ」「友人が使っている」「気軽に情報が手に入る」という、こうした要素が重なり、興味を持つきっかけになっていると考えられます。

 スマートフォン一つでさまざまな情報にアクセスできる現代は、ニコパフの検索がきっかけとなり、電子たばこやCBD製品、さらには違法薬物に関する情報までもが同じ画面上に表示されることがあります。

 1つの情報に興味を持てば、アルゴリズムによって関連情報が次々と表示される。本人にその気がなくても、危険な情報へ近づく機会が増えています。合法な製品への興味がきっかけで、よりリスクの高い情報に接触する機会が増える可能性もあります。

【リスク3】「吸引行為」そのものへの心理的ハードルが下がる

 私が特に気になっているのは、「何かを吸引すること」への心理的なハードルです。ニコパフを使ったからといって、必ず大麻などの違法薬物につながるわけではありません。ですが近年は、THCを含む違法なベイプ製品や大麻リキッドも存在しています。これらは専用デバイスを使って蒸気を吸引するもので、外見も使用方法もニコパフと非常によく似ています。

 もちろん法的な位置付けは全く異なります。ただ、薬物事犯を数多く見てきた経験から言えるのは、多くの人が最初から危険なものを求めていたわけではないということです。「何かを吸う」「蒸気を吸引する」「デバイスを使う」といった行為が日常化し、中身を十分に理解しないまま使用することに慣れてしまうという点にリスクがあると感じています。

 実際、2026年6月に北海道・清水町の清水高校アイスホッケー部で、部員6人が「ポケットシーシャ(水たばこ)」を使用したとして無期限の謹慎処分となりました。ポケットシーシャはニコチンやタールを含まない製品とされていますが、学校側が「喫煙への関心につながる恐れがある」と判断したと報じられています。

 こうした「吸引系デバイス」を取り巻く問題は、いま教育現場でも無視できないテーマになりつつあります。「うちの子は大丈夫」。そう思っている親御さんほど、ニコパフについて、一度お子さんと話してみてください。次の3点を聞いてみるとよいでしょう。

・ニコパフを知っているか。
・周囲で使っている人はいるか。
・SNSで見たことはあるのか。

 大切なのは、問題が起きてから慌てることではなく、日頃から関心を持つことです。それが、子どもたちを新しい依存リスクから守るための第一歩になるでしょう。

(治安戦略アナリスト・危機管理スペシャリスト 小比類巻文隆)

【画像】サプリと見分けがつかないものも…これが警視庁が公開する「違法薬物」です!

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小比類巻文隆(こひるいまき・ふみたか)

元警視庁警部補/治安戦略アナリスト・危機管理スペシャリスト

30年にわたって警察官として勤務し、危機管理の第一線を歩んできたスペシャリスト。1993年に警視庁へ入庁後、爆弾処理班を経て中国語通訳捜査官、さらに国際捜査官として、銃器・薬物犯罪を中心に情報収集や秘匿捜査、海外組織による密輸入事案の解明に従事。殺人・強盗・誘拐など重大事件の捜査本部にも多数参加。2023年に退官後は、警察での実践経験を社会に還元すべく、講演や執筆、メディア対応など幅広く活動中。現場のリアルを伝える、数少ない治安専門家のひとり。【公式サイト】https://kohiruimaki-fumitaka.info/contact

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