マイナス金利の影響、「貯蓄型」生保商品にもジワリ? 各社が保険料増を検討する理由
保険料は国債で運用、低金利が各社の打撃に…
外資系大手生命保険会社で約11年間、コンサルティング業務を行ってきたあおばコンサルティング代表の加藤圭祐さんによると、終身や年金、学資などの「貯蓄型」商品は現在、返戻率110%前後のものが主流で、生保各社はその返戻金の支払いに備えて、安全性の高い国債で保険料を運用しているといいます。
しかし、マイナス金利の影響から、10年物国債の金利は近頃、マイナス圏で推移。そのため、各社は110%前後の返戻金を用意することが困難になりつつあるといい、加藤さんは「経済政策としてはメリットが期待されるマイナス金利ですが、保険会社の運用に関してはデメリットの方が大きいのです」と指摘します。
国債が低金利になってしまうと、各社が返戻金を約束通りに支払えるかどうか怪しくなってしまいます。そこで、金融庁は過去3年間、あるいは過去10年間の国債利回りに着目し、その動向に基づいて標準利率を設定。そうすることで、「国債は今後しばらく、これくらいの利回りしか期待できないから、そのつもりで(返戻金の支払いに充てる)お金を準備しておきなさい」(加藤さん)と各社に示すのです。
標準利率が高ければ高いほど、各社は運用利回りを期待できるため、返戻金の支払い準備に充てるお金は少なくて済みます。しかし、反対に標準利率が下がってしまうと、返戻金に備えるお金が増えるため、各社はその増加分を保険料に転嫁する、という仕組みです。
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