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積水ハウス、男性社員「育休取得」義務化2カ月 制度は機能している? 利用者の声を聞く

男性社員に1カ月以上の育児休業を必ず取得させる制度を導入した、積水ハウス。実際に取得した社員の声を聞きました。

育休体験を語る寺田佳高主任。奈良支店からWeb会議システムを通じて発表した
育休体験を語る寺田佳高主任。奈良支店からWeb会議システムを通じて発表した

 積水ハウス(大阪市北区)が、男性社員に1カ月以上の育児休業を必ず取得させる制度を導入して、2カ月近くが過ぎました。国内では珍しい取り組みとして注目されていますが、制度は有効に機能しているのでしょうか。同社が10月18日に開いた社内研修で、1カ月の育休取得を決めた男性社員の話を聞くことができました。

疲労困憊も、子どもの成長実感

 制度は9月に導入しました。女性の社会進出で共働き世帯が増える中、男性も積極的に育児に参加できる環境を整えることで、社員の子育てを応援し、優秀な人材の採用や定着などにつなげる狙いです。対象は3歳未満の子どもを持つ男性社員で、子どもが3歳になる日までに最低1カ月の育休取得を義務付けており、複数回に分けることもできます。

 なお、2019年1月末までに子どもが3歳になる場合は、準備期間が短いため、取得期間が1カ月未満でも申請を認めています。

 積水ハウス広報部によると、10月24日までに、対象となる1371人のうち260人(19%)が制度取得を申請。1カ月連続の取得者は14人、分割での申請は246人とのことです。研修は、取得を後押しする目的で全国109カ所の会場をWebでつないで行い、対象となる男性社員や直属の上司のほか支店長など約1900人が参加。実際に1カ月の育休取得を申請した男性社員3人が登壇しました。

 奈良支店の寺田佳高主任(36)は9月30日~10月7日の8日間、育休を取得しました。今後、11月に15日間、来春8日間、休む予定で、計31日となります。子どもは長男(2)と9月に生まれたばかりの長女の2人です。

 寺田さん「第2子出産による妻の入院があり、最初の8日間の休みを取りました。入院中、長男の世話をしなければならず、数日休むか、時間休を使うかで悩みましたが、妻も積水ハウス社員でこの制度を知っていたこともあり、育休を取ることにしました」

 取得前は不安もあったそうです。

 寺田さん「本当に休んで大丈夫なのか、という不安もありましたが勢いで取得しました。制度の話が7月末に出たばかりで、『いきなり1カ月は休めない』と思い、職場で話し合った結果、分割で取ることになりました。育休前は休日出勤もして、担当物件の業務をこなしました」

 育児「休業」ではありますが、仕事とは違う苦労があったようです。

寺田さん「育休中は、子どもの保育園の送迎や世話をしたり、妻が入院している病院へ行ったりで、1日が終わる頃には疲労困憊(こんぱい)の状態になりました」

 それでも、得たものが大きかったと寺田さんは強調しました。

寺田さん「子どもと接する時間が長くなり、病院にいる第2子の成長を毎日見ることができてよかったです。長男の時は妻が里帰りして出産したため、1週間に1回ほどしか会うことができず、成長していく実感があまり湧きませんでしたが、今回は違いました」

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