給与所得控除の上限引き下げ検討…過去の“手口”から予想される上限額は?
上限を決めるためのルール?
そして「上限元年」の平成25年は以下のようになります。
給与等の収入 給与所得控除額
180万円以下 収入金額×40%(65万円に満たない場合には65万円)
180万円超360万円以下 収入金額×30%+18万円
360万円超660万円以下 収入金額×20%+54万円
660万円超1000万円以下 収入金額×10%+120万円
1000万円超1500万円以下 収入金額×5%+170万円
1500万円超 245万円(上限)
この年の上限「1500万円超=245万円」の根拠は、以前のルールに基づいています。1500万円×5%+170万円=245万円となり、年収がちょうど1500万円の方は上限が設けられても以前と変わらなかった、ということです。
その3年後、平成28年はこのように変わりました。
給与等の収入 給与所得控除額
180万円以下 収入金額×40%(65万円に満たない場合には65万円)
180万円超360万円以下 収入金額×30%+18万円
360万円超660万円以下 収入金額×20%+54万円
660万円超1000万円以下 収入金額×10%+120万円
1000万円超1200万円以下 収入金額×5%+170万円
1200万円超 230万円(上限)
これも前回同様、1200万円の旧ルールでの控除額が上限となっています(1200万円×5%+170万円=230万円)。
そのわずか1年後、平成29年は冒頭のようなルール(1000万円超=220万円)に変更され、これも1000万円を旧ルール(平成28年)で計算した額が上限となっています。すなわち「ターゲットとする年収の旧ルールで計算した額」を上限として設けるのが、これまでの「慣習」のようです。
仮に今回のターゲットが年収800万円だとすると、旧ルールで計算された控除額である、800万円×10%+120万円=200万円が「上限」となることが予測されます。年収800万円周辺の方には増税の実感はありませんが、その裏には、たびたび「上限」が引き下げれることで「ひたすら増税」されている高所得者がおり、政府の本当の狙いはこの人たちなのかもしれません。
そして“慣れた”頃に再び上限適用の対象年収が引き下げられれば、その時こそ増税ということになるでしょう。増税するならば、本来は「税率」の議論をすべきですが、分かりにくい控除を調整するところが巧妙。しかし、この国に生きる以上、黙って従うしかないのです。
(株式会社あおばコンサルティング代表取締役 加藤圭祐)

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