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ローンを残して逃げた妻に子を奪われた44歳男性、「面会」実現までの苦悶(下)

完全に冷静さを失ってしまった夫

 妻の方から「あの時は悪かったわ。子どもたちも会いたがっているから、予定を決めさせてほしい」と頭を下げに来るはず…この期に及んで卓也さんは妻の誠意に期待していたのですが、謝罪はもちろん、妻からは何の連絡もなく、ただただ時間ばかりが過ぎていったのです。

 さすがの卓也さんも、業を煮やして妻のところへ直談判しにいったのですが、話は遅々として進まなかったようです。

「そんなことを言うんだったら(子どもたちに)借金のことを話すぞ!」

 卓也さんは、妻に強い物言いで伝えたのですが、金銭問題はあくまで夫婦の話であり、子どもは両親を選んで産まれてくることはできないのだから、関係ないといえば関係ないでしょう。将来的に借金の経緯や理由、原因について知る機会があるかもしれませんが、今はまだ小さいのだから「知らなくてもよいこと」もあるはず。

 そのため、「夫が借金の経緯を子どもに話すと言っているから」という理由で、妻に子どもたちとの接触を断られても仕方がありませんし、さすがの私もフォローのしようがなかったのですが、当時の卓也さんは完全に冷静さを失っていました。

「もう関係ないでしょ! 私たちに付きまとわないでほしい」

 妻はそのように逆上してきたそうですが、まるで子どもを人質に取るような振る舞いを目の当たりにして、卓也さんは怒りのあまり手の震えが止まらなかったそうです。

「法律上、面接交渉権(面会する権利)が認められており、これは父から子だけでなく、子から父への面会も含まれています。そのため、息子さん、娘さんが辻本さんに会いたいと思っていたら、妻は2人の気持ちを無視しているのではないでしょうか」

 私は前もって、卓也さんへ助言しておきました。そこで卓也さんは妻に対して「子どもたちとの面会を求めても頑なに拒もうとするのは、子どもの権利をないがしろにするのと同じでは」と言い返したのですが…。

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露木幸彦(つゆき・ゆきひこ)

露木行政書士事務所代表

1980年12月24日生まれ。いわゆる松坂世代。国学院大学法学部卒。行政書士・ファイナンシャルプランナー(FP)。金融機関の融資担当時代は住宅ローンのトップセールス。男の離婚に特化し行政書士事務所を開業。開業から6年間で有料相談件数7000件、公式サイト「離婚サポートnet」の会員数は6300人を突破し、業界最大規模に成長させる。他で断られた「相談難民」を積極的に引き受けている。自己破産した相手から慰謝料を回収する、行方不明になった相手に手切れ金を支払わせるなど、数々の難題に取り組み、「不可能を可能」にしてきた。朝日新聞、日本経済新聞、ダイヤモンドオンライン、プレジデントオンラインで連載を担当。星海社の新人賞(特別賞)を受賞するなど執筆力も高く評価されている。また「情報格差の解消」に熱心で、積極的にメディアに登場。心理学、交渉術、法律に関する著書を数多く出版し「男のための最強離婚術」(7刷)「男の離婚」(4刷、いずれもメタモル出版)「婚活貧乏」(中央公論新社、1万2000部)「みんなの不倫」(宝島社、1万部)など根強い人気がある。仕事では全国を飛び回るなど多忙を極めるが、私生活では30年以上にわたり「田舎暮らし」(神奈川県大磯町)を自ら実践し「ロハス」「地産地消」「食育」の普及に努めている。公式ブログ(https://ameblo.jp/yukihiko55/)。

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