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【医学部不正入試】昭和大が公表した「卒業生の親族」優遇、私立大は医学部以外も一般的?

大学医学部の不正入試問題では、現役生や男性だけでなく、卒業生の親族に対する優遇も明らかになりました。しかし、これは医学部に限ったことなのでしょうか。

不正入試問題に関する昭和大学の記者会見
不正入試問題に関する昭和大学の記者会見

 東京医科大学(東京都新宿区)に端を発した医学部の不正入試問題では、昭和大学(同品川区)も不正を認めました。現役生と1浪生への一律加点に加えて、昭和大学卒業生の子どもも優遇していたとのことですが、卒業生の親族に対する優遇について、SNS上では「私立なら医学系に限らず広く行われているのでは」「やってるとこ、たくさんありそう」などの声が上がっています。文部科学省に聞きました。

合理的な説明ができるかどうか

 不正入試問題を受けて、各大学の募集要項を調べてみると「卒業生子女推薦入試」「卒業生子女特別選抜入学試験」といった制度を公表している大学が複数見つかりました。医学部だけでなく、さまざまな学部が対象のようです。

 文部科学省大学振興課の担当者に聞きました。

Q.大学入試で、卒業生の子どもなど親族を優遇してよいのでしょうか。

担当者「文科省が各大学に示している『大学入学者選抜実施要項』には、『入試は公正かつ妥当な方法で』とあります。最低限のルールを示した上で、細かいやり方は各大学に任せています。

大学として、推薦入試などであらかじめ枠を設定して、(卒業生の親族優遇など)そういう試験があると受験生が分かった上で臨んでいるのであれば、ただちに『けしからん』とは言えません。私立学校は、建学の精神や校友のコミュニティーを重視するところがありますから。

ただし、何人くらいの規模なのか、どのような人に限定するのか、といったことについて、大学は適正性や妥当性を説明する必要があります。受験生や社会が受け入れられるものかどうか。たとえば、募集する100人のうち80人が同窓生だったらどうか、など。『同窓生であれば学力不問』だと、社会が受け入れるのか疑問は残ります」

Q.推薦入試で「卒業生子女推薦入試」を実施している大学がありますが、これは問題ないということでしょうか。

担当者「問題ありません。制度として大学が公表していますから。事前の説明がなかったり、内容が不適切であったりすれば、募集要項を発表した時に『これでいいんですか』となりますが」

Q.一般入試でも、募集要項に、卒業生の親族などに加点すると明記していれば問題ないのでしょうか。

担当者「まず、事前に説明があることが必要です。『合理的な説明』ができるかも問われます。募集定員のうち何人くらいの同窓生ならば社会的に許容されるか、という議論も必要でしょう」

 文科省の見解によると、どのような条件があるのか募集要項に明記しておくことと、合理的な説明ができるかどうかが、卒業生の親族に対する優遇が適切と判断できるかのポイントのようです。

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