がん経験者の不安に寄り添う 「マギーズ東京」開設2年、これまでの歩みと今後の展望
「がんとともに生きる」人を支える

Q.そもそも、マギーズ東京を開設しようと考えた理由は何だったのですか。
秋山さん「がんの治療が、外来が主流となりつつあり、家での生活を豊かにするための相談の場所が必要と感じたからです。
私はもともと、在宅でがんで最期を迎える人の苦痛をやわらげる在宅ホスピスに関わっていました。中には、ぎりぎりまで病状が進行してから在宅を選び、2~3日や1週間で亡くなる人もおられ、在宅ホスピスの情報がもっと早く届いていればと思うこともありました。そうした時に英国のマギーズセンターのことを知ったのです」
Q.マギーズ東京の建物や設備の特徴は。
秋山さん「建物は、木をふんだんに使っており、開口部もガラス戸で自然光が入り明るく、リラックスできます。お茶も自由に飲め、座りやすいいすとクッションがいくつもあって、好きな場所で好きなだけ座って話ができます。『第2のわが家のような』をコンセプトにしており、建物の広さも英国の一般家庭とほぼ同じで280平方メートルです」
Q.職員はどのような人たちですか。
秋山さん「看護師、保健師、心理士、管理栄養士がいます。常勤・非常勤合わせて10人がコアメンバー。それに20人近くの専門職が登録していて、土曜日や夜間などボランティアで参加しています。1日4~5人は常駐しています。予約なしで訪問が可能という気軽さが魅力です。相談料も無料です」
Q.大きな病院にも、相談を受ける施設はあります。
秋山さん「2007年に施行された『がん対策基本法』に基づき、がん拠点病院内に『がん相談支援センター』が設置されました。各都道府県に必ずありますが、予約が必要です。相談時間も1人につき15~20分程度、長くても30分程度しかありません。加えて、聞きたい内容をあらかじめはっきりと分かっていないと予約ができません」
Q.マギーズ東京が、がん相談支援センターと異なる点は。
秋山さん「1人1時間くらい時間を取ります。もちろん、2~3時間の人もいます。まずは、相手の話を聞くことから始めます。こちらからどんどん質問していくわけではありません。解決の糸口が見え、がんの影響で見失っていた自分を取り戻してもらうことが目的です。
相談者の多くは、がんと向き合うことになってもやもやし、何を知りたいのか分からない状態になります。そこで、専門職といろいろ話をしていくうちに、もやもやが整理され、何を知りたいのか、何を聞けばよいのか分かるようになります。マギーズ東京ではその過程に寄り添っており、ここが大きな病院の施設と異なります」
Q.2年間活動して、改めて気付いたことは。
秋山さん「ひと昔前は『がん=死』というイメージがありましたが、10年生存率の平均が6割と『がんとともに生きる』時代になりました。がんを経験した人は、頭のどこかで再発や転移の不安を抱えながら生きていかなければなりません。この人たちをしっかりとサポートする体制が日本にはないと改めて気付きました」
Q.マギーズ東京のような施設を開設する動きは、他の地域でもありますか。
秋山さん「広がりつつあります。金沢市のNPO法人がんとむきあう会、京都市のともいき京都、静岡県富士市の幸(さち)ハウスの3団体はマギーズセンターに共感して、それぞれの地元で施設を開設して活動しています。新潟でも活動が始まる動きがあります。
理想としては、各都道府県に1カ所以上あればと思っています。マギーズ東京では、そのための人材育成も少しずつ始めています」
Q.今後、どのような活動をしていきたいですか。
秋山さん「この2年で、マギーズの活動にニーズがあることが分かりました。これまでにどういう相談が寄せられ、どういう対応をしてきたのかを発表するとともに、人材育成、地域に向けた情報発信などを行いたいです。
がんとともに長く生きるためのサポート体制が、病院内外の双方向でできるようになり、長期間がんとともに生きる人の応援団が増えてほしいと思っています」
(報道チーム)
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