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ローンを残して逃げた妻に子を奪われた44歳男性、「面会」実現までの苦悶(下)

「興味関心はお金のみ」の妻

「何ができるって言うの? あんたは子どものことを何にも分かってないでしょ! 金さえ払えばいいのよ!!」

 妻はそれでも首を縦に振ることなく、さらに畳み掛けてきたのです。本来、父親の子どもに対する責任はお金だけでしょうか。いや、育児やしつけ、遊び相手など多岐に渡るでしょう。

「『お金を払うだけでは、全ての責任をまっとうしていない』と下手に出るのはどうでしょうか。妻が辻本さんと子どもたちを直接会わせようとしないのなら、父親に褒めてもらったり、怒ってもらったり、教えてもらったりする『権利』を妻が自分の都合で放棄するようなものですよ」

 私は、卓也さんへ事前に入れ知恵をしておきました。そこで、卓也さんは「お金以外の面でも、父親の役割を担わせてほしいんだ」と訴えかけたのですが、残念ながら、妻は卓也さんの存在が「子どものため」だとは思っておらず、もはや「いない方がいい存在」と化していたのです。「子の福祉」という発想は完全に抜け落ちていました。

「もう頭に来た! 出るところ出てもいいんだからね!!」

 あの手この手で、妻を説得できそうな手応えをつかみかけた矢先、妻は話をすり替えてきたそうです。結局、別居から現在までの10カ月間、父子の面会は一度たりとも実現していませんが、もし妻の言う通り、本当に家庭裁判所へ面接交渉の調停を申し立てた場合、どうなるでしょうか。

 別居当時は成り行き上、具体的な面会条件を書面に残すことがかなわなかったのですが、示談ではなく調停に発展した場合、今度は具体的な回数、時間、場所、面会方法(食事、買い物、映画など)、送迎方法などを裁判所が決定し、書面化してくれる可能性が高いのですが、それだけではありません。

「妻が、裁判所で面会条件が決まったにもかかわらず、それでも協力しない場合は大変なことになります。平成25年3月から制度が変わり、裁判所の決定に違反すると、間接強制(裁判所からの罰金命令)の対象になったので、妻が面会を断るたびに、罰金を支払わなければならない可能性もあるんですよ」

 そのように、私は先んじて卓也さんへ有利な情報を与えておいたのです。

「子どもたちに会わせないと罰金を払わなくちゃいけないんだぞ! それでもいいのか!!」

 卓也さんは妻に突きつけたのですが、さすがに「やりすぎではないか」と思われる方も多いでしょう。しかし、ここまで言わないと、まともに話を聞こうとしない妻にも相応の非はあるはずです。もし、妻が過去の過ちを振り返り、心を入れ替え、言動を改めようとしているのならば、今回のようなトラブルは起こらなかったでしょう。きっと妻の性根は今も変わっていないはず。

 結局のところ、妻は金に汚いタイプで興味関心はお金のみ。しかも、もうけ話にすぐに引っかかる性分なので、子どものことを「金ズル」としか思っておらず、卓也さんと子どもとの面会を取り次ぐことで養育費の増額が期待できるのならともかく、面会させてもさせなくても養育費が変わらないのなら、「面会させない方」を選ぶことは妻の行動パターンからは分かりきったことです。

 逆に言えば、「面会させる+罰金なし」「面会させない+罰金あり」という二択を提示すれば、妻は「罰金あり(なし)」の部分しか目に入らないので、お金の損得勘定だけで「面会させる」を選ぶだろうと。少し厳しすぎるかもしれませんが、妻の性格を踏まえた上で、このようなやり方をせざるをえなかったというのが実情です。

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露木幸彦(つゆき・ゆきひこ)

露木行政書士事務所代表

1980年12月24日生まれ。いわゆる松坂世代。国学院大学法学部卒。行政書士・ファイナンシャルプランナー(FP)。金融機関の融資担当時代は住宅ローンのトップセールス。男の離婚に特化し行政書士事務所を開業。開業から6年間で有料相談件数7000件、公式サイト「離婚サポートnet」の会員数は6300人を突破し、業界最大規模に成長させる。他で断られた「相談難民」を積極的に引き受けている。自己破産した相手から慰謝料を回収する、行方不明になった相手に手切れ金を支払わせるなど、数々の難題に取り組み、「不可能を可能」にしてきた。朝日新聞、日本経済新聞、ダイヤモンドオンライン、プレジデントオンラインで連載を担当。星海社の新人賞(特別賞)を受賞するなど執筆力も高く評価されている。また「情報格差の解消」に熱心で、積極的にメディアに登場。心理学、交渉術、法律に関する著書を数多く出版し「男のための最強離婚術」(7刷)「男の離婚」(4刷、いずれもメタモル出版)「婚活貧乏」(中央公論新社、1万2000部)「みんなの不倫」(宝島社、1万部)など根強い人気がある。仕事では全国を飛び回るなど多忙を極めるが、私生活では30年以上にわたり「田舎暮らし」(神奈川県大磯町)を自ら実践し「ロハス」「地産地消」「食育」の普及に努めている。公式ブログ(https://ameblo.jp/yukihiko55/)。

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