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マイナス金利の影響、「貯蓄型」生保商品にもジワリ? 各社が保険料増を検討する理由

マイナス金利で返戻率そのものの低下も

 現行の標準利率は「1.0%」ですが、マイナス金利の影響で国債の金利が大きく下がっていることから、加藤さんは「まだ確定ではありませんが、2017年4月の改定では過去最低の『0.25%』程度になると見込まれています」と話します。標準利率がこの水準まで下がると、各社は運用利回りをほとんど期待できなくなるため、その分が私たちの保険料にのしかかってくることになります。

 しかし、加藤さんによると、標準利率に“強制力”があるわけではなく、保険料を上げるかどうかは最終的に各社の判断に委ねられます。前回、2013年4月に標準利率が「1.5%」から「1.0%」に下がった際には、実際に保険料を据え置いた会社もあったそう。「他社が値上げするタイミングを逆に販売増のチャンスと考え、企業努力で保険料を据え置こう」(加藤さん)という思考が働いたといいます。

 ただし、加藤さんは「今回は事情が違います」と指摘、その理由として、マイナス金利によって各社の運用状況がかなり悪化していることを挙げます。また、現在は110%前後の返戻率そのものが下がる可能性もあるといい、加藤さんは「学資保険、年金保険は手堅い資産運用ができるため人気ですが、この低金利によってその魅力を維持できるかどうか、各社は厳しいかじ取りを迫られています」と話しています。

(オトナンサー編集部)

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加藤圭祐(かとう・けいすけ)

あおばコンサルティング代表取締役、1級FP技能士、宅建士

大手外資系生命保険会社にて11年間、個人・法人のコンサルティング業務に従事。2015年に株式会社あおばコンサルティングを設立。日本初の、チャットでのお金のサービス「みかづきナビ」を開始。現在ではzoomも活用し、FP相談や保険相談で顧客の課題解決に取り組んでいる。みかづきナビ(http://www.mikazuki-navi.jp/)。

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