「こども保険」は高齢者偏重を切り崩せるのか
高齢者に重きを置いた社会保障制度を是正しようと、自民党の小泉進次郎氏らが「こども保険」を提案しています。社会保険料の上乗せ分を、未就学児のために使おうという趣旨ですが、筆者は「折衷案」だと苦言を呈します。

未来を担う子供たちのために、高齢者偏重の社会保障制度を是正する制度として、自民党の小泉進次郎氏を中心としたグループが提言している「こども保険」。現在の「年金」「医療」「介護」という社会保障制度の3本柱に加えて、新たに「こども保険」を創設し、未就学児の保育園や幼稚園の実質無料化を実現しようというものです。
実現へのハードルは高い?
その趣旨には賛同する方が多いようですが、実際の財源は「社会保険料の上乗せ」です。提言では、まず社会保険料に0.1%を上乗せして約3400億円の財源を確保、これにより、子供1人あたり毎月5000円を支給できる計算になります。
その後、段階的に上乗せ分を増やして最終的に0.5%、財源を1兆7000億円とし、子供1人あたり毎月2万5000円になれば、それらを保育園や幼稚園のコストに充てられるため、「無料化」が実現できるというわけです。
しかし、単身者や、子供がいない夫婦世帯などにも負担を強いることになるほか、ある程度年収の高い世帯は、6年間の受給のために40年以上、社会保険料が上乗せされることになるため、自分で支払っているのと変わらないことになりかねません。
「老人から子供へ」というスローガンは理解できますが、その実は社会保険料の「値上げ」でしかなく、実現へのハードルは高いように思います。
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